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最後の恋……  作者: 澤田慶次
89/221

県民体育大会開催!

遂に大会スタート。

12月最初の日曜日、高松は国浦学院の体育館に居た。本日は県民体育大会の初日であり、高校生チームから一般までが参加の為、各高校の体育館を借りて1回戦を行う。勿論、大学生やクラブチームも参加し様々なレベルの選手が居る。

2部とはいえ現役大学チームのエースは、県内では注目の選手であるし、山中先生が所属していた木の葉クラブは、やはりなかなか高いレベルである。そこに、国浦学院と城北学院のOBチームが入り、なかなか見応えがありそうだ。

実際には、県内にこれだけのチームがあったのかと驚く位の参加チーム数となっていた。

特に開会式はなく、トーナメント表が各会場に貼られている。

おっさんずの対戦相手は西城(せいじょう)大学、先に話した大学2部リーグのチームであり、優勝候補の一角である。優勝候補は山中先生の所属していた木の葉クラブを筆頭に、西城大学·オレンジクラブ·柿の木クラブであり、高校生達がそれに何処まで対抗出来るかが毎回見所になる。

おっさんずは本日の第2試合であり、10時半に開始である。

9時からアップを始め、1試合目のハーフタイムにシュート練習をコートで行う。

アップが完了すると、山中先生から話をされた。

「よし、スターティングメンバーとユニフォームを渡す……高松1番だ、頼むぞ!」

「はい」

「サイドは押山と栗原、瀧田と山口は後半頭から行くぞ!」

「「「「はい!」」」」

「野沢·新井·猪狩·小川、最初はお前達だ!…しっかりな!」

「「「「はい!」」」」

「大橋·塚本、後半行くぞ!」

「「はい!」」

「野沢、前半10分過ぎ、俺と交代だ!」

『え???』

「何でみんなが不思議な顔してんだ?」

「先生、大丈夫なんですか?」

「怪我しますよ!」

「大丈夫だ!…少しくらい出させろ!」

「先生……俺より頑固じゃないですか……最低2点は取って下さいね」

「任せろ高松!…この日の為に鍛えたんだ!」

「だから11人で良かったのか!」

猪狩の言葉に全員が納得する。

「そういう訳だ。さぁ、やるぞ!」

『はい!』

ここで少しだけ、山中富士夫の事を紹介しておく。

高松が卒業した体育大学の出身であり、ハンドボール大学1部リーグの得点王、その時の記録は今でも抜かれておらず、今だにホームページに名前が乗っている。更に、大学卒業後に国浦学院の教員となり、その年の国体に本県代表として出場し本県の最高成績である3位を獲得している。

また、高松が高校生の頃は一線を退いていたが、県民体育大会ではたまにプレーする事があった。


そして、高松達の1回戦が始まった。

試合コートにおっさんずのメンバーが入って来て、高松をGKに付けシュートを何本も放っていく。その中には山中先生の姿もあり、見学している者達は驚きを隠せない。更に驚く事に、山中先生のシュートはかなりのスピードであり、今年で65歳とは到底思えない。勿論、高松達の動きもなかなか良く、楽しみな試合になっている。

とはいえ、相手は優勝候補であり、現役大学生である。見ている誰もが西城大学の勝利を予想し、おっさんずとふざけた名前のチームが大差で敗戦すると思っていた。

両チームは一旦、各ベンチに集まる。

「さて、始まるな!」

『はい!』

「後は勝つだけだ!」

『はい!』

「高松、何か言え!」

「……まずは、見ているみなさんの期待を裏切ろうか……勝つのは俺達だ!」

『おう!』

会場には、石谷·岡崎を始め橘·鈴木先生も居る。残念ながら加藤先生と高木先生は違う会場で試合の為、この試合を見る事は出来ない様だ。

審判の合図の後、両チームがコートに入って来る。おっさんずは高松を先頭に入って来た。ちなみにだが、ユニフォームは山中先生が自腹で購入したらしい。もしかしたら、1番楽しみにしていたのは山中先生かもしれない。

開始前の挨拶をし、それぞれが自分のポジションに散って行く。西城大学ボールでスタートの様だ。

主審が右手を上げ、開始のホイッスルが鳴る。


西城大学は速いボール回しから攻撃を仕掛けて来る。それぞれに余裕があり、負ける事等考えていない様である。

おっさんずは一線と呼ばれるディフェンスをしている。コートの6人が横一線になり、シュートに対して両手を上げ、しっかりとブロックしていく1番オーソドックスなスタイルである。

西城大学は少し前に詰めては横にボールを回し、ディフェンスの隙を突こうとしている。

「構わん、打たせろ!」

高松の声が響く。猪狩·野沢が軽く手を上げる。

これに発奮したのが西城大学のエースである。良く分からない年配のチームのGKに打たせろと言われたのである。エースは思い切り走り込み、渾身のシュートを高松から見て右下に放った。

このボールを高松は、素早い反応から滑り込む様に動き、難なくストップさせる。その後高松は、すぐに立ち上がりサイドの押山にパスを出し、このパスを押山がしっかりとキャッチから確実にゴールした。

この一連の流れでおっさんずは、リズムに乗る。

相手のシュートをブロックし、ワンマン速攻で点数を取るか、高松が見事なシュートストップをし、そこからの速攻で得点を重ねるか、どちらにしてもしっかりと得点していく。

西城大学も必死に反撃するが、ゴールマウスを守るのは高松である。簡単にシュートは決まらない。

前半10分が過ぎると山中先生が入って来た。野沢と交換で入ったが、交代してすぐ、山中先生のロングショートはゴールネットを揺らした。ここからおっさんずの勢いは加速し、前半を終えて15-6と大きくリードして後半を迎える。

後半もおっさんずの勢いは止まらず、変わって入ったメンバーもしっかりと得点を重ね、終わってみれば、31-11と圧倒的な大差でおっさんずの勝利となった。また、山中先生は後半も我慢が出来ずに、15分から20分までプレーし、何と4得点をマークした。

「さて、1番得点してない奴は……」

「先生、高松でしょ!」

「得点0点ですよ!」

「さぼってたな!」

「待て、俺はGKだぞ?」

「しかし、得点はしてないだろ?」

「やっぱり高松だろ!」

「そうだな、高松だな!……よし、ジュース奢れ!」

「先生、マジですか?」

「当たり前だ!」

『そうだ、当たり前だ!』

良く分からない理由で高松がジュースを奢る事になったが、高松達に取って、この試合はとても意味がある物になった。

この後高松は、石谷と岡崎から手荒い祝福を受けるが、

「何だ、石谷に岡崎じゃないか!…懐かしいな!」

山中先生から声を掛けられ、高松のチームメイトと一緒に昼を取る事になった。石谷も岡崎も部活で活躍しており、ハンドボール部とは仲が良かった様である。

しかし、高松が石谷達に絡まれ、その後にチーム達と食事に行った為に橘と鈴木先生は高松に声を掛ける事が出来なかった。この辺がきっかけで、高松が講師の日に何か起きなければいいのだが……

なかなかな滑り出し。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 初戦はなんとか乗り切りましたね! この後、石谷さん達とどんな絡みがあるか楽しみです!
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