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スマホを拾っただけなのに、歴史が動いた。

作者: 成瀬仁助

 慶長5年(1600年)9月15日。

 美濃国(現在の岐阜県)にて、後に天下分け目と言われる合戦があった。

 世にいう「関ヶ原の戦い」である。


 徳川家康率いる東軍と、石田三成率いる西軍。

 全国の名だたる大名が東西に分かれて戦い、両軍合わせて20万人もの兵士が命を奪い合った日本史上最大の合戦は、わずか6時間ほどで集結した。


 家康の天下を決定づけた戦だが、戦況を左右したのはひとりの武将だった。そう、たったひとりの男が下した決断で、日本の行く末が決まったのである。


 その男の名は、小早川(こばやかわ)秀秋(ひであき)





 9月15日 正午すぎ

 関ヶ原の南西にある松尾山(まつおやま)、小早川軍の本陣。


 ひとりの男が座った状態で目を閉じている。

 寝ているのではない。考えているのだ。それも酷くイライラした様子で、右足がずっと小刻みに揺れている。


 彼こそが、小早川秀秋その人である。

 まだ若く、肌が白く、線も細い。そんな彼を苛立たせている原因は、自分の周りをぐるりと扇形(おうぎがた)に囲む家臣たちだった。


「殿、早くご決断を! いまこそ徳川殿にお味方するのです!」

「いま大谷軍の横っ腹を突けば、勝利は間違いございません!」


 数名の家臣たちが声を荒げて叫ぶ。


「ええい黙れ、裏切りなど卑怯な真似ができるか!」

「徳川につけば豊臣家を裏切るのも同然。殿は太閤殿下(たいこうでんか)のご子息なるぞ!」


 しかし別の家臣たちが、それに食って掛かる。

 大戦が繰り広げられる最中、小早川の本陣の意見は二つに割れていた。


「ご子息といっても、秀頼(ひでより)さまが産まれてから殿は小早川家に養子に出され、政治の中枢(ちゅうすう)からも遠ざけられていたではないか!」

「そうじゃ、もはや豊臣家に対する義理はない!」


 西軍を裏切って、徳川方につくべきだとする意見。


「かといってこの大戦で裏切りなんて真似をすれば、殿は一生卑怯者(ひきょうもの)だと言われることになるぞ!」

「おうよ。殿の名前が、裏切者として永遠に語り継がれることになるやもしれん。そなたらはそれでも良いと申すか!」


 対して、このまま西軍として戦うべきだとする意見。

 このようなやり取りが、数時間も繰り返されていた。

 戦はとうに始まっているのに、小早川は動くこともできない。


「殿、お味方から続々と狼煙(のろし)が上がっておりますぞ!」

「殿、お味方からいつ裏切るのかと使者が参っております!」


 秀秋は次々と舞い込んでくる報告を聞きながら、味方とはどっちのことだ、と思った。


 秀秋は三成と狼煙を合図に攻め掛かる約束をしているが、家康には裏切りの約束を交わしている。現在はどっち付かずの状態だった。

 家臣たちの議論はヒートアップし、もはや収拾がつかなくなっているが、秀秋は目を閉じたまま口も開かない。


「殿のご意見は?」


 やがて家臣のひとりが、押し黙ったままの秀秋を不審に思い、問いかけた。これに家臣たちが一斉に沈黙し、主の沙汰(さた)が下される時を待つ。


「いま考えておる」


 しかし返って来たのは、煮え切らない答えだった。


「なにを(おっしゃ)られますか!」

「もはや一刻の猶予もありません!」

「すぐに決断を!」


 家臣たちは秀秋よりいくつも年上であり、武士らしい貫禄(かんろく)に満ちている。そんな者たちが自分に群がるように(せま)って来るのが、秀秋には苦痛だった。


「ええい、考えておると言ったら、考えておるのだ! 貴様らがやかましいせいで、一向に考えがまとまらん! 貴様ら全員出ていけ!」


 しまいには逆切れである。

 家臣たちは秀秋の物言いと、駄々をこねるような姿勢に落胆した。


 小早川軍の兵数は1万5,000人。戦局を決定付ける戦力を有している。

 しかしそれを率いているのが、(よわい)19歳の秀秋だ。小早川家に養子に出されるまでは、天下人である豊臣秀吉とその正室北政所(きたのまんどころ)の下で甘やかされて育った。

