県民体育大会は佳境……
県民体育大会もベスト8が決まりました。
優勝まで後3勝……
翌週の日曜日、高松達は国浦学院に居た。本日は県民体育大会準々決勝であり、会場が国浦学院である。国浦学院の体育館の3階が男子の試合会場、1階が女子の試合会場である。これに勝てば、来週は県総合体育館での準決勝·決勝となる。
おっさんずは今日も第2試合である。9時からアップし、しっかりと体を温める。
「さて、今日は気を引き締めないとな!」
「強豪ですか?」
「木の葉クラブは、当たるとしたら決勝でしょう?」
「オレンジクラブとやるのかな?」
「今日の対戦相手は城北学院の3年だ!」
「ああ、今年のインターハイ出場チームですか?」
「なかなかやりそうですね!」
「協力してたのは高松だからな!」
『!?』
「高松の教え子か?」
「楽しみだな!」
「よし、しっかりとプレーするか!」
「……少しだけ力を貸しただけだよ……しかし、なかなか強いな……」
「高松、負けたら恥だな!」
「それはそれで面白そうだが……悪いが勝ちは譲れねぇな!」
「当たり前だ……あいつ等には、人生の厳しさを教える……お前等、変なプレーしたら蹴るからな!」
「高松!…やる気が出てて何よりだ!……しっかり勝つぞ!」
『はい!』
おっさんずは試合の準備をしていく。
ハーフタイムのシュート練習を終え、ユニフォームに着替えて出番を待つ。
「高松!」
「介っち!」
「おう、今日も来てたのか?」
「「当たり前だ!」」
「しっかり見とけよ」
「見てるよ!」
「教え子に負けんなよ!」
「当たり前だ……変な事言うと張っ倒すぞ!」
「……何だか昔を思い出すよ!」
「しっかりな!」
2人は観客席に移動した。
試合が始まる。
高松達は軽くシュート練習をし、山中先生の所に集まる。
「特に変わりは無い……いつも通り、しっかり勝つだけだ!」
『はい!』
「高松、しっかりシュート止めて、あいつ等に練習が必要だと分からせろよ!」
「はい、そのつもりです」
「よし、行くぞ!」
『はい!』
主審のホイッスルが鳴り、両チームがコートに入って来る。おっさんずは今日もディフェンスからである。
おっさんずがディフェンスから始めるのには理由がある。
元々守って速攻のチームカラーではあるが、守りの要が高松である為、みんな自信を持ってディフェンスが出来ている。この辺が大きな理由である。
城北学院ボールで始まった試合、城北学院の面々は高松の凄さと猪狩の事を知っている。その2人が安心して試合に望めるメンバーである為、自分達より格上だと分かっており慢心は無い。
加藤先生も同じ様に理解しており、この試合のテーマは挑戦である。
城北学院が速いパス回しから、エースが思い切ってシュートを放つ。高校生とは思えない見事なシュートではあるが、高松はこのシュートをしっかりと止め、栗原にパスを出す。
栗原はシュートと同時に走り出しており、このワンマン速攻は成立し、おっさんずが先制点を上げる。
その後も城北学院はおっさんずのゴールを襲うが、高松が前に立ちはだかりなかなか得点を許さない。
城北学院のGK梶山も必死にセーブし食らい付くが、じりじりと点差は広がっていく。それでも下を向かず自分達のプレーをする城北学院、なかなか見応えのある試合になっていた。
前半も20分を過ぎ終盤に差し掛かる。
シュートを止めた梶山は大橋にパスを出し、ワンマン速攻が成立した。
大橋と高松の1対1の勝負、高松は絶妙のタイミングで前に詰める。大橋は1回フェイントを入れ、思い切ってジャンプしシュートを放つ。
「バチン!」
大橋のシュートは高松の腕に当たり、物凄い衝撃音を残してゴールの外に飛んで行った。高松の勝ちの様だ。
「くそ!…もう1回だ!」
大橋は声を出し、全力で戻って行く。高松は一瞬だけ口元が綻んだが、すぐに表情を引き締める。
この後、猪狩が終了間際にロングショートを決め、前半を12-6でおっさんずリードで折り返す。
ハーフタイム
「なかなかやるな!」
「ああ、特にGKとサイドだな!」
「何より下を向かねぇしな!」
「高松が鍛えただけあるな!」
「強いな!」
「俺は殆ど何もしてねぇよ」
「そうか?…高松イズムが植え付けられてるぞ!」
「厄介でしつけぇしな!」
「まだまだやる気満々だしな!」
「走る気も満々だな!」
「気は抜けねぇな!」
「厳しさを教えるのも、俺達の役目だ!……変なプレーするなよ!」
『はい!』
山中先生の言葉で、誰もがもう一度気を引き締めた。
後半が始まる。
後半開始早々、おっさんずは速いパス回しから通称ビッグマン、190cmの野沢の強烈なシュートでゴールネットを揺らす。どうやらおっさんずは、後半も手は抜かないらしい。
城北学院も負けじと攻撃を仕掛ける。エースのシュートを始めポストシュートやサイドシュート、ワンマン速攻等をするが高松は悉くシュートストップをする。ここにきて、高松の凄さを改めて実感する。
それでもめげずに頑張る城北学院だが、やはり点差は縮まらない。後半が進むに連れ、点差は更に開いていく。
おっさんずはメンバーチェンジを使いながらではあるが、しっかりと試合を進めている。驚くべき事は、40歳を過ぎた面々が10代の選手に走り負けしていない事である。
後半27分、試合はすでに決していたが梶山から大橋へのパスが通った。この試合、何度目かの高松と大橋の1対1である。
大橋は小細工せず高松に向かっていき、思い切ってシュートを放つ。高松は上手く距離を縮め壁を作る。
大橋の放ったシュートは高松の肩に当たり、変な回転になりながらゆっくりとゴールに吸い込まれる様に入った。
大橋はガッツポーズをしながら自陣に走って行く。城北学院は盛り上がっている。
おっさんずはすぐに試合再会をする。
結局、後半も13-5、合計25-11でおっさんずの勝利となった。
「やられたな、高松!」
「はい、やられました……」
「最後の速攻は見事だったな!」
「高松相手によくやったよ!」
「流石はインターハイ出場チームだな!」
「なかなか楽しかったな!」
おっさんずが話している。
「高松さん!」
振り返ると加藤先生が居た。
「完敗です!」
「いやいや、なかなか強かったですよ」
「でも、しっかりと高松さんに教えて貰った事は出来たと思います!」
「そうですね……最後まで厄介でした。大橋君にナイスシュートと伝えて下さい」
「分かりました!…高松さん、これからもお願いします!」
「……ある程度ですからね」
「はい!」
高松は加藤先生と別れる。
本日は全てが社会人チーム対高校生チームであった。
木の葉クラブ対国浦学院新チーム、オレンジクラブ対城北学院新チーム、柿の木クラブ対国浦学院3年チームにおっさんずの試合である。
結果は全てが社会人チームの勝利である。社会人チームと高校生チームでは、まだまだ開きがある様だ。
しかし、光るプレーもあり高校生のレベルが上がっているのが分かる1日となった。
県民体育大会は後1日……
優勝まで突っ走れ!




