愛用の銃
掲載日:2022/03/07
「あのですね・・・」
役所の男は、眉間にしわを寄せていた。
「あなたが、この銃に愛着があるのは分かりますよ。20年ほど前、村を襲った巨大熊をひとりで倒したという話もお伺いしました。その際に使ったのがこの銃だったとか。」
「ああ、そうさ。」
顔に大きな古傷がある老人は、誇らしく語った。
「あの時だって、コレを使っていたから倒せたのだ。的確にあやつの心臓を打ち抜けたのはコレのおかげだよ。ワシの腕だけじゃない。狩猟生活を50年間にわたり続けられたのも、この銃があったからで・・・。」
「ですがね、こちらが一目見て分かるくらいにはガタが来ているんです。だから、今後の許可を出すわけにはいかなくて。つまり、その・・・使用するのが危ないんですよ。」
「ほう。どこが危ないと?」
「複数あるんですけどね、この部分なんか特にそうです。針金で銃身とカバーを固定しているではありませんか。見るからに危なっかしくて。」
「言葉の使い方に気を付けろ!」
老人は声を荒げた。
「針金で固定しているから危ないだと?銃身とカバーが離れたら危ないから、針金で固定したんだ。まったく。これだから、役所の若い連中は・・・。」
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