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最後の恋……  作者: 澤田慶次
95/221

決勝戦と昔のメンバー……

いよいよ決勝戦!

どんな結果に……

おっさんずはアップを開始する。軽く走った後、パス回しからダッシュをしていく。ハーフタイムにはコートでシュートを打ち、ユニフォームに着替えて試合に備える。

「さぁ、最後だ……やるだけやるぞ!」

『はい!』

「……1人ずつ、何か言っていけ!」

「俺は……またこうして、みんなとハンドボールが出来て楽しかった!」

「この面子で試合出来て、楽しいよ!」

「同じ目標を共有するのは、いいもんだな!」

「みんなの衰えも楽しかったな!」

「昔に戻れた様で、楽しかった!」

「相変わらず、楽しい面々だよ!」

「いつになっても変わらねぇな!」

「本当に……こっちまで熱くなるよ!」

「昔話に、また1つ加わりそうだ!」

「改めて、このメンバーだと楽しいな!」

「それもこれも高松、お前が居たからだ!……決勝だ、最後はお前が締めろ!」

「……まったく、お前等は本当に…………本当に最高だよ!…よし、優勝しようぜ!」

『おう!』

おっさんずはコートに入って行く。女子の決勝は終わったらしい。本日最後の試合であり、県民体育大会の最後の試合、男子決勝戦がいよいよ始まる。

おっさんずは山中先生の元に集まるが、山中先生は何も言わずに笑顔で頷くだけであった。


主審のホイッスルが鳴り、両チームが入って来る。木の葉クラブは平均年齢25歳とかなり若い。更には、実業団とも渡り合える全国でも数少ないクラブチームである。山中先生の頃から、本県を引っ張って来た歴史あるチームであり、実業団に行かなかった選手には憧れにも似た眼差しが降り注ぐチームでもある。

おっさんずは変わらずにディフェンスから始める。木の葉クラブが速いパス回しからエースがロングシュートを放つ。これを高松は止めるが、止めたボールをコントロール出来ずゴール後方へ弾き出す形になる。おっさんずボールで試合再開だが、シュートの威力がかなりある事が分かる。

おっさんずのオフェンスは、ゆっくりとボール回しをしながら、相手の動きをしっかりと観察する。相手が一瞬、ボールから目を逸らした瞬間にスピードを上げ、ビッグマン野沢がシュートを放つがこれを木の葉クラブのGKは止めた。

ここから少し試合は膠着する。

お互いにシュートを放つが、両GKがシュートをしっかりと止める。しかし、シュートに威力がありワンマン速攻に繋げる事が出来ず、両チーム共にセットからの攻撃となり、なかなか得点に結び付かない。

前半7分、ここで猪狩の渾身のプレーが出る。

新井から小川にパスが入り、小川は走り込んで来た猪狩にパスを出す。猪狩はそのままの勢いでジャンプしシュートを放つ。

「ガシャン!」

ゴールが物凄い音を立て揺れている。猪狩のシュートが木の葉クラブのゴールに突き刺さったのだ。

「いつも通りでいいんだ、やるぞ!」

猪狩の言葉に、おっさんずの動きが良くなっていく。

木の葉クラブのシュートをおっさんずのディフェンスはブロックし、サイドの押山にパスを出す。パスを受けた押山は逆サイドの栗原とクロスになる様に走り、重なる瞬間に栗原にボールが渡り、栗原がしっかりと得点する。更には、木の葉クラブのエースのシュートを高松がワンマン速攻に繋げ、おっさんずらしい得点を上げる。

木の葉クラブもこのままやられっぱなしでは無い。

セットでも色々なプレーをし、おっさんずに向かっていく。

しかし、高松の存在感は圧倒的であった。木の葉クラブのシュートを何度も止めているうちに、木の葉クラブの面々は高松に対し、知らず知らずのうちにどんどん厳しいコースを狙ってシュートを放っていく。

これは、追い詰められて取った行動であり、自分達のプレーではなかった。その為、木の葉クラブのシュートは枠外に飛んで行く事が多くなり逆におっさんずは自分達のペースを握り始めた。

