冒険者「伝説の聖剣を手に入れた……よし売ろう!」
レビュー3つ目……今なら宝くじが当たる気がする、ちょっと貯金おろして来ます!
俺の名前はガイル、何処にでもいるマッチョな金髪モヒカン頭の冒険者だ、今年で二十歳になる
今日もいつものようにダンジョンで日銭稼ぎをしていたんだが、隠し部屋を見付けたんで入ったら、落とし穴トラップに引っ掛かり
──台座に刺さった聖剣を見付けた!
いやビックリしたぞ、いきなり床が抜けたかと思ったら真っ逆さまに落下して、ダンジョンボスの頭にぶち当たったんだ
落下時間は体感で十秒程だったから、おそらく落下速度は上限速度の二百キロになっていただろう
その速度で装備込み百キロの質量が剣をぶっ刺したんだ、流石のボスもワンパンだった
持ってて良かった身代わり人形、この一度だけ致死ダメージを肩代わりしてくれるマジックアイテムがなかったら、俺も死んでたからな
そして辺りに散らばるダンジョンボスのドロップを回収したら、奥の扉が開いて、銀の刀身に金色の文字が光輝くクレイモアを見付けたんだ!
もうテンションMAXだぜ!ダンジョンボスを倒しただけでもウッハウハだったのに、聖剣まで見付けたんで嬉ションする所だったぜ!
聖剣はもう速攻で持ち帰った
ボス部屋奥の転送ゲートで地上に戻って、宿に置いておいた鑑定のマジックアイテムで聖剣を調べたんだ
────────
聖剣マサムネー
装備効果:攻撃力上昇大 物理防御上昇中 魔法防御上昇中 身体能力強化大 剣聖技取得 剣魔法取得 常時回復
パーティ効果:取得経※※増加大 スキル習※確率※加大 ドロップ率増※大
スキル:光剣 瞬※ 空歩 ダ※ル 鑑定
シー※※ット※キル:※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
※※※※※:※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
────────
安物のマジックアイテムだから全部の性能は確認出来なかったが、これは見た目通り聖剣で間違いなさそうだ!
──よっしゃー!俺にも運が向いて来た!これで左うちわ確定だな!
と、これからの幸せ計画を練っていたら、聖剣が光輝いて女の子になったんだ
なんか白いローブを着た十代前半くらいの黒目黒髪ボブカットの少女で、頭に割れた仮面を乗せている……これってまさか、娯楽小説でよくある擬人化ってやつか!
「初めましてマスター、私は聖剣マサムネーです」
そして流暢に喋っている、これは素晴らしい!
「マスターとは呼ばなくていいぞ、どうせすぐに売るからな」
「え?」
これだけ凄い性能なのに加えて可愛い女の子になるなんて、いくらで売れるか想像もつかないぜ!
最低でも一生遊んで暮らせるな!家買ってメイドを雇って、ずっと趣味に没頭できるぜ!
「冒険者ギルドのギルド長に直接話を持って行くか、顔見知りのギルド長なら下手な商人と違って足元見られないからな」
「ま、待って下さい!私を装備したら英雄になれるんですよ!そんな端金ではなく、もっと稼げますよ!」
「いや、一生遊んで暮らせる金が入るなら、それで十分だろ?」
危険な冒険者稼業とかやってられねーよ!
だいたいよー、この剣はオーバースペック過ぎるんだよ、そんなのを使っていたら……
「お金だけではありません、人を越えた力も手に入るんですよ!」
「それだよ、それ」
「え?」
正にそれが一番要らない物なんだよ
俺はマサムネーの肩にポンと手を置くと、諭すように語りかけてやった
「いいか、一度しか言わないから良く聞け…………俺はクズだ!」
「あ、はい」
「クズが力を手に入れたって、碌な事にはならねーんだよ!」
「ちょ、そんな後ろ向きな理由で!ま、待って下さい、自分の事をクズと言う人が、酷い事をするとは思えません!」
「いーや、俺はするね!例え降って湧いた力でも、自分を選ばれた人間だと勘違いして神様気取りの嫌な奴に成り下がるね!」
「自信満々に自虐しないで下さい!だいたい仮にそうなっても、最強の力があるのなら問題ないでしょう!」
「ハッ、お前は何も分かっていないな」
「何がですか?」
「その力は所詮外付けなんだ!絶対に幸せの絶頂期に力を失くして、今まで虐げていた奴から、ざまぁーされるわ!」
「なっ……そ、そんな事ある訳ないじゃないですか!吟遊詩人のサーガじゃあるまいし、世の中には悪党が我が物顔で生きていますよ!」
「無知なお前に教えてやろう……今はな、ざまぁー系の娯楽小説が流行っていて、悪党も掌を返して慈善事業に精を出す世の中なんだぜ」
「リアルと小説をごっちゃにする人ばかりですか!」
「俺は詳しいんだ、伊達に小説探索者と呼ばれてないからな」
「そんなスコップは捨てて現実を見て下さい!と言うか掘り起こす程大量に有るんですか!」
あるぞー、毎月大量に新刊が出るからな
お陰で食費にも事欠く始末で、知り合いに飯をたかっている、対価は部屋の掃除だ
「冒険者への依頼に、娯楽小説を書いてくれというのが有るくらいには大量にあるな、俺も短編を何本か書いたぞ」
「ちょっと寝ていた間に、製本技術がエグい事になってるぅぅぅぅぅぅーーー!」
頭を抱えて悶絶し始めたので、今度は頭にポンと手を置いて慰めてやる
「大丈夫か?ドナドナ歌ってやろうか?」
「歌わなくていいーです!ま、まだです……私には最後の切り札があるんですから!」
「あー……娯楽小説では、切り札は大抵失敗するんだよな」
「失敗しません!……あっ、すいませんけど、ちょっと手を見せてもらっていいですか?」
「手?別にいいけど……痛てぇぇーー!」
こいついきなり手の平を刺しやがった!手を取った瞬間に、指を俺の掌にめり込ませやがった!