 そのため、お坊ちゃん気質がいまだ抜けていない。


 もはやこの殿には何を言っても無駄であり、期待も出来ない――家臣たちは各々そういった思いを抱き、ひとり、またひとりと諦めたように本陣を後にする。


 焦ったのは秀秋である。


 「お、お前たち、出て行けと言われて本当に出ていく奴があるか!」


 呼び戻そうと、慌てて腰を浮かしたところで――


 プルルルルルルルル。

 近くで音が鳴った。


「おわぁっ!」


 つい身をすくませて、情けない声を出してしまった。家臣に見られたら、また「殿は落ち着きがない」などと小言を言われてしまう。

 秀秋はそう思って慌てて周囲を見渡すが、周囲には誰もいなかった。


 どうやら本当に自分はひとりにされたらしい。こんな合戦の真っ最中に、大将である自分の周りに誰もいないというのはどうかと思うが、いまはそれが幸いした。


 プルルルルルルルル。


 音はまだ鳴り続けている。

 これまで生きてきて聞いたことのない音だ。


 秀秋はいつでも抜けるよう刀の柄に手を当てながら、慎重に音のする方へにじり寄った。音の出どころはすぐに見つかった。

 地面に長方形の黒い箱のようなものが落ちている。


 プルルルルルルルル。


 間違いない。音はこの得体の知れない物体から聞こえてくる。

 ディスプレイには『着信中』と表示されているが、秀秋には読めないし、読めたところでそれが何を指しているのかは理解できない。


 秀秋は意を決して刀を抜き、箱を刀の先で突いてみることにした。

 しかし手が震えていたため刃先が滑り、偶然にもいわゆるスワイプのような動きになった。画面が映り替わり、表示が『通話中』へと切り替わる。


『もしもし』

「!?」


 耳障りな音が消えたかと思いきや、今度は人の声が聞こえて、秀秋はまた身をすくませた。


『もしもーし、聞こえますでしょうか?』


 間違いない。前の前にある箱から、たしかに人の声が聞こえてくる。


「は、箱から声が……」

『お手数をお掛けしますが、可能でしたらこの箱のようなものを、お手に取って頂いてよろしいですか?』

「手に……?」


 秀秋は恐る恐る、それを手に取って持ち上げてみる。 


『ありがとうございます。それでは本人確認から始めさせて頂きます』

「本人確認とな?」

『はい。小早川金吾(きんご)中納言(ちゅうなごん)秀秋さまご本人でお間違いないでしょうか?』

「な、なぜそれを?」

『スマホの転送成功、と。幸いでございます』

「すまほ……?」

『小早川さまが話されている、その箱のことです。あ、最初からスピーカーモードになっているので、そのままの距離感と声量でお話頂いて結構ですよ』

「すぴー、かあ……?」

『あ、すみません、ご挨拶が遅れました。私は文部科学省(もんぶかがくしょう)史実調査部(しじつちょうさぶ)コールセンター、安土桃山(あづちももやま)時代担当の水田(みずた)と申します』

