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(ディア6):『政治の話』(?)ガンダムとかヘルメット


タイトルを政治の話、としてしまいましたが。ウチらの三人娘はそんなの深くは考えていません。

 不敬・不適当・不謹慎である……と言われた場合、謝罪して削除するか、あるいはこちらも言論の自由を掲げて放置するかは……特に決めてません。なのでできればノークレーム・ノーリターンでお願いします

 #2025/04/16当時(から合間をぬって、少しずつ書き始めた)の文章です。

-----



「ねぇアヤナさー」

 ディアの発言だ。いつもの話の振り方であるが……冒頭でなんか政治がうんぬん書いてあるのでビビッた。

「な、何よディア」

「ロシアとウクライナの戦争が始まって、もう3年過ぎたじゃない?」

「そうね」


「そろそろ、ガンダムが実戦投入されてても良さそうな時期よね」


 ゆっくり視線を外すアヤナとは対照的に、モニカは瞳を輝かせる。

「実はディアさん! ガンダムは既に開発され、データ収集の後に量産化されてます!」

「マジで!?」

「はい! お台場に立ってたのとか、データ収集のためだったんですよ!」

 あやなはこっそり(コイツが言うと謎の説得力があるな)とか思っていた。

 モニカはぐっと拳を握る。

「ただ残念なことに、まだビームライフルの量産が進んでおらず。大量のガンダムは倉庫に眠ったままです!」

 例によりディアとモニカはキャッキャしてたが。今回、アヤナはこっそり呟いてしまった。


「ゲルググかよ」


 ディアが、アヤナに訊ねてくる。

「それでさ。ねえアヤナん。NATOあるじゃん? NATO。いつもアナウンサーが『北大西洋条約機構』って後ろにつけるんで憶えちゃったやつ」

「まあ……憶えるわね」

「アメリカもNATOなん?」

「メイン」

「でも。それだとさ。アメリカ……戦場、遠くね? 集団防衛なら、EUの方が近いんじゃ?」


 モニカは少し俯いた。

「EUの方のNATO代金(?)は未払いが多く、また今回ウクライナへの援助も桁が違うくらいに少ないと聞きましたね」

「それでアメさん。戦って、うまみ、あるの?」

「さあ……。レアアースうんぬん言ってましたが、美味しくはないんじゃないでしょうかね? 前大統領の時は何も言わなかったし。そもそもレアアースって、結構どこにでもあるし」

「マジで!? それもう、既にレアじゃないじゃん!?」

「はい。日本にもいっぱいありますよ」

「!?」

「アメリカの足下にシェールガスがいっぱいあるのに、やっぱり普通の油田からエネルギー取ってるのと同じです。深く取ると、技術もコストも時間もかかるし。なので……ウクライナのレアアースってたいしたことないと思います。それでバンバン稼げるなら、既に売ってたはずですし」


 アヤナが言う。

「撤退してくのにレアアースうんぬん取り付けるのは、割と良いと思ったわね。いつでも難癖つけて介入できるってことで」


 モニカがアヤナに尋ねる。

「アヤナさん。アメさんの戦略目的って何になったんですか?」

「『戦略的撤退』」

 ディアはぶーたれる。

「えええ!? 私たち正義の戦士的には、もっと、こう……」

 アヤナとモニカは思っていた。

「(別にディアって……)」

「(正義ではないと思います……)」


 ディアがポニーテールを揺らす。

「結局、アメさん的にはどうなったのさ」

 アヤナは黒髪ロングを指でくるくるさせる。

「3年間で何兆円だか持ち出しで使ってるし。いえ逆に、戦って3年間も持ちこたえた……という見方はできるわ。それが成功だか失敗だかは知らないけど」

「戦略目的の変化?」

「そうね。ただ正当な民主主義の元、選挙で公平な投票が行われ、大多数の民意が汲み上げられて、新しく大統領が選ばれて、それが公約通りに実行されてるんだから、他の国がどうこう言うべきではないかと」



 ディアは少し考えて、言った。

「じゃあアメリカの次にロシアと戦う国はさ。西側で、NATOに縁があって、そこそこのカネと軍隊を持ち、民意が対ロシアで一致しており、ロシアに対して歴史的に対立していたことがあって、ロシアと戦争しても国際社会から怒られず、かつ現時点で、『武力による現状変更を認めない』を公言してる……そんな国がどこかにあれば、彼らがウクライナで戦えばいいのかな?」



