第10話 やっぱ戦闘後の煽りは気持ちいい
「ええ、では配信します」
・急に始めないでもろて
・せめて告知して
・魔拳様ー!
・Ma-chan!
「おー来てくれてる」
配信告知とかをしなくとも一万人以上が見に来てくれてる。こんな数の人に見られていると思うとちょっと恥ずかしい。てかあの加入配信から二週間以上も配信してなかったからかそろそろ配信してって暗に社長に言われたからやるけどどんなことすればいいんだ? C級のダンジョンに来たけど……Bの方が良かったか? 一応Bになったけどまだ怖いし……ノルマはまだCでいけるし……
「今日はC級の坂出ダンジョンまで来ました~。Bまで潜れるけど、とりあえずね」
・ダンジョン配信ktkr
・Bいけや
・安全第一だね!
・素手? 武器あり?
「剣ですね~」
そう言い三代目グランドブレードを見せる。ショップからも買えるがマナ払いで高いし。まあ性能はショップの方がいいけど
・初心者用のじゃん
・いいよね......使いやすくて
・ドロップ品だの、高い剣だの使ってみたけど......初心者向けの剣が一番使いやすい
・派手さはないけどその分頑丈だよね
・すぐ折れそう
「すぐ折れる? そんなわけないですよ~」
そう言い俺は意気揚々とダンジョンに潜った
五分後
「わ、私のグランドブレード(三代目)がぁぁ......!」
・草
・瞬殺でしたね
・A級ダンジョンでももっと持つぞ
・グランドブレードw
・↑カッコいいだるぉ?!
ただ勢いに任せて魔物を叩き切ったら五分で折れた。称号を忘れていた。俺……武器使えないじゃん。普通に忘れてたわ。……さらば八万円……つれえよ……
「わ、私の八万……」
・かわいそ
・庶民派
・Bクラスって稼げるんじゃないの?
「いや私あんまり潜らないんで......」
・もっと潜れ
・Bなら少し潜っても稼げるゾ
・専業にならないの?
「勉強しないと知り合いに......ね......。赤点見つかった時には死ぬかと......」
マジで殺されそうだった。あの時のKUさんの目はマジで殺る目だった。そのせいで学校さぼってダンジョンへっていう選択肢はなくなった。正体ばれそうだけどバレたらバレたでKUさんが何とかやってくれるからヨシッ!
・草
・頭よさそうなのに
・試験良く通ったね
「試験はね......頑張ったよ」
・遠い目をしておられるw
・そういいながら素手で魔物粉砕してるの恐怖映像だろ
・そんなんだからゴリラっていわれるんだぞ
・Wow, Gorilla!
「もう下層? あっという間だったね」
・早えんだよ!
・もっと苦戦するはずでは?
・魔拳なのに魔法使ってないの草
・もうこれ拳だろ
「そろそろボス部屋かな? じゃあ行ってみよ~」
正直どんな風に配信すればいいかわからないからコメント欄と会話しつつ戦っていたけどこれでいいようだ。まあ初めてだから大目に見てもらっているというのもある。これが続けば同接も少なくなっていきそう。だからDantuberはより過激に、より上のランクのダンジョンに行くんだろうなあ。これだけの人間に見られ、褒められ(一部アンチコメもあるものの)その快感が病みつきになっていくんだろうなあと感じた。俺も気持ちい。だから気分が乗っていつもよりも速く攻略してる。そしてボス戦ということで今まで以上にコメントが速くなる
・高松のボスってなんだったっけ
・ケンタウロス
・正しくはケンタウロスとゴブリンとオークの混成部隊な
・一人なのに勝てるの?
・勝てるやろ
「何気にCのボス戦は初めてかも。前回はあれだったし」
そう。俺はC級ダンジョンのボスは戦ったことがない。これまでも戦おうとしたけどそのためには野営したりそのための許可を取ったりがめんどくさくてやってなかった。ノルマ目標もボス戦までいかなくても達成してたから魔法少女になってからも行ってなかった
・マ?