とっさに手を引いて距離を取り、そのままマサムネーを睨み付ける……んだけど、なんか目が焦点を失くして、棒読みに何かを口ずさみ始めた
「遺伝子情報ヲ確認シマシタ、コレヨリ魂ノ同期ヲ開始致シマス……同期完了……再起動致シマス」
怒りのままに殴りかかろうとしていたのに、不気味な雰囲気に一歩後ずさってしまった
なんか目がオレンジ色に点滅して、ガガッガガッと金属音までしている
「……何をした」
目の色が黒に戻ってから恐る恐る聞くと、マサムネーは満面の笑みで最悪な事を言い始めた
「所有者登録をしました、これで私はあなた以外では性能を発揮できません」
「なっ!今すぐそれを解除しろ!売れねーじゃねーか!」
「マスターが死ぬまで解除できませんよ……これでもう売れませんよね、下手に売りに行ったら、マスターを殺してでも奪おうとする人が出て来るでしょうから」
「き、貴様ー!」
「ふふふ、ずっと一緒ですよ、マスター」
「ざっけんなボケ!」
───
──
─
二日後、俺はマサムネーを片手に携えながら、魔法使いの格好をした金髪美人と一緒にダンジョンの人気の無い場所へと潜っている
「という訳で、お前には外付け良心回路になって欲しい」
「突然ダンジョンに連れ出されたかと思ったら、また面妖な事態になっているみたいね」
一通りの説明をすると、金髪美人……ユリアが眼鏡をキラリと輝かせながら興味深気に呟いた
こいつの名前はユリア、俺の幼馴染みであり魔法ギルドに所属する魔法偏執狂の研究者だ
普段は研究室に閉じ籠っているのだが、無理を言って来てもらった
「マサムネーが言うには、所有者登録は絶対に解除出来ないらしいが、本当か?」
「詳しく調べてみないと断言出来ないけど、多分本当よ、所有者登録を必要とする武具やマジックアイテムは存在するから……と言うか、あなたにあげた身代わり人形もその一つよ」
『魂と紐付いているので無理に解除しようとしたら、ガイルは死にますよ』
「登録を解除するには、破壊するしかないと言われているわね」
思わず「よし壊すか!」と言いそうになったが、聖剣や呪いの魔剣のような強力な武具は、そう簡単には壊せない
とんでもなく頑丈なんで、壊そうと思ったら、昨日換金したボスドロップが端金に思える大金が必要だったはずだ……そして壊れた聖剣は、二束三文にしかならない
「とてもそんな金は用意出来ねーな、地道に稼ぐしかねーのか……クソ!せっかく聖剣を売って、一生遊んで暮らせると思ってたのによー」
『ダンジョンボスマラソンしましょう!すぐに億万長者になれますよ』
「アホか!昨日ちょっと使っただけでも、筋肉痛と脱臼で動けなくなったのに、そんな危ない真似が出来るか!」
『えー』
マサムネーの装備効果に『剣聖技習得』があるのだが、これは剣の腕を剣聖並みに引き上げるものだった
昨日は試し切りで岩を豆腐みたいに切れたので、調子に乗った俺はダンジョンに潜ったのだが……普段使わない筋肉を酷使されたのと、関節を可動域限界以上まで動かされて、一戦やっただけで肉離れと脱臼で死ぬほどの苦痛を味わった
マサムネーの効果に常時回復があって、すぐに動けるようになったからいいけど、無かったら今頃魔物の餌だったな
「それで、私は何のために呼ばれたの?外付け良心回路って、意味が分からないのだけど」
「あーそれな、簡単に言うと、俺が外道な事をしないように見張っておいて欲しいんだ」
「……要するに、ガイルとパーティを組めと?それをして私にメリットはあるの?」
「暫く慣らしが必要だが、スキルを使えるようになったら魔物をバンバン倒して研究資金が手に入る、ついでにマサムネーの効果で、パーティメンバーは経験値とドロップ率とスキル習得確率が大幅に上がるから、これから先の研究でも十分役に立つと思うぞ」
「取り分は?言っとくけど私は研究畑の人間だから、戦闘では役に立たないわよ」
