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第0話 すべての始まり

 二一世紀末、人口は百億人を超え、人類は栄華を極めた。

 技術は発展し、「次は宇宙の開拓だ」と、人類の野望はとどまるところを知らなかった。

 しかし、栄えた者が急速に衰退するのはこの世の常。

 二二世紀の足音が聞こえ始めた頃、人類衰退のときが来たのである。



 世界中で晴れが続いたある日のことであった。

「人間たちよ、我らは、(しゅ)より遣わされた天使である。汝らに、主のお言葉を伝える」

 自らを「天使」と名乗った何者かが、世界中に突然、同時に出現した。

 「それ」は人の形を取っていたが顔はなく、光に包まれ、一対の翼を持っていた。

「主は、汝ら人間が信仰を忘れ、自己中心的な行動ばかりすることに大変お怒りだ」

 「それ」は、言葉を続ける。

「主は、人類懲罰行動の開始を決めた。我々は、汝らを絶滅させることも(いと)わない。明日の正午より行われると予告する」

 そう言い残し、「それ」……いや、天使は、光の粒となって消えた。


 天使に対する反応が二つに割れ、世界中が大混乱に陥った。

 そして翌日正午、広く知られたあの天使が、世界中の至る所に大挙して出現した。

 それらは無慈悲に破壊と殺戮を始め、人類には抵抗する間もなく生存圏の縮小を迫られた。



 その日、誰もが無条件に明日が来ると思っていた世界は、その姿を一変させた。

 いつ天使が襲ってくるかわからず、抵抗する(すべ)を持たない状況で、人類はかろうじて、細々と生きている。

 人口は四千万人を割り、文明は衰退した。


 カトリック教会、バチカンが世界の主導者となり、天に逆らう者は追放され、毎日のように神への祈りが捧げられた。

 生活レベルは少なくとも数百年、ひどければ産業革命前まで落ち込んだと言っても過言ではなく、人々は大きな教会、聖堂の周りに集落を作って暮らし始めた。



 しかし、最初の天使の攻撃から約五十年後、天使の支配を良しとしなかった人々が立ち上がった。新暦四八年中頃のことである。

 彼らの母体はあるキリスト教系宗教団体であり、「天使に対抗するためには悪魔の力を借りるしかない」という思想のもと、天使による攻撃が始まった直後から秘密裏に研究を進めてきたのだ。

 彼らは自らを「抵天軍」と名乗り、天使に対する反抗作戦を開始した。

 その指導者の名はフィリベルト・ローデンヴァルトとアメリア・メチェナーテ。抵天軍の創設者と、天才魔法工学者である。



 当初、抵天軍の存在はバチカンや民衆からは良しとされなかった。その存在を理由に、比較的落ち着いていた天使の攻撃が再び激化するのを恐れたためだ。


 しかし、反抗作戦開始から半年が経過した頃、転機が訪れた。

 ローマ近郊、かつてティボリと呼ばれた地区の集落を天使が襲撃した。

 ローマの近くは安全だと思っていた住民はパニックに陥り、助けを求めた。そこに駆けつけ、襲撃を退けたのが、抵天軍である。

 将来の危険よりも目先の危険を解決したものを求めるのは、人の(さが)であろうか。少なくとも、その周辺にいた人々は、天使が人々を惨殺した光景を、そして抵天軍の兵士がその天使から人々を守ったという事実をその目で見た。

 人心は大きく抵天軍に傾き、バチカンも、事実上これを黙認せざるを得なくなった。


 バチカンが口を(つぐ)んだことで、抵天軍の影響力は増加した。

 大方の予想通り、抵天軍の施設はたびたび天使の襲撃に見舞われたが、彼らはそれを毎回のように迎撃し、勝利を収めたのである。

 そのたびに人々は、

抵天軍(彼ら)なら、天使を止めてくれるのではないか」

 という思いを高めていた。

 これを受けたのか、ケルン大司教やベルリン大司教、パリ大司教など、一部では抵天軍を支援する者もキリスト教関係者に現れ始めた。



 かくして、新暦五十年も目前に迫った年に、天使と人間の戦争が始まったのである。

 まだまだ未熟ですので、間違った文法やご意見、ご感想等ありましたら、お寄せください。面白い、面白くない等、一言でも嬉しいです!

 温めてきた新シリーズです。キリスト教クラスタに見つかったら袋叩きにされそうな小説になるかもしれませんが、温かい目で見守っていただけると嬉しいです!

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