クリスマス……
大会の合間の日……
城北学院の2学期の期末試験は滞りなく終わり、最終日の最後のテストは高松の作ったテストである。
期末テスト福祉
問1 日常でおかしいと思う事、不平等だと思う事を理由も付けて書いて下さい。
問2 問1は、どうしたら良くなるか案を書いて下さい。
今回も高松のテストは2問だけであり、部分点を付けていく。前回同様、誰と話しても何を見ても良い事になっている。
今回のテストは、最高点は橘と酒巻、更に山田先生である。ちなみに最低点は高木先生であった。
また、橘の勉強は高松が教えたやり方を続けており、分からない所を高松にショートメールで送り、高松が時間を見付けてそこをまとめて教えている。橘の成績は、今学期も全校トップ10に入っている。
12月も終盤を迎え、学校は冬休みになる。
終業式の日、高松は水曜日という事もあり城北学院に居た。
先生方に混じり高松も式に出て、校長先生の話を聞き職員室に戻る。各クラスでホームルームを行っており、高松はゆっくりとお茶を飲んでいた。
ホームルームが終わると、職員室が一気に賑やかになる。
「高松さん、クリスマスどうするんですか?」
「……私はキリスト教では無いですので、特には用事は無いですよ……」
「空いてるんですね!」
「高松さん、何処かに出掛けましょう!」
「割り込むな、ぶりっ子!」
「早い者勝ちですよ~だ!…年の功先生!」
「何を~!」
「何よ~!」
高松は2人が揉めているうちに、職員室からこそっと出て行く。
高松は屋上に行き、ベンチに座った。
「高っち?」
高松は声の方を向くと、3組の吉田豊美が居た。吉田は髪を茶髪にし、スカートも少し短い。今時の高校生である。
「どうしたの、高っち?」
「職員室がうるさいので、避難して来ました」
「高っちが居ると、職員室は楽しそうだよね!」
「そうですか?……私は水曜日しか知らないですから、いつもあんな調子だと思ってました」
「そうだよねぇ…高っちは水曜日しか居ないんだよね……」
「所で吉田さん、何でここに居るんですか?」
「……考えたい事があって……」
「1人で大丈夫な事ですか?」
「……出来れば、誰かに相談には乗って欲しいです……」
「それは、私でも可能ですか?」
「……学校の人間なら、高っちにしか相談出来ないかな……」
「では……私が相談に乗りましょう。どうしたんですか?」
「…………彼氏がね……悪い仲間と付き合い出して…………何だか心配で……」
「成る程……悪い仲間っていうのは?」
「……喧嘩もよくするし、煙草も吸うし……威張り散らすし何だか嫌な奴等なんだ……」
「ほうほうほう……学校は何処ですか?」
「南校……どうしたらいいかな?」
「……大丈夫、何とかなりますよ」
「……他人事だと思って……」
「いや、私に考えがあります。来週の月曜日、私とその彼氏達に会いに行きましょう」
「え?……そんな事したら、後が怖いよ……」
「大丈夫、心配しないで私を信じ下さい……悪い様にはしませんから」
「……高っちがそう言うなら……」
「では、来週の月曜日。場所は…………」
「駅なら分かるよ」
「では駅に……駅か、私も助かります」
「????」
「では、月曜日10時に」
「……はい、お願いします……」
高松は吉田と別れた。高松には、どんな考えがあるのだろうか。
終業式とは言え、終われば部活はある。本日も高松は、男子ハンドボール部に混じり練習をする。高松の動きが日に日に良くなっていく。
城北学院の練習が終わると、高松はスポーツジムで汗を流し、18時には国浦学院で練習をする。高松に取って、本業が無い日の方が大変であるが、本人はそうは考えていない。
国浦学院での練習が終わり、自分のアパートに帰って会社携帯を確認すると橘よりショートメールが入っていた。
[康介さん、クリスマスに何処かに行こうよ!]
高松はメッセージを読み、渋い顔をしていた。
[遠慮します]
[なんで?]
[クリスマスが嫌いだからです]
[何で嫌いなの?]
[色々あるんです。人それぞれです]
[いいでしょ?]
[絶対にお断りです。おやすみなさい]
高松は強引にメールを切った。高松はどうしてもクリスマスが嫌らしい。
クリスマス当日、高松は本業をいつも通りに行っている。
世間はどうか知らないが、介護業界はクリスマスだろうが年末年始だろうが関係無い。相手は生身の人間である為、基本は平日と変わらない。高松も他の者と変わらずに忙しく業務をこなしている。
昼頃になり、高松は昼食を摂りに事務所から出た。高松の会社携帯が鳴る。
「康介さん、何で今日はダメなの?」
「クリスマスは嫌いなんですよ」
「どうして?」
「話すつもりはありません。しかし、クリスマスは特別に何かをする事はありません」
「……理由くらい教えてよ!」
「嫌です。クリスマスなんて無くなればいいんです。私は知りません」
「…………分かった……そんなに言うなら辞めとく……年明けに初詣なら大丈夫?」
「それならばいいですよ」
「じゃあ約束!…お仕事頑張ってね!」
「はい、ありがとうございます」
高松には何か理由がありそうである。
本日の業務も終了し、高松はアパート近くのスポーツジムで本日もトレーニングである。かなり厳しいメニューを淡々とこなして行く高松、周りの高松を見る目が変わって来ていた。
高松はトレーニングを終えると、シャワーを浴びて着替えジムから出て行く。
「すいません……」
高松は声の方に振り向く。
「俺ですか?」
「はい……あの、凄いトレーニングをしてらしたみたいですけど……何かやってらっしゃるんですか?」
「……趣味ですね……それだけです……」
「!!…趣味であんなトレーニングを!……何と言っていいか……」
「人それぞれですよ……無理無くやって行くのが1番ですね」
「……そうかも知れません……呼び止めてしまって、すいませんでした」
「いやいや、大丈夫ですよ……それでは、失礼致します」
高松は頭を下げて帰って行った。
この時に話し掛けた人は、西田拳闘会の会長、西田太一であった。本日は高校生のボクシングの練習を見学に、遥々東京からやって来ていたのだった。
ちなみに高松は、この後高木先生と鈴木先生からクリスマスのお誘いの電話を受けるが、全て断っていた。珍しく、少し不機嫌であった。
高松はクリスマスは嫌いの様ですね……




