サバイバル舞踏会~亡国の令嬢、舞うは復讐の輪舞~
「サバイバル舞踏会」
~プロローグ:亡国の令嬢、舞うは復讐の輪舞~
舞踏会という名の戦場を駆け抜けて
誰よりも華麗に 舞え 踊れ
欲しいものがあるのなら奪い取れ
その手に勝利と栄光を 掴み取れ
◇◇◇
ここは王宮舞踏の間。
花と騎士の武具で飾られたホールの王族専用バルコニーに王子が現れる。
「さあ、美しき姫達よ。今宵も存分に舞い、余を楽しませておくれ」
その言葉が終わると同時に、楽団が優雅な音楽を奏で、煌びやかに着飾った数多の女達がステップを踏み始める。その様子はまるで金銀宝石の小波のよう。
しばらくして曲が変わる。
スローなワルツからアップテンポなロンドへ。
その途端、ホールの様相は一変した。
「おらぁ!」
「ぐあっ!」
「死ねぇぇ!」
見れば麗しき女達は手に手に壁に掛けられた剣を、斧を、槍を、盾を持ち、そこここで決闘を始めたではないか。
「始まりましたな」
「今宵はどの娘が最後まで生き残りますかな」
そう、これは武闘国家における妃候補を探す舞踏会。
1か月に渡り繰り広げられる祭典。
阿鼻叫喚が埋め尽くす中、ただ一人優雅なステップを崩さない者がいた。
そのしなやかなで力強い動きは、思わず襲い掛かる者を躊躇させる。しかしそれは死への入り口を開くのと同義の愚かしい行為。
踊る女の四肢が空を切り裂くように動く度に、床に倒れ伏す人数が増えてゆく。真紅の血が床を染める中、女は邪魔するなと言わんばかりにまた踊り始める。
「ほう?」
「良いですな」
王族の注目が集まる中、その女を強敵とみなしたのか、周囲の者達は束の間の協定を結び、一斉に襲い掛かった。
しかし女は慌てることなくティラーダの如く足を振り上げる。鋭く研ぎ澄まされたピンヒールは、然したる抵抗もなく眉間に吸い込まれてゆき、一人また一人と倒れ伏す。
曲が終わったとき、そこに立っていたのは、ただ一人。
その姿は血まみれなれど、妖艶な美しさを放っていた。
◇◇◇
「其方は強く美しいな。我が元に来る日を楽しみにしておるぞ」
「ああ…愛しき王子様。直々のお声かけ、光栄でございますわ。必ずやご期待に添いましょう」
私は恭しく傅きながら、口元に薄い笑みを浮かべる。
待っていなさい。
我が父、我が国を滅ぼした者達よ。
私は必ず勝ち上がり、玉座に立とう。
そして王子の寵愛を得て、この国を意のままに。
その時が、貴様等の終わりの時だ。
ふふ…その喉元にこの爪を食い込ませる日が待ち遠しいわ。
◇◇◇
「って感じのゲーム考えたんだけど、どう?」
「それ『舞踏会』じゃなくて『武闘会』じゃん!ボツ!」
なろうラジオ大賞応募作品になります。
お読みいただきありがとうございました。
続きはないです。




