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第六話

大変長らくお待たせしました。


色々と立て込んでいましたゆえ……



まぁ、これからも不定期になるんですが、宜しくです。


その警察の人からの提案に、俺は驚いた。


「あの子の事、引き取ってはどうですか?」


「……お、俺が?」


「はい。莉鷹ちゃんと一緒に来た時の事、救急隊員の方が教えてくれましたよ。あの子の手を握っていた時、彼女、少し安心した表情をしていたと」


確かに、俺はまだ混乱していた時だった。どうしたら良いかもわからない中でなぜかりおの手だけを握り続けていた。


「あの子が心を許している。自分たちから見てもそう思えたんでしょう。なので、どうかあの子の後見人になってはくれませんか?」


名前も知らないその警官に、あの子の人生を頼まれた。こんな俺がだ……本当にいいのか?


『助けて……』


未だに過る…あの日のことも…


「……」


「……」


「……分かりました。俺が、あの子のそばにいます」


「!!良かった!では、諸々の手続きなんかも自分達がある程度サポートするんで、宜しく頼みます!」


破顔させた警官は敬礼をして、立ち去ろうとする。しかし、俺はそれを慌てて止める。


「あ、あの!」


「は、はい?」


「なぜ、そこまであの子のことを気にかけるようなことを?」


警官は、何やら影がさしたような顔をして、つらつらと話した。


「以前、同じようなことがあったんです。親からの虐待で助けられなかった子供が……未だに覚えてます。抱え上げた時にはもう冷たくなっていた感触が。自分達が勝手に産んだ子供にこんな仕打ちをって……だから、もう二度とあんな子供達を生み出さないように、自分は日々奮闘してるんです!」


「そ、そうなんですか」


「というか、その質問はあなたにも言えますよ?」


「え?」


「貴方があの子のことを気にかけてるのは、何故ですか?」


答えられなかった。惰性なのか、気まぐれなのか、それともあの日の尾を引いているのか……自分自身がわからずにあの子と接して、ここまで来て……答えがぐちゃぐちゃになっていた。


「その答えは、あの子に教えてあげてください」


「……はい」


「では、自分はこれにて!」


そう言って、警官は去っていった。


時刻は既に午後十時。暗がりが辺りに増していた。









「……ん、んん…」


りおが目を覚ました。


「お、起きたか」


「お兄さん……ここは?」


「病院だ。大変だったんだからな?」


小さく溜息をこぼした俺を見て、りおは笑みを浮かべる。


「……寝てないの?」


「……ここのベッドは患者用だ」


「話逸らさないで」


「……子どもが気を遣うな」


「あー、意地悪な大人だぁ」


「大人しく寝てろ」


目覚めたばかりだというのに、その軽口は健全だった。


「……父親はお前を置いてどこかに行ったぞ」


「うん。知ってる……そのままのたれ死ねって言われたから」


「……警察がそいつ探してるからな」


「……あーあ、ついに私、一人かぁ…」


痛むだろうに、俺に背中を向ける。泣きそうな顔を見せたくない…そんなふうに見えた。


「……俺の家は広くてな」


そんな姿を、俺はもう見たくない……


「誰かと住むとかも決まってないから」


だから、単なるわがままになるかもしれないけど……


「りお──」


どうか、この子のヒーローで居させてくれ。


「俺と一緒に暮らさないか?」


たった独りの……この子のヒーローに……



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