「安土桃山……みずた……?」


 秀秋は困惑した。相手は間違いなく日本(ひのもと)の言葉を使っているはずなのに、どういうわけかなにを言っているのかまったく分からない。


私共(わたくしども)は、歴史の事実確認(じじつかくにん)ならぬ史実確認(しじつかくにん)を目的とした公的機関です』

「史実……」

『はい。ようするに歴史を大きく動かしたとされる人物に直接電話して、それが真実だったのかをお聞きするのが業務内容となっております』

「俺が歴史を大きく動かした……?」

『はい。そういった経緯(いきさつ)で、ぜひ小早川さまのお話をお聞きしたいと思い、450年後からお電話差し上げた次第でございます』

「450年後だと?」

『はい。お手元のスマホは最新技術で未来と繋がっております』

「いったいなにを言っておるのだ……」


 駄目だ、やはり分からない。

 秀秋はこの得体の知れない物を刀で叩き切るか、それとも遠くに放り投げてしまおうか迷ったが、なぜか姿も見えぬ男の声に興味が湧いた。


「お主は俺になにを聞きたいのだ?」

『関ヶ原の裏切りについて、です』

「う、裏切り!?」


 その単語に、秀秋は本当にスマホを放り投げてしまいそうになるほど驚いた。


『はい。だってもうじき裏切って、味方の大谷軍を攻める気でしょう?』

「ば、馬鹿を申すな! そんな武士の風上にも置けぬような真似をするか!」

『あれぇ、そうなんですか? おかしいなぁ』


 秀秋は何故自分がこれほど焦っているのか分からなかった。裏切りという選択肢が自分の中にあったのは事実だ。しかしそれを言い当てられたことでこれほど気が動転するとは。やはり裏切りに対して、後ろめたさを感じていたのだろう。


『えーと、小早川さまは裏切ったのではなく、最初からそもそも東軍――失礼、徳川方だったという説があるんです。そちらが正解ということでよろしいですか?』

「それもでたらめじゃ、俺は初めから治部少輔(じぶしょうゆう)(くみ)しておる!」

『じぶ……あー、石田三成のことですね。それじゃあやっぱり史実通りに、小早川さまは裏切ったということになってしまいますねぇ』

「だから馬鹿を申すな! 俺は決して裏切りなどせんぞ!」

『では、何故軍を動かさないんですか?』

「それは……」

『いま小早川さまが動けば、お味方の勝利は間違いなしですよ?』


 その通りだった。秀秋いる松尾山(まつおやま)からは関ヶ原の全体を見渡すことができる。

 小早川軍や南宮山(なんぐうさん)の毛利軍が参戦していないにも関わらず、西軍は有利に戦っているように見えた。いま小早川が敵の側面を突けば、勝敗は決したも同然である。


「お、俺は大局(たいきょく)を見ているのだ。()いては(こと)仕損(しそん)ずる、と言うであろう」

『さすが小早川さまですねぇ』


 まるで感情のこもっていない台詞に、秀秋は鼻白んだ。

 しかし声だけの相手に対して、なぜか怒りの感情は沸かなかった。


「ところで、お主はなぜ俺のことを知っている?」

『そりゃあ小早川秀秋といえば歴史上の有名人ですから』

「なに、この俺が?」


 信じられないというのが、秀秋の率直な感想だった。


 秀秋は次期天下人(てんかびと)候補だった。

 しかし秀吉の実子である秀頼が産まれ、そちらが最有力になった。

 おまけに秀秋は武勇も持たず、指揮官としての才覚もなく、朝鮮出兵の際は失態を犯して秀吉に愛想をつかされた。

 

 今となっては豊臣政権から爪弾きにされ、なんの期待もされず、家臣からも見放されているような身だ。

 自分が周りにどう思われているかは、自分がよく分かっている。


 よって秀秋は歴史に名を残すと言われても、到底信じられなかった。


「この俺が、どうして有名なのだ」

『天下分け目の関ヶ原で裏切った武将として、後世に語り継がれています』

「なっ……俺の名が、裏切者として刻まれていると?」

『ええ。そりゃーもうバッチリと』


 秀秋にはバッチリという言葉の意味は分からなかったが、言わんとすることはおおよそではあるが理解できた。


「そんな……つまり当家は一生、名誉などあったものではないということか」

『そんなに気を落とさないでくださいよ。あなたが裏切ったおかげで、無事に徳川家康が天下を取ることができたんですから』

「やはりあいつが豊臣家から天下を盗むか。あのタヌキめが……!」


 本音を言うと、大いに迷っているものの、徳川方につくという意思のほうが、秀秋のなかでは割合としては大きかった。しかし自分が裏切ることで豊臣家の天下が潰えてしまうと考えると、さすがに躊躇してしまう。