 アヤナが顔を曇らせた。

「……過去最高に危険な発言かもしれないけど……」

「いや、そんな国があるかは知らんけど。少なくとも私がアメさんなら『じゃあお前が戦えよ』と言うとは思う」

 ディアの言葉に、アヤナは恐る恐るだ。

「そ、そうね。でも少なくともウチの『アヤナ隊』には関係のないことだし……」

 モニカは指をとんとんさせた。

「武器供与くらいしてもいい感じでは」

「えぁあ!?」

 この子たちは割と武闘派である(いやむしろ、この三人全員は武闘派であるが)。


 モニカは肯いた。

「でも、ですよ? もし台湾有事で台湾が攻められたら、きっと自衛隊も兵を出すはずですよね? 世論も割とそんな感じですし。だったら今回、人間は出せなくても、武器くらい」

「……いや、まあ。でもそんなこと言うと色んな人から怒られると思うし……」

 しどろもどろなアヤナに、モニカは軽く叫ぶ。

「ウクライナの前線からは、せめてゼータガンダム級が欲しいと言われているのに!」

 ディアも呼応して、軽く叫ぶ。

「テキトーにリガズィでも送っておけ! 見た目似てるし、バレないやろ!」



 (何故か)場が地球連邦軍憎し、の雰囲気になったので。モニカが言った。

 ディアの肩をゆっくり押しとどめて、満面の笑み。

「でもディアさん。日本はテキトーなモノしか送ってませんが、我らがドイツは即座にウクライナに支援しましたから。人類は色々と大丈夫かもしれません」

「……そうだっけ?」

 モニカは真顔で言った。



「ヘルメット5000個提供」



 ディアは身体を震わせた。

「うおおおお!」

「しかも自衛用らしく」

「ヘルメットは自衛用に決まってるよ!」


 モニカは何度か肯いている。

「私 (たち)の発言とかより。ドイツのヘルメット送付事件のほうが、よっぽど戦争を笑いものにしていて、不適切な案件な気がしてきます」

 アヤナはぼんやり思ってしまっていた。

「(ヘルメット送付は、既に『事件』『案件』のカテゴリーなのね……)」


 ディアも肯いている。

「なんかアレだね。被災地に千羽鶴送ってみた、系の」

「うっわ。邪魔です。輸送リソース食いますし」

「燃やせば燃料になるかも?」

「だったら、そもそも折らないでほしいですね」


 そこでアヤナはモニカに聞いた。

「ねえモニカ。軍事用のヘルメットって、小銃の弾は抜けちゃう? 弾ける? ヘッドショット防げるのかしら?」

「はいアヤナさん。小銃の弾はヘルメットくらい余裕で抜けます。あれは『砲』の破片から守る役割なので」

 アヤナは呟いてしまった。

「だったら、なおさらヘルメットいらないんじゃない? 武器もなくてみんな逃げるならさ。逃げる方に『砲』は来ないし、そして武器がないなら接近すらしないし」


 ……。一瞬、(またも)間が開いてしまったが。アヤナが言った。


「ごめんごめん。悪気はなく」

「まあ例え悪気があっても、ドイツ人はブチ切れないと思いますが」

 アヤナはコクコク肯いた。

「代わりにさ。ちょっと格好いい展開を考えてみたんだけど」

「何です?」

「戦線を維持していたウクライナ兵が、こう言うの。『くっ……この拠点も放棄するしかないか……! ドイツからはヘルメット5000個が来るとしか言われないし。もうダメだぁおしまいだぁ』。疲労困憊、満身創痍。傷つき倒れて絶望する兵士たち。そこに、ピンポーンとチャイムの音が鳴るの」

「(どきどき)」

「(わくわく)」


「そこにはマッチョで装備満載の精鋭ドイツ兵5000人の姿が! そして彼らはこう言うの。『みんな、よく戦線を維持してくれた。後は俺たちに任せろ! このヘルメットを被って、後方で待機しててくれ』!」