「無理矢理付き合ってもらうんだ、取り分は3:3で残りの4はパーティ資金でどうだ?ついでにパーティ資金の管理も任せたい」
「……」
ユリアが考え込み始めたが、俺は断られる心配を全くしてなかった
だってこいつ、質問はしても拒否はしていないんだぜ、初めから俺を見捨てるつもりなんて更々ないんだ
ユリアとは長い付き合いだが、こいつは重度のお人好しだ
俺が外付け良心回路に彼女を選んだのも、こいつなら絶対に俺と一緒に悪落ちしないと信じているからだ
もっとも見た目がキツそうなのと、いつもは研究室に籠っているから周りには知られていないんだけどな
恩恵を受けているのは俺くらいだろう、さっき言っていた身代わり人形も本来は登録手数料に十万はかかるのだが、こいつは部屋の掃除三回でやってくれた
「とりあえず一ヶ月はパーティを組んであげる、それで結果を出せないようなら考えるけど、いい?」
「もちろんOKだ!悪いな無理言って、もし一ヶ月でスキルを使いこなせなかったら、この剣やるよ」
『ちょっ、何言ってるんですか!』
「それは要らない、なんか呪われそうだから」
「だよなー、溶岩にでも沈めるか」
『私は聖剣ですよ!そんな扱いをしたらガイルさんに化けて、街中を全裸で走り廻りますからね!』
「ガイル悪いことは言わない、今すぐ溶岩に放り込むべき」
『効きませーん、溶岩くらいなら泳いで帰って来れまーす、そしてユリアさんの下着を街中にバラ撒きまーす』
「マサムネー……お前の食事は、今日から全部ナマのピーマンな」
「待ってガイル、ブートジョロキアにしましょう」
『すいません出来心だったんです、絶対に変な事はしないので、それだけは勘弁して下さい』
───
──
─
・・・三週間後
ようやく剣聖技を多少は使えるようになった俺は、ダンジョンの下層で荒稼ぎしていた
雑魚敵はもはや敵ではない、こっちには岩を豆腐みたいに切れる聖剣があるんだ
剣聖技を加減して身体を壊さないように使えれば、魔物がいくら来ようと豆腐の群れでしかない
今日は地下七十階から始めて、八十階のフロアボスを倒して終わる予定だ
この階層は二回目なのだが、防御力重視の動きの遅い大型魔物が徘徊していて、俺……この聖剣にとってはカモなのだ
出てくる数も精々三匹までなので、ユリアを庇いながら戦うのにも都合がよい
案の定サクサクとゴーレムやオーガを倒して進み、巨大な扉を開けてフロアボスまで来た
人の倍は背丈がある牛頭の巨人、ミノタウロスが俺の前で巨大な斧を片手に身構えている
戦うのは俺一人だ、ユリアには俺が背負っていたバックパックを預け、ボス部屋の隅でシールドを張って待機してもらっている
一昨日戦った際には、他の大型魔物と違い、それなりのスピードで攻撃して来た
速く動く巨体はそれ自体が凶器で、聖剣のパッシブ効果で防御力と身体が強化されているとはいえ、体当たりされただけでも身体がバラバラになりそうな衝撃を受けた
最終的に剣聖技を全開にするしかなくなり、なんとか倒したのだが、その反動で何ヵ所も肉離れする羽目になって最悪だった
だけど、今回はそうはいかないぜ!
──逃げてもじり貧なら、一気にカタを付けてやる!
此方の出方を伺っているミノタウロス目掛けて、全速で距離を詰める!
ミノタウロスは向かって来る俺を迎撃するつもりのようで、斧を高く上げて力を込め始める──いいぞ、突っ込んで来られるよりもやり易い!
剣を下段に構えて肉迫すると、力任せな巨大な斧が降って来た
「シャアァァァァァァァオラァァァァァァァ!!」
気合い一閃に聖剣で斧を迎撃すると、僅かな手応えとキシッと小さな音
それだけを残して、聖剣はミノタウロスの斧を通り抜け、切り裂かれた断片が宙を舞った
巨大な斧が半ばから断たれた事によって、ミノタウロスがバランスを崩してたたらを踏む──チャーンスッ!
聖剣スキルの一つ『光剣』を発動して、振り上げた剣に力を込めて大きく振り下ろす!