前半17分、野沢が木の葉クラブのポストを倒してしまい、ペナルティスローを与えてしまう。

「止めた後、よろしくな!」

高松はそう野沢に声を掛け、シューターと対峙する。

このペナルティスローを高松は止めるが、シュートに威力がある為に高松が、止めたボールをコントロールをしきれない。転がるボールを野沢が必死に奪い取り、そこからフィールドプレーヤー全員が一気に速攻を仕掛ける。高校時代、高松達はこの攻撃で全国の強豪を破って来たのだ。

流れる様なパス回しと速攻、木の葉クラブは対応出来ずに失点した。

ここからおっさんずは加速していく。

猪狩·野沢のロングシュートが決まり出し、更には高松からの速攻も決まって来る。

前半終了すると、13-7とおっさんずがしっかりとリードしていた。


後半も変わらない。

おっさんずはペースを相手に譲らず、自分達のリズムで試合を進めて行く。自分達のペースで試合をする事により、それぞれのプレーがどんどん良くなっていく。

後半12分、セットプレーから新井が空中にふわっとボールを投げ、それを走り込んだ猪狩が空中でキャッチからシュートを決める。

スカイプレーである。

会場が一気に盛り上がる。このプレーで試合は決まった。会場をも見方に付けたおっさんず、最早木の葉クラブには逆転の望みは無くなっていた。

木の葉クラブがタイムアウトを取った。後半27分である。

ここでおっさんずベンチが揉める。

「優勝の瞬間は、コートに居たい!」

「俺もだ!…交代しろ!」

「やだよ、俺だって居たいんだ!」

どうやら誰もが、勝利の瞬間をコートで味わいたいらしい。

「騒ぐな、まったくお前等は……」

山中先生は渋い顔をした。

タイムアウトが終わると、山中先生はオフィシャルに声を掛け、メンバーチェンジを行う。なんと、小川に代わり自分がコートに入って行く。

「そりゃ無いですよ~!」

「先生ずるいよ!」

「職権濫用だ!」

おっさんずベンチからは不満の声が上がるが、山中先生は気にしていない。結局、最後は山中先生がゴールを決め、トータルスコア28-12でおっさんずの勝利となった。


観客席は盛り上がっている。

橘·高木先生·鈴木先生·加藤先生と城北学院の男女ハンドボール部、特にGKの梶山は興奮を隠せない。

「高さん最高だ~!」

梶山の大声が響く。更に観客席の一角、岡崎と、石谷を筆頭とするボクサー達は盛り上がっている。近寄りがたい感じで大騒ぎになっていた。みんなはコート上のおっさんずに目を向ける。みんなの目には、喜ぶおっさんずの面々に写っただろう。

しかし、実際は違う。

「先生、ずるいですよ!」

「職権濫用ですよ!」

「酷いですよ!」

「俺なんて…ラスト3分で交代ですよ!」

「役得だ!…文句は受け付けん!」

「……それより表彰式だな……」

「あれはやりたくないな~……」

「どうするよ?」

「……俺に考えがある……」

『何だ高松!』

「……役得した方がいいんじゃないか?」

『それでいこう!』

「!?」

何と、おっさんずの代表は山中先生になった。

山中先生は、県ハンドボール協会の副会長より賞状を受け取り、その後の総括をした。

山中先生のスピーチは、やはり凄かった。誰もが納得し、考えさせられる物だった。

「最後に……どんなに辛い練習でも、笑ってやってる奴等は強いと思います。今回のおっさんずがそうでした。こんなチームが増えれば、日本のハンドボールも強くなるんですけどね」

と、山中先生は最後を締めた。

この後、優勝の写真を新聞社が取る事になり、山中先生に1番前の真ん中に座って貰い、高松を中心にみんなで肩を組んだ。

「汗臭ぇんだよ……」

「そう言うな、高松!」

「我慢しろよ!」

「ほら、カメラ見ろよ!」

揉めてる様に聞こえるが、みんな笑っている。この写真は山中先生のデスクの上に飾られる事になる。

みんなの笑顔の中、高松の顔だけ引き締まっている。何かを覚悟した様な表情である。

見事に優勝!

やったね!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 高松さんやりましたね! 高松さんたちの快進撃はまだまだ進みそうですね!
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