・前回は不慮の事故だったしね
・はよいけや
・緊張する?
「え、いや? だってDのボスとかは戦ったことあるし、前のアレの方が怖いでしょ」
・ぐう正
・そりゃそうか
・これでボスも特殊個体になってたら笑う
「ないでしょw」
そう言いながらここの攻略情報を見る。ケンタウロス一匹、オーク二匹、ゴブリン三匹という編成だ。だが魔法に弱いのでまあなんとかなるだろ。そう思いながら部屋に入る。実際その編成が出てきた
「じゃあ、とりあえず一回撃つか」
そう言いながら魔物相手に放つと最初に放った時くらいの威力が出た。……つまりは
「マジかぁ......」
・瞬殺で草
・Vやねん魔拳!
・探索者最強やろこれ
・浮かない顔してるけどなんかあったんか?
・殴れないから悲しいんでしょ
一発でボス戦はあっけなく終わった。しかし俺はわかる。これからが本番だ
そう思っていると大きな咆哮が身を震わす。目の前にいたのはB級殺しという異名があるドラゴンだった
・ふぁ!?
・ワイバーンやん草
・逃げて!
・戦え!
・命大事にしてもろて......
おー、ボス戦以上にコメントが加速するじゃん。逃げろっていう意見も解るけどね? 悲しいかな、ここで逃げたら仕事放棄になってお仕置きされそうだから逃げるわけにはいかないんだよな
「ドラゴンだから氷が弱点だな、ヨシッ!」
・ゲーム脳がすぎる
・実際はどうなんや?
・(氷が特別弱点とかは)ないです
・なんなら魔法耐性もあるから物理の方が勝てる
・やはり拳か......
「ジャックフロスト!」
威力偵察で前回解放された中級魔法をワイバーンに向けて放つ。狙いは翼だ。翼をもげば後は魔法と拳で何とかなる。ミスったな……こうなるなら拳で倒した方が良かった
見事に魔法は当たった。やっぱこの姿、魔法少女というだけあって魔法の操作しやすくなってる気がする。使ったことがないからわかんないけど、他の魔法系のDantuberはそこそこ避けられたりしていたのでそう思う。見ると翼が使い物にならなくなっており、ワイバーンは悲鳴をあげながら地上に墜ちた
「ジャックフロスト!......ですわ~」
追撃で魔法をぶち込む。やっぱ何もできない敵を一方的に蹂躙するこの瞬間! 俺の世界ランクが上がった気がして気持ちがいい!
翼の次は爪と口を機能不全にし、攻撃手段を限りなく少なくして、後は殴るだけ。俺は勝った。楽勝。負けるきせーへん、チートやし
「GG」
・あっけなく終わりましたね......
・魔拳最強! 魔拳最強!
・パーフェクトゲームでしたね......
・にしても特殊魔物とのエンカ率やばすぎw
・お祓いいけ
・最後に煽りを欠かさない探索者の誇り
やっぱGGは言うべき。俺が楽しいから。そう達成感に包まれていたがあるコメントが目についた
・本当に女なの? 騙してない?
何とも言えないものが背中に走り、俺は締めの挨拶を始めた
「では、皆さん今日はこのあたりで。ではまた~」
配信が終わった後戦利品を回収しながら俺の頭をあのコメントが支配する。騙す。確かにそうだ。俺のこの強さは偶々で、この姿も紛い物だ。昔から相手を騙すという行為は悪と教えられ、当然俺にもその価値観はある。だからこそ、得も言われぬ感情があるのを自覚し、そして今はまだ見て見ぬふりを決め込む。俺はコメントを考えないように階層を上り、魔物を狩る。現実逃避をするように
こんにちは、月照です。2か月ぶりの更新。キャラが動かなかったので……すみません。漸く小説の書き方を思い出した気がします
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