「ファネッフー!」
雄叫びと共に剣の軌跡に発生した光の斬激は、吸い込まれるようにミノタウロスを肩から腰へと切り裂いた
一拍の静寂、切り裂かられた傷から盛大な血渋きが吹き出て、宙で黒い粒子となって消えていく
一拍の緊張、構えを解かず見守る俺の前で、ミノタウロスの身体はゆっくりと仰向けに倒れて行き、その身体からも黒い粒子が発生しだした
「おっしゃー!ミノタウロス撃破だぜ!」
崩れ消えていくミノタウロスを踏みつけ、勝利の雄叫びをあげる
光剣なら一撃で倒せると分かったのは大きな収穫だ、次回からはもっと楽に周回出来そうだ
「ミノタウロスの斧くらいなら、真っ二つに切れるようになったわね」
『ふふーん、私のお陰ですね、もっと褒め称えてもいいんですよ』
「俺の力に決まっているだろ!クックックッ、この力があれば俺様はグフゥッ!」
「悪落ちしそうにならない!ほら、フロアボスを倒したんですから、ドロップアイテムを拾ってさっさと帰りますよ」
「へーい……あいたたた、おっ、レアドロップ発見!今日はついてるな」
殴られた頭を擦りながら周囲を見ると、ミノタウロスは数個の光を放つドロップアイテムへと変化していた
この光の色でレア度が分かるんだ、青緑赤紫黄と右に行くほどレアで、今回は緑が三つに紫が一つ落ちている
紫色のドロップアイテムは別名スーパーレアと呼ばれていて、これ一つで最低数百万はする──一般家庭の年収並のアイテムだ、最高だなドロップアイテム増加!
ウハウハと紫の光を手に取ると、次第に形が形成されていくんだが……
「は?スーパーレアなのに、何で革のバッグなんだよ」
光が収まると、冒険者がよく使っているような、ありふれた丈夫そうなショルダーバッグに変化したのだ
外れかよ!と落胆した俺とは裏腹に、マサムネーが興奮した声を出した
『それマジックバッグですよ!英雄譚で必ず出てくる定番アイテムです!やっぱりガイルは英雄に成るべき運命なんですよ!』
こいつ勝手に鑑定したな!
というかこれがマジックバッグかよ、出回る数が少な過ぎて貴族や大商人しか持ってないっていう、超レアアイテムじゃないか!
思わずしげしげと見て、試しに手を中に入れてみる……肩まで入れても底に触れない!マジか、マジでマジックバッグか!
『これで冒険が格段に楽になりますし大量の素材を入れられるので、受付嬢に「たった一回の探索でこんなに!凄いですガイル様」と言われますよ!』
「は?何言ってんだ、これは売るぞ」
『なんでですか!普通売らないでしょ、マジックバッグですよマジックバッグ!みんなが羨むスーパーレアなアイテムなんですよ!』
いや、だから売るんだよ、何でそこが分からないんだこいつ
「そうだ、みんなが羨むスーパーレアなアイテムだからな、きっと凄い値段がつくぞ」
『アホですかー!これを逃したら、次いつ手に入るか分からないんですよ!ダンジョンに潜るのにこれ程役に立つアイテムがあると思っているんですか!』
「現状この階層を周回するだけで十分以上に儲けてる、そしてドロップアイテムはバックパックに収納出来ている……うん、売っても問題ないな」
『もっと野心を持って下さいよー!しくしくしくしく』
泣くな鬱陶しい、誰も困らなくてお金まで手に入るんだから、喜べよ!
と、俺としてはもう売るつもり満々だったのだが、ここでユリアから待ったがかかった
「ガイル、売るのなら私に買い取らせて欲しい」
「欲しいのか?」
言ってから思ったが、よく考えたらユリアみたいな魔法フリークにとって、こんなスーパーレアアイテムは研究対象だな
一般には出回らないから、普通は調べられないだろうしな
「私は現状役に立ってないけど、それがあれば荷物持ちくらいは出来るから……お金は何年掛かっても…」
「ならやるよ」
言葉の途中でポイっと投げ渡してやった
研究対象なら多少は貰うが、冒険に使うなら金とか取れねーよ
「え?……駄目よ、ちゃんと対価は払うから」
「なら俺の部屋の掃除を三回やってくれ、それを対価にすると言ったのはユリアだったからな」
「それは……うん、ありがとう」
今まで俺の頼み事を部屋の掃除で手を打ってくれてたんだ、ならユリアの頼みを部屋の掃除で引き受けても、何の問題もない
だいたいこいつ我が儘とか言わないからな、頼りっぱなしでは男が廃るってもんだ
『あれ?私の時と対応が違う……何で!私がヒロインじゃないんですか!これじゃ私はただのお邪魔虫じゃないですかー!』
「うるさいなー、お前にもその内いい相手を見繕ってやるから我慢しろ……リビングアーマーとか」
『それ恋愛対象になりませんからね!中身スッカラカンじゃないですか!』
「脳ミソスッカラカンのお前にはお似合いだな」