『あ、やっぱり裏切るのやめます?』

「もともと俺は初めから裏切るつもりなど毛頭ない!」

『そうですか。やっぱり秀頼さまが成人なされるまでの期間限定とはいえ、関白(かんぱく)の職は魅力ですもんねぇ』

「お主、なぜそれを知っている……!」


 無事に家康の軍勢を討ち滅ぼしたあかつきには、秀秋に関白職の恩賞を与えると三成は約束した。これはわずかな人間しか知らない情報のはずだ。


『だから未来の人間なんで当然なんですよ。あ、そろそろ時間かな?』

「なにがだ?」

『念のため頭を下げておいたほうがいいですよ。銃弾が飛んでくるんで』

「銃弾? それはいったい――」


 その時、けたましい炸裂音が鳴り響いた。


「ひいいっ!」

『ほーら、家康からの催促(さいそく)だ』

「なに!? 今のは徳川殿が撃ったと申すか!?」

『ええ。後世には問鉄砲(といてっぽう)と伝わっています。まあ戦場でどこの誰が撃ってきたかなんて分かるはずもないんで、これは創作の可能性が高い――あっ』

「と、徳川殿が煮え切らない俺に怒っておられるのか……!」

『しまった。僕が犯人を言っちゃいましたね。まずいかなぁ、これ』


 水田は自分が口を滑らせたことに気付き、どうやって誤魔化すかを考える。

 一方で秀秋は、そんなことは気にならないほど焦っていた。


 あの絶大な権力を持ち、百戦錬磨の家康が、自分に対して腹を立てている。

 もしかしたら煮え切らない自分を見限って、攻めて来るかもしれない。


 そのことが、ただひたすらに恐ろしかった。


「ど、どうすれば良い!?」


 秀秋は(わら)にも(すが)る思いで、電話先の人物に問いかける。


『えっ?』

「俺はどうすれば良いのだ! 教えてくれ!」


 元よりどちらの味方をするかという重圧に加えて、未来人を名乗る者からの着信、そして家康からの脅しを受け、秀秋はすっかりパニックになっていた。


『……決めるのはあなた自身です。あなたが歴史を動かすんですよ』

「歴史を……動かす……」

『はい。あなたの決定が、その後の日本を運命づけるんです』

「日本の運命を……この俺が……俺なんかが……?」


 秀秋は思う。自分は常にほかの誰かによって決められてきた人生だった。

 秀吉の養子になったのも、小早川家の養子になったのも、三成に味方して関ヶ原に参戦したのも、周りに言われるまま、流されるままだった。


 ついに自分が物事を決めるときがきたと思えば、それは日本始まって以来かという大戦であり、その戦局を決定づけるものだった。

 徳川につくか、豊臣につくか。

 自分の選択が、その後の日本を決めるのだ。


「……お主は450年後にいるのだったな」

『ええ。申し上げた通りです』

「ということは、俺の行く末がどうなるか知っているのか?」

『……っ』

「やはりそうか」


 これまで淡々とした口調だった相手が、初めて声に出した動揺。

 秀秋はそれを見逃すほど、愚鈍(ぐどん)な男ではなかった。


「俺は、どうなる? 裏切者にはどのような先が待っている? 豊臣方に仇討(あだう)ちされるのか? 老いて死ぬまで裏切者と罵倒され続けるのか?」


 そして秀秋は、裏切りなどという行為を働いた自分が、大名として出世を果たすどころか、平穏無事な日々を送れるはずもないことも、よく分かっていた。


「それとも――裏切った相手からの(たた)りに合って、近いうちに死ぬのか?」

『それは……』

「いや、良い。俺とて聞きたくはない」


 言い淀んだ水田に対し、秀秋はすぐに遮った。


「ただ、これだけは教えてほしい。タヌキ――徳川家康のつくる世は、天下太平(てんかたいへい)な世の中なのか? 戦がなく、民が死なず、人を祟らず、俺以外に裏切者と罵られる者がいない――そのような世が、ずっと続くのだな?」