 ディアは燃えている。

「すげー! かっこええー!」

 モニカもぶんぶん手を回している。

「凄いっす! 我らのドイツ人は、やっぱりやってくれました!」

 #妄想です



 ディアが興奮したまま言う。

「でもさ。ドイツから届いたヘルメット5000個。実際にこれをウクライナが『軍事転用』してさ、何とかロシアに対抗せねばならない……! となると、どうすればいいかな?」

 ディアとモニカが少し考え込んだ時。アヤナがぽつんと言った。

「ヘルメットで殴りかかる、とか……?」

 #一応、ウチでは。素手や小石で悪魔を撲殺する話もあります。



 ディアが真面目な顔で言う。

「ねえアヤナん。それって……頭に被る防御用ヘルメットと、殴りかかる攻撃用ヘルメットの両方が必要になる……ってことでいいんだよね?」

 モニカも釣られて言う。

「じゃあ動員できる兵士数は、ヘルメット5000のうち攻撃と防御を使うので……2500人ですかね」

 ディアはチッチッと指を振る。

「いやいやモニカ。現代戦で突然に殴り合いはないわよ。遠距離から接敵するために『投擲用ヘルメット』も必要になると思う」

「おぉ!」

「攻撃(殴る)、防御(被る)、投げ(近づく)。つまり5000のヘルメットを軍事転用させるなら……ざっくり1600人くらいか。そのくらいの武装集団になるわね」

 アヤナはこっそり思っていた。


「(それ、言うほど『武装』の集団かなぁ……)」



 一息入れて。アヤナは言った。

「でもさ。ウクライナのゼレンスキー大統領は、そういう届いたヘルメットをやりくりして、何とか戦争を頑張ってるのよね?」

「(流石にヘルメットをやりくりはしてないような気もしますが……)」

 しかしアヤナは肯く。

「詳しくはないけれど。あの人、もともとはコメディアンって聞いたわ。何だかそういうのにロマンは感じるの」

「そう……です?」

「とある空母に。めっちゃ強いシェフが乗ってた感じで」

「まあ……そう考えれば」

「何よモニカ。言いづらそうだけど」

 ディアがちょんちょんした。

「アヤナんは、ドクター中松が総理大臣になったような感じがしてる?」

「そうねディア。夢があると思わない? だいたいウチ(本編。レオン王国)の王政は、基本的に『血』でトップが決まるわよね? 多少は色々と揺らいでも」

「まぁ……」

「そこへ行くと民主主義。大多数に支持された意見が統治する。なかなか良いシステムだと思うわ」

 モニカが軽く肯いた。

「衆愚政治、ってヤバい状態な時もありますが……でも、まあ、うん……」

 ディアも神妙に肯く。

「『血』で選ばれることはない、ってのは良いかも。でも何て言うか。色んな人が国のTOPになれる、ってのは凄いけど。うん」


 アヤナは、少しむくれて言う。

「何よ二人とも。なんだか、さっきから言いにくそうで」

 モニカは軽く目を背けた。

「ゼレンスキーさんの資質やら行動やら、功績やら、そういうのは私には分かりません。今の時点で分析もできないと思いますし。でもゼレンスキーさんが元コメディアンってのは確かで」

「何よモニカ。コメディアン差別!?」

「いえ、なんというか。……あの人、お茶の間に出しちゃいけない系のコメディアンなので」

「お茶の間に出しちゃいけない系?」

 不思議がっているアヤナに。ディアが、超真面目な顔で言った。


「アヤナん。ゼレンスキーの立ち位置を表現するなら……」

「ん?」



「『下品な江頭2:50』」



 少しの間を置いて、アヤナは爆笑した。

「あははははは! エガちゃんって、もう既に下品でしょ! もう確実に下品! エガちゃんの下はあるわけないわよ! あはははははは!」


 ディアとモニカは、そっと視線を外していた。


 そう、アヤナは知らなかった。

 単純に知らなかったのだ。

 エガちゃんは確かに下品だけれども。



 ゼレンスキーとは違って、エガちゃんは、一線は越えていない……と言うことに。








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(もともとはこの後に、本編その他の政治体制をざっくり書くつもりだったのですが。この文章が長くなりすぎたので、今回はここまでで……)


(2025/07/11追記。ちなみに当時の活動報告にも書いたのですが、当時のドイツはやはり『ヒトラー』の影響が強く。あるいは……日本以上に「戦争反対」だったはずかと。最近ブチ切れ始めてますけどね)


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