『よーし、その喧嘩買った!「ガイルに酷いことをされた」と泣き叫びながら街を走ってあげます!』
すっと懐からブートジョロキアを取り出し、聖剣に押し当てる
『すいません冗談です、だからそれを擦り込むのは止めて下さい』
「馬鹿なことをやってないで帰りますよ、ギルドが混む前に精算したいですからね」
「分かった……ちっ、命拾いしたな」
『ユリアさんありがとうございます、正妻の座は譲りませんけど、都合のいい愛人ポジは認めてあげますよ』
「ガイル、今度ブートジョロキアの辛味成分を濃縮してくる」
「分かった、マサムネーの手入れと食事はそれにしておく」
真顔で語ると、腰の聖剣がポンと人間になって土下座した
「出来心だったんです、こんなか弱い少女が土下座してるんですよ、もちろん許してくれますよね、なんなら足だって舐めますよ」
余りの卑屈さにユリアと顔を会わせて笑ってしまい、目と目で軽く会話すると、笑顔のまま頷いた
てきぱきとドロップアイテムの残りをバックパックに入れて背負い、マサムネーの腕を掴んで立たせてやる
「マサムネーは食べなくても死なないくせに、食事関係の脅しには、本当弱いな」
「仕方ないじゃないですか!百年も一人でダンジョンに居たんですよ!みんなで食べるご飯がどれだけ美味しいか、知らないからそんな事が言えるんです!」
「切れるくらいなら最初から馬鹿な事を言うなよ……ほら行くぞ、混む前に行かないと良い店は入れないからな」
「良い店って……まさか、今日は安い食堂じゃないんですか!」
俺の言葉に目を見開いて腕にすがり付いて来た
どれだけ食事のパーセンテージが高いんだ
「そこそこだ、そこそこ、高い店に入れるような服は持ってないからな」
「なら服を買いましょう、ダンジョンボスマラソンならすぐですよ、すぐ!」
「寝言は寝て言え……という訳でそこそこの店に行くから、ユリアは先に帰って着替えてくれ、後で迎えに行く」
「はいはい、ガイルも顔くらい洗って来なさいね、汚れてたら入店拒否されるわよ」
「任せて下さい!私が清浄魔法を魔力が切れるまで掛けときますから!」
「俺は汚物かよ」
───
──
─
満腹になって眠ったマサムネーを宿の部屋に運んで、俺はユリアと一階の食堂でチビチビ飲んでいる
ちょっと言いにくい話があって、付き合ってもらってるんだ
「で、何の用事を頼みたいの?ガイルが気まずそうにお酒を飲む時って、大抵面倒くさい頼み事よね」
「あー……用事じゃなくてだな、金の話なんだ」
どうやら見透かされていたみたいなので、もう言ってしまうことにした
「お金?もしかしてやっぱりマジックバッグの代金が必要なの?一括では払えないけど、それなりの貯金ならあるから手付け程度なら渡せるけど」
「違う違う!それは要らないんだが……今度から報酬の分配率を減らそうと思ってな」
「いいわよ、私も三割は貰いすぎだと思ってたから」
「即決すんなよ!無理に手伝わせてるんだから、そこは粘れよ!」
「そうは言うけどね、今日の換金だけで百万は行ったのよ、ただ付いていくだけで一日三十万は貰いすぎでしょ?」
「バフデバフに索敵に罠探知だけでも、十分見合ってるんだけどな……だけどユリアが了承するなら、今度から報酬は2:2:2にするぞ、残りの四割は今まで通りパーティ資金だ」
ユリアは一瞬意味を考えてから、優しく微笑んだ
どうやら詳しく言わなくても通じたみたいだ
「……ふふっ、マサムネーちゃんに払うんだ」
「ああ、金が無かったら飯も食えねーからな」
毎回俺が払うのも馬鹿らしいから、あいつにも分配する事にしたんだ
「いいわよ、なんなら私が一割でマサムネーちゃんが三割でも文句はないわ」
「俺より報酬が高いとあいつは絶対にドヤ顔するから、全員同額だ!」
見下しながら「実力に見合った報酬なら、ガイルはもっと少なくてもいいんじゃないですか?」とか、あいつなら絶対に言う!
「ふふっ、はいはい……お金で思い出したけど、パーティ資金はやっぱりガイルが管理してくれない?私も少しずつ勉強しているけど、冒険に必要な物とかは、ガイルの方が何倍も詳しいじゃない」
「却下だ、今まで通りユリアが管理していてくれ」
「そんなに嫌?」
嫌とかじゃないんだ、ユリアは根本的な所で勘違いしている
もし俺が管理したら、どうなるかなんて簡単に予測出来るんだよ
「……見くびるなよユリア、俺が管理したら間違いなく横領するぞ!」
「そういう意味で見くびるなと言われたのは初めてよ……分かったわ、これからも私が管理するけど、それなら明日はパーティ資金でお買い物するから付き合ってもらうわよ」
「ああいいぞ、何か必要な物があるのか?」
今回はノーダメクリアだったので、消耗品は無かったはずだ
せいぜい水と携帯食糧くらいか?