『…………はい』

「そうか――感謝する。ならば俺のすべきことは、ひとつだ」


 秀秋はそう言うと、スマホを地面に置き、代わりに兜を取り上げた。


「水田と申したな。お主と話が出来て良かった」

『私もです。小早川秀秋さま』


 裏切ることが正しいとは思わない。しかし自分が裏切ることで、世が平和になるのであればそれで良いかもしれない。

 そして歴史に小早川秀秋という名が刻まれるということは、己はいつまでも生き続けるということだ。この先自分はどうなろうと、未来に生きているのだ。


 合戦当初は濃い霧に覆われていた関ヶ原も、いまでは秋口らしい快晴となっている。秀秋の心境もまた同じだ。気分は嘘のように晴れやかだった。


 秀秋は別人のような堂々とした足取りで歩を進め、陣幕をめくる。その先には、秀秋の命令を今や遅しと待っている家臣団がいる。


「皆の者、討って出る! 向かうは大谷刑部吉継の陣なるぞ!」


 秀秋の声に続いて、兵士たちによる(とき)の声が上がった。





「……ふぅ。これにて史実確認完了、っと」

 

 モニターに『通話終了』の文字が画面に出て、さらに遠隔操作であちら側のスマホの電源が完全に落ちたのを確認すると、水田は長時間かけっぱなしだったヘッドセットを外し、大きく伸びをした。

 全身が解放感と満足感に包まれ、このまま目を閉じてしまいたくなるが、仕事はまだ終わっていない。これから録音データとメモをまとめて、調査報告書として仕上げて提出しなければならない。


 とはいえさすがに疲れた。ちょっとくらいタバコ休憩を挟んでも悪くは言われないだろうが、せめて報告書のさわりの部分だけでも作成しておくか。

 水田はテキストエディタを開くと、慣れた様子でタイプし始めた。



『1600年関ヶ原の戦いにおいて、小早川秀秋の寝返りは史実通りである。しかし秀秋が臆病で無能だったとする説については否定したい――』



 2050年。人類はついにタイムマシンの開発に成功した。

 しかし未来へは行けず、行けるのは過去のみ。さらに一度行ったら現代には戻って来られない上に、高さ160ミリ・幅80ミリ・重さ250グラムまでの物体しか送ることができなかった。ちょうどスマートフォンのサイズである。


 そこで人類はスマートフォンを過去の時代、歴史的な事象に大きく携わった人物のもとへと送り、時空を超えた電波のやり取りをすることで『真に完璧な歴史書』を作成させようという機関を発足させた。


 日本も例に漏れず、公務員としてその仕事が存在する。

 それが文部科学省(もんぶかがくしょう)史実調査部(しじつちょうさぶ)コールセンターだ。


 報告書をキリの良いところまで進めたところで、ようやく水田は席を立ち、喫煙所へ向かおうと歩きはじめる。

 その周囲では同僚たちが、様々な時代の偉人たちと通話している。


「源義経さま、いよいよ壇ノ浦ですね。いまのお気持ちを聞かせてください!」

「もしもし、明智っち? 本能寺攻めるってマ? それってヤバくね?」

「ああっ坂本龍馬さま、あの名セリフを是非お聞かせください! 日本のー?」


 この仕事は大変だが、じつに面白いと水田はつくづく思う。

 さて、次はどの人物になるだろうか。

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