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最後の恋……  作者: 澤田慶次
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高松の本職……

高松はどんな話をしますかね。

練習が終わった高松は、崎原の家に向かって社用車を走らせる。崎原の住所は学校で調べ、カーナビを使って向かった。崎原の家に着いたのは21時を少し過ぎてからであった。

高松がインターフォンを押す前に玄関が開く。

「高松ちゃん、どうぞ……」

「悪いですね、こんな遅くに」

高松は家に上げて貰う。

「これはこれは、誠の母親の雪枝(ゆきえ)です」

「父親の守雄(もりお)です」

「特別講師をしてます、高松康介です。こんなに遅くにすいません」

崎原は高松を案内すると、自分の部屋に戻ってしまった。弟と妹はすでにここには居なかった。

「時間も時間ですので、単刀直入に言います。お仕事見付かりそうですか?」

「なかなか厳しいです……」

「ハローワークには行って、手続きは済ませてますけど……9カ月の保証しかないですから……何とか仕事しないと……」

「確認なんですが、お2人で仕事をするんですか?」

「生活する為です。しょうがないです」

「私も少しでも稼がないと……」

「崎原君も学校辞めて仕事しようとしてますよ」

「「!?」」

「誠がそんな事を……あいつも長男なんだな……」

「本当に申し訳ないけど、ありがたい事ね……」

「もう1つ確認です。崎原君は出来るなら、高校を続けても大丈夫ですか?」

「大丈夫なら行かせてやりたい……」

「いつも楽しそうに学校に行ってますので……」

2人は顔を下に向ける。

「成る程、大丈夫ですね……本題に入ります。私の所で働きませんか?」

「「!?」」

「高松さんの所?」

「何してるんですか?」

2人は顔を上げて不思議な顔をしている。

「私は介護の会社で働いています。こっちが本職なんですが、現在北関東支社で支社長をしています。私には採用の決定権があります。ちょっとこちらを見て下さい」

高松はバッグから3枚の紙を出した。

「とりあえずですが、働き方改革なので週に1日は休みを取らなければいけません。ですので、一旦週5日の勤務で作ってみました。雪枝さんは土日を休みとして、守雄さんは土日に勤務して頂く……まずは登録ヘルパーとして働いて貰い、守雄さんには資格を取って貰って社員になって頂く。まぁ、私の考えですが、とりあえずこちらに書いてある通り、登録ヘルパーとして働いた場合のおおよその給与を作ってみました。どうですか?」

「「!!!」」

「こんなに稼げるんですか?」

「ありがたいけど、何かあるんじゃないですか?」

「それはありますよ。働くのに資格は取って貰わなければいけないし、仕事もご逝去等があり安定しない……しかし、現状はサービスが余っているから空いた仕事は代わりがあります。資格も、普通に取ると7万近く掛かりますが、ハローワークなら無料講習がある筈です。資格取得まで約1カ月、その後からの勤務になりますがどうですか?」

「……高松さん、社員になる為の資格……」

「それなんですが、これから2人が取る資格は初任者研修という物です。これは、介護のサービスをするのに必要な物ですが、社員になる為にはサービス提供責任者として勤務する事が必要です。それには最低、実務者研修と言われる資格が必要です。しかし、私の勤めている会社ならば、その後も勤務するという条件の元ならば全額会社が出します。悪い話じゃないと思いますよ」

「いい話だとは思いますが……」

「私達に勤まるでしょうか?」

「何か言いました?……息子さん達の為ならば、仕事は選ばないんですよね……何甘えた事言ってんですか?」

「……そうですね、誠達の為にもやらないと!」

「私も頑張ります……甘えた事は言ってられません!」

「……決まりましたね……では、まずは資格取得の為にハローワークに行って下さい。雪枝さんもハローワークに行き、話を聞いて下さい。雪枝さんは無料講習が受けられなかったら、一般の研修を受けるしかないですが、そこは私が負担しますから安心して下さい」

「そんな……」

「高松さんにそこまでは……」

「??……何か勘違いしてますよ……私はあなた達の為に動いてる訳じゃない……崎原君に元気に学校に来て欲しいんです」

「しかし……」

「7万は大金です……」

「では、生活が落ち着いたら返して下さい。貸す事にします」

「高松さん……ありがとうございます……」

「本当に、何とお礼を言ったら……」

「お礼はいいですから、しっかり仕事して下さい」

「はい、それは約束します!」

「高松さんの為ならば、どんな事でも……」

「……誤解される答えは辞めて下さい……それともう1つ、誤解があるので訂正しておきます。私は支社長です。利益にならない事はしません。2人ならば、しっかり仕事をしてくれると思ったから話してるんです」

「ですが……高松さんには何の得も無い……」

「何か返したいんですが……」

「ドラマか何かを見過ぎではないですか?……私にも見返りはあります。崎原君はとても明るく元気な生徒です。その彼が、今日は元気がありませんでした……彼が元気に学校に来るならば、それが私に取って1番ありがたい。約束して下さい。子供達の笑顔を全力で守ると……」

「「はい、約束します!」」

「さて、私の用事は終わりました……崎原君に挨拶して帰りますか」

「どうぞ、こちらです」

「ありがとうございます、高松さん!」

「いやいや……」

高松は崎原の部屋の前に行く。

「崎原君」

「はい、今開けます!」

「いや、大丈夫です。何とかなりそうですので、明日から元気に登校して下さい。約束ですよ」

「本当!」

部屋のドアが開く。

「高松ちゃん、本当に?」

「こんな所で嘘は付かないですよ」

「俺……学校に行けるの?」

「大丈夫です。しっかり卒業して下さい」

「ありがとう、高松ちゃん!」

「明日から、元気に登校出来ますね」

「はい!…任せて下さい!」

「はい、任せました……では、私はこれで……」

高松は軽く頭を下げ、崎原の両親に挨拶して帰って行った。気が付けば、22時を回っている。大分話し込んでいたが、結果的にいい方向に向かいそうである。

高松は口元を少し緩めながら、自分のアパートに向かった。

崎原家、何とかなりそうですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さすが高松さん、支社長の権限を行使して救いましたね。 無意識に慕われる高松さん、これからボクサー達にどんな影響を与えるか楽しみです!
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