そう考えていたら、ユリアは悪戯っぽく微笑んで、マサムネーが寝ている二階の部屋の方を向いた
「良いお店に行くには良い服が必要でしょ、明日は三人で服屋に採寸しに行くわよ」
「おいおいマジかよ、そんなの買ったら食費が跳ね上がるぞ」
下手したら毎日行こうと言われかねない
「マサムネーちゃんのお陰で良い思いをしてるんだから、少しぐらい我慢なさい」
「……ユリアにもう一つお願いが増えた」
「ん、何?」
「俺の悪落ちと一緒に、マサムネーがエンゲル係数に全ぶっぱしない監視も頼みたい」
「うふふふふふふ、分かったわ、無駄遣いしないようにちゃんと見といてあげる」
さも可笑しそうに笑うユリアを睨み付けながら、エールを一気に飲み干した
クソが!分配率が下がるのに出費が増えるって最悪じゃねーか!もう自棄だ、今日はとことん飲んでやる!
空になったジョッキを掲げて、厨房の方を向いて叫ぶ
「おっちゃーん、酒のお代わりと適当につまみくれー!」
「明日は買い物に行くんだから、ほどほどにね」
知るかそんなの!明日は二日酔いで行ってやるよ、どうせ服とか分からないんだから、ユリアに決めさせてやる!
★★★
「ガイルは馬鹿なんでしょうか?」
二階へと続く階段に隠れて盗み聞きをしていたら、あの馬鹿は私にまで冒険で得たお金を分配すると言ってきたのだ
今までの所有者には、お小遣いを貰う事はあっても、平等に報酬を払うなんて人は居なかった
「だいたいそんなにお金が大事なら、私がご飯食べたいと言っても無視すればいいのに」
さっきの会話を思い出しますが、ガイルは私が高い店に食べに行きたいと言ったら、嫌々ながらも行くつもりなのです
意味が分かりません、決して善良な人間ではないのに、まるで私を大事な家族のように扱っています
「止めて下さい、そんなんじゃ、また辛くなるじゃないですか」
──私は、私を使える素質を持つ、どうでもいい人間を選んだはずなんですよ!
私は神によって作られてから過去五回、人類の脅威を倒すべく、人間の所有者を探しました
魂を見る力を授かっていたので、誰よりも高潔で綺麗で、聖剣を振るうに値する人間を選んだんです
……だけどその五人は、五人とも脅威を倒してしばらくすると、みんな外道へと成り下がりました
脅威を倒すまではいいのです、人類の敵を倒すのに集中する人間ばかりだったのですから……でも、その脅威を倒してしまったら、聖剣に選ばれた人間は、目的がなくなり、同時に倒せる者も居なくなってしまいます
自分を最強だと確信してから……自分を傷付ける者が居ないと気付いてしまってからは、落ちるのは早かったです
目に見える速度で清らかな魂はどんどん濁っていき、自分を神の化身だと言い始めました
最期は毎回お決まりで──私が外道な所有者を見限り、ざまぁーされるのです
力を失った元所有者は、今まで自分が虐げてきた者達に討たれ死んでいきました
私はそれを謝りながら見届けて、次の脅威へ向けて眠りにつきます
五人の人間の人生を狂わせたのは、私という絶対な力でした
人を越えた力は、どんなに清らかな魂すらも、いとも容易く汚し尽くしてしまうようです
──でももう私は、綺麗な魂が汚れる様を見たくないんです!
五人とも、みんな最初は誰よりも美しい心を持っていたんです
それなのに、私という力を与えたばっかりに、歪んでしまいました
もう二度とそんな人を見たくない私は、今回は何処にでも居そうな汚れ具合の魂を選びました
これくらい汚れているなら、下手したら脅威を倒す前に真っ黒になるかも知れないけど、それでいいんです
どうせ脅威を倒したら契約を一方的に解除して眠りにつくんですから
最初から見限るつもりでいれば、愛着も湧かない……そう思っていたのに
出来の悪い妹みたいに接されるのは誤算でした、はっちゃけ過ぎたからでしょうか?どうせ脅威を倒すまでの所有者と思って、本能で会話してきましたからね
嫌われても構わない、むしろ邪険にして欲しいと思っていたのに──なんで家族みたいに接するのですか!これじゃ……嫌いになれないじゃないですか!
嫌ですよ、こんな人が殺されるのを見るのは!
「決めました!ガイルが馬鹿な真似をしそうになったら、全力で止めましょう!そして………………脅威を倒したら、私は去ります……そうすれば、ガイルは力に溺れて外道にならないでしょうから……」
一大決心をした私は、気付かれないように部屋に戻ると、頭まで毛布にくるまって寝ました
せめて今回の馬鹿でお人好しな所有者くらいは、幸せにしたいと願いながら
───
──
─
総勢五万の軍勢が勝鬨をあげる!
