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「11:ヤクザじゃないぞ……」

 翌日、さっそく剛田さんから連絡が入った「東条さん、間一髪で止まってるけど、最高にヤバイ状態。キーマンは若月さんですよ、奥さんは寝たきりで若月さんのいう事しか理解できないというのはお話しましたよね。行ってみて分かったことは、今はその若月さんがどうも誰かに洗脳されているみたいなんです。なんたって、若月さんがこの私を疑っているんだから。若月さんを洗脳して、奥さんと売買契約をさせようとしている。ぎりぎりのところで止まってるのは、なんと二つの勢力が、若月さんの奪い合いをしてるからなんです。いまのところ若月さんが訳が分からなくなって躊躇しているという状況。相当な金が動くからどっちも本気。勝った方が若月さんを手に入れるわけです。それにしても、まさか若月さんが私を拒絶するとは思わなかった。そんな話があったら、まず私に連絡が入るはずじゃないですか。こうなったらさすがに私も今回は打つ手が見つからない。お手上げですよ」

 武は、その話を聞いてちょっと気になる事がある。

「剛田さん、『ヤクザ』は確かにヤバイ話だけど『外人』って、誰だろうね、まともな人だったら、そっちに振ってあげるのも良いんじゃない?」

「そうですね、今回は前触れ無しにいきなり行ったからマズかったかな、ちょっと若月さんのご機嫌を取る工夫をしてみます」


 蓮池の件は完全に終わったと思ってた。今度の事、放ってはおけない。でも危険過ぎるよな。武は日記を記しながら頭を抱えた。


「キーミーガアーヨーハー……」携帯に着信があった、剛田さんだ。

「すません、剛田です、昨日行ってきました。一つ分かりました。ヤクザと思われた方は宗教ですね」

「宗教、どういうこと?」

「昨日はちょっと考えまして、若月さん宛てに猫の人形というか、縫いぐるみみたいなオモチャをお土産に持っていったんです」

「それが宗教とどう絡むの?」

「実はこの問題が起きて、私が最初に行ったとき、犬の人形が置いてあったんです。それには『○○Dog』と書かれた札が付いていたんです。けっこう大きな人形だったんで覚えています」

「蓮池自身は動物嫌いで有名だったじゃない、だから犬も猫も飼ってなかったよね」

「そうです、でも奥さんも若月さんも動物はきらいじゃない、そう予測して私はお土産に猫の人形を持参したんです」

「なるほど、結果は?」

「二人とも大ニコニコ、基本、女性はペット好きだから」

「その作戦は正解でした、ところがヤバイ物があったんです」と、剛田さんが顔をしかめる。

「何ですか?」

「仏壇」

「前回は無かったのに、本来の仏壇を隠すように置かれてました。で、それが異様なんです」

「異様?」

「そうです、私が見たことの無いものです。仏教じゃないですねあれは……、もしかして、タイとかインドネシアあたりの物じゃないかと……」

「ヒンズーとかイスラム?」

「分からない、とにかくカラフルで異様なんです。で、探りを入れようと思って、『立派なお仏壇ですね、これはどんな宗教なんですか?』って聞くと『バラモンです。日曜日に僧侶様が来ます』って言うじゃないですか」

「バラモン? そんな宗教あったっけ」

「聞いたことはありますよ。でも、たぶん現代じゃないでしょう」

「日曜日ね……決まった、立ち会おう」、武は即決して「Go」サインを出した。もちろん剛田さんもOKだ。

 ちょっと思い出した。「犬の人形もバラモン?」

「違います。それは、もう一人の買い主、外人さんからの贈り物でしょう」

 武はまず『バラモン』を叩くことにした。

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