たった今、五万の遠距離射撃によって、山ほど巨大なアースドラゴンを倒したのだ!
それを谷の底で私とガイルは聞いています
あっ、上からユリアさんが降りて来ました、脅威と戦う為にレベリング頑張りましたからね、魔法を使って凄い速度で突っ込んで来て、ガイルに抱き付きました
物凄い速度のタックルを、ガイルはくるくる回って勢いを殺すと、ユリアさんに向かって笑いかけます
「いやー、グレートアースドラゴンは強敵だったな、ユリアに貰った身代わり人形が三つばかり消し飛んだぞ」
「ガイル一人で足留めするとか、もう二度としないで下さいね!」
正確には、渓谷の底でガイルが一人ドラゴンと対峙して、軍への攻撃を防いでいたのです
その事を知っているのは極少数だけで、莫大な報酬と引き換えに、ガイルは一人ドラゴンへ立ち向かってその功績を五万人の軍勢へ譲りました
『ハァー、ガイル一人でも倒せたのに、名誉とか要らないんですか?』
「お前はもっと娯楽小説を読め!下手に一人で倒したら民衆から救国の英雄と呼ばれて、王族とかから「我々より救心力がある英雄は危険だ!」と思われて命を狙われるぞ」
『ガイルは本気で、現実と小説の区別をつけた方がいいですよ!』
呆れた風に言いましたけど、本音としては助かりました
みんなから英雄と呼ばれてるのに、私が居なくなったら困りますからね
目一杯ユリアさんがガイルの無事を確かめると、ドロップアイテムの回収として来たお題目を遂行する為に、ドラゴンのドロップアイテムを回収しに行ったんですけど
ガイルが珍しく真面目な顔で私に話し掛けて来ました
「一応聞いておくが、こいつの他には、本当に人類の脅威はもう居ないんだよな?」
『へ?……ええ居ません、今までの経験からも、最低でも百年は次の脅威は発生しませんよ』
だから街に帰って祝勝会をやったら、そこでお別れを言います
流石に黙って出ていくのは、寂しいですから
「ならマサムネーは人間形態になれ…………ほら、さっさと馬鹿顔のマサムネーになれ!」
「誰が馬鹿顔ですか!」
ついカッとなって、ガイルの手から離れて人間になりましたけど、ここで人間形態になる意味が分かりません
「お前だよ馬鹿顔、俺はこの戦いが始まってすぐに、魔剣を失って二度と戦えない傷を負った、そういう設定で行くんだから、余程の事がない限り聖剣にはなるなよ」
えっと……要するにガイルは、人類の脅威を倒すのに命を掛けたのに、それを無かった事にするつもりなんですか……
──ざっけんなよクソが!そんなの許しませんよ!
「何を言ってるんですか!知っている人は少ないですけど、ガイルは世界を救ったのですよ!その名誉も栄光も、全部投げ捨てるというのですか!私は認めませんからね!この戦いで、みんなを守る為に、どれだけ無茶をしたと思っているんですか!」
認められません!ええ認められません!
私が去るにしても、ガイルの頑張りが無かった事になるのだけは、絶対に認められません!
鼻息荒くガイルに詰め寄ると、ムカつく事に諭すような顔で私の肩にポンと手を置いた、後ろからも抱き付かれたけど、これはドロップアイテムを回収し終えたユリアさんでしょう
「マサムネーは本当に分かってないなー」
「何がですか!言っておきますけど、今回ばかりは絶対に譲りませんからね!」
「こらガイル、ちゃんと説明してあげないとマサムネーちゃんは納得出来ないでしょ」
何ですか説明って、どれだけ説明されても納得なんかしませんからね!
「はあ?面倒くせーなー」
「説明しなさい、【ね】」
ユリアさんの有無を言わさない最後の「ね」の圧でビクッとしました
怒り心頭の私は少し血の気が引いたくらいで済みましたけど、ガイルには効果覿面で、思わず敬礼をするくらい効いたみたいです
「じ、実はな、マサムネーには言ってなかったが、お前が伝説の聖剣だと疑われているんだ」
「へ?」
「マサムネーちゃん、今まで何回か世界を救ったでしょ?だから聖剣の見た目とかが語り継がれているの、絵画とかは劣化してるからいいんだけど、書物には剣の形状や刀身に刻まれている神聖文字が残っていたのよ」
しまったー!
貴族相手に、聖剣を持っていると無理矢理奪われる可能性があるからと、刀身を黒に染めて魔剣と偽ってましたけど、刀身に刻まれた文字とかはそのままでしたー!
「も、もしかしてバレました?」
せっかくガイルが悪落ちしないように頑張って来たのに、聖剣の所有者だとバレたら、安全な人生なんか歩めませんよー!
どうするんですか、全部私の責任じゃないですかー!
自分の不始末に嘆いていたら、後ろから抱き付いていたユリアさんが、優しく頭を撫でました
「それは大丈夫よ、聖剣の劣化レプリカと言ってあるから……でも、グレートアースドラゴンを相手に無傷で生き残ったとなると、誤魔化せる保証がないの……」
あっ、だから余程の事がない限り聖剣になるなって話に繋がるのですね
良かった、これなら私が居なくなる方がガイルの為になりますからね
そうホッとしたのに、馬鹿は空気も読まずに私の手を握ったのです
「という訳で、マサムネーにはずっと人間形態でいてもらう、高級料理店とかの贅沢は月一だ、それ以上は許さないからな!」
いえ、贅沢とかはどうでもいいんですけど、それでいいんですか?
「ガイルは聖剣の力が失くなってもいいんですか?私が聖剣になれないと、パッシブ効果もスキルも使えないんですよ」
自分でも馬鹿な事を聞いたなーと思いました
だって、脅威を倒したガイルの元を去るのに、何で聞いたのでしょう
そんな私の馬鹿な質問を、ガイルはいつものように馬鹿丸出しに答えてくれました
「は?俺はもう一生遊んで暮らせる金を持ってるんだぞ、聖剣なんかいらねーよ、逆に持ってたら無理矢理仕事を押し付けられそーだしな」
「……最強の力に未練はないのですか?」
「マサムネー、俺を舐めるなよ……そんな力を持っていたら、俺は必ず悪落ちするぞ!そんなに外道になった俺を見たいのか!」
「…………ぷっ……あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
馬鹿です!この人は本当の馬鹿です!笑いすぎてお腹が痛いです!
「おい、泣くほど笑うなよ、流石に傷付くぞ」
あ……笑い過ぎて涙が出ていたみたいです、困りましたね、止まりません
「ガイルは本当に、予測以上の馬鹿ですね」
「なんだとこの野郎!」
「確かに舐めていました……私が一方的に契約破棄して出ていくつもりだったのに、まさかガイルの方から聖剣が要らないと言われるとは思ってもいませんでしたよ」
あーお腹痛い、もう笑いが止まりません
「は?マサムネー、どっか行くのか?」
「行きませんよ、行くはずないじゃないですか!」
「どっちだよ!」
「どっちだと思います……あははははははははははははは」
「くっそムカつく!お前の明日のおやつはブートジョロキアな!」
「食べませーん、明日はユリアさんとお洒落なカフェでパンケーキを食べに行きますから、それはガイルが食べて下さーい」
「おいユリア、この生意気なガキになんか言ってやれ!」
「んー……ごめんなさいガイル、明日はマサムネーちゃんとパンケーキ食べるから、ブートジョロキアはガイルが食べておいて」
「食べねーよ!クソが!パンケーキは俺も食べるからな、三人で行くぞ、三人で!」
「仕方ありませんねー、手掴みで食べないで下さいよ」
「ちゃんとナイフとフォークで食うわ!俺はどこの蛮族だ!」
あー可笑しい、笑いすぎて涙が止まりません
まさか過ぎますよこの馬鹿は、私の決意をドブに捨てましたからね!
だって、私が聖剣だと疑われているなら、聖剣では無かった事にする為に、私の力を要らないと言ったんですよ!
今までそんな人は居ませんでした、みんなみんな、私の力を自分の力だと過信する人だけでしたからね
最初に私を売ると言った時から、馬鹿だ馬鹿だと思っていましたけど
こんなに最高な馬鹿だとは、思いもしませんでしたよ!
……ハァー、もう一生分は泣きましたね、涙腺カラッカラです
色々悩んできたのが馬鹿らしいです、何でこんな簡単な事に気付かなかったのでしょうか
所有者の夢見る幸せなんて千差万別なんですよね
私はずっと、高潔に生きるのが幸せだと思っていましたけど……こんな馬鹿にだって、最高のハッピーエンドを迎える事が出来たんです
ならこれからは、私が所有者のケツを引っ叩いて、望むハッピーエンドへと連行すればいいんじゃないですか!
そう、ユリアさんがガイルにしたように、無理矢理でも幸せにしてやりますとも!
おっと、この馬鹿はまだハッピーエンドじゃ無かったですね
まだまだ人生の半ばです
「ガイルに聞きますけど、死ぬ時には強敵と戦って死にたいとかじゃないですよね?」
「だから何処の蛮族だ!俺は孫に囲まれながら大往生したいわ!」
「それを聞いて安心しました」
ならば、あなたが幸せに人生を全うするまで、見守ってあげれますからね
ふふふ、ずっと一緒ですからね、マスター
プロットではマサムネーは悪落ちした魔剣で、最後にざまぁーされるはずだったのに、書いてる途中で馬鹿に感化されてしまいました。やさいせいかつ
誤字報告感謝ですm(__)m