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最後の恋……  作者: 澤田慶次
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10月最後の水曜日……

何かが起きてる今日この頃……

高松は城北学院にいつも通りに出勤する。誰も居ない職員室で1人で本職の仕事を進めている。

「失礼します……高松ちゃんだけみたいだね……」

「はい、そうですね……どうしました?」

「高松ちゃん、少し時間いいですか?」

「はい、大丈夫ですよ?」

高松を訪ねて6組の崎原(さきはら)(まこと)が来た。まだ誰も登校しない、早い時間である。高松は崎原と屋上に行く。

「高松ちゃん……俺、学校を辞めようと思って……」

「……どうしたんですか?」

「……実は……父親が働いてた会社が倒産して……俺も働いた方がいいと思って……」

「成る程……いつ倒産したんですか?」

「先週…………学校辞めて働くのも仕方ないかな~……」

「……ハローワークには行かれましたか?」

「うん、それは大丈夫だけど……だからって、仕事がすぐに見付かる訳でもないしさ……」

「成る程……ご両親共、今は家に居るんですか?」

「夜になれば居ますよ……昼間は仕事探してるから……」

「……2人で仕事をする気ですか?」

「そりゃそうでしょう……俺の下に弟と妹が居るけど、弟は中学生だから妹と2人でも平気だろうし……俺も働いて、2人の学費の足しにしないと……」

「……高校中退は、中学卒業と変わらない給料ですよ……」

「仕方ないだろう!……少しだけでも足しになればいいんだよ……2人には、高校くらいは出て欲しいんだ……」

「……ご両親は、どんな仕事でもやる気はありますか?」

「当たり前だろ!…何言ってんだよ!」

「……確かに弟と妹に高校を出て欲しい崎原君の気持ちは分かりました……しかし、あなたがそう思う様に、ご両親もあなたには高校を卒業して欲しいんじゃありませんか?」

「しょうがないんだよ!……俺だって、高校辞めたくないよ……」

「それを聞いて安心しました……今日、21時頃……もう少し遅くかな、崎原君の家にお邪魔します。ご両親に伝えておいて下さい」

「何で?……高松ちゃん、変な事言う気じゃないよね?」

「はっはっは、変な事がお望みなら喋りますが、その予定は無いですよ」

「高松ちゃん、俺は高松ちゃんに話が出来れば満足だよ!」

「う~ん……私は満足じゃないですよ……まぁ、悪い話はしませんから……」

「……分かりました……高松ちゃん、俺から話聞いたからって、責任感じないでね……」

「責任を感じる?……それはまた、別の話ですね……」

高松と崎原は別れた。崎原の家は大変だが、高松は何の用事があるのだろうか。


高松が職員室に戻ると、高木先生と鈴木先生が居た。

「おはようございます、高松さん!」

「何処に行ってたんですか?」

「2人共、おはようございます……少~しだけ、秘密の用事があったんです」

「「!?」」

「どんな用事ですか?」

「教えて下さい!」

「教えられないから秘密なんです……察して下さい」

「怪しいですね……」

「高松さんは秘密が多すぎます……」

「気のせいですね……まぁ、時期に分かりますよ……」

話をしていると他の先生方も出勤し、いつもの様な賑わいになって来た。高松は自分の机でパソコンをやりながら、買ってきたお茶を飲んでいた。


高松の授業は本日も好評であった。いつもの様に誰もが参加し、誰もがしっかりと聞いていた。高松の授業は、誰もが楽しみにしていた。

昼休みになると、高松は崎原と屋上に行く。

「確認ですが、ご両親はどんな仕事でもやりますね?」

「はい、大丈夫です……」

「崎原君は、学校を辞めたくはないんですね?」

「それは……辞めたくないです……」

「崎原君としては……我儘だ何だと言うつもりはありません……どうなる事が本当の望みですか?」

「俺は…………俺は、自分は最低高校を卒業してから就職したい……弟達にも高校くらいは出て欲しい……両親の仕事が何とかなる事が1番いいんだけど……」

「その後はいらないです。ご両親の仕事が何とかなり、今の生活が出来れば問題無いんですね?」

「はい、それはそうです……」

「よ~く分かりました。では、ご両親に必ず本日伺う事を伝えて下さい……いいですか、必ずですよ」

「はい、分かりました……」

「では、そんなに暗い顔しないで……今日は元気出していきましょう!」

「はい……」

「まぁ、しょうがないか……」

2人はそれぞれの場所に戻る。


高松は午後の授業を終えると、部活に参加する。男子ハンドボール部の練習に参加し、部員達と一緒に汗を流した。

「高松さん、この後一緒に夕飯でもどうですか?」

「申し訳ありません、今日は用事が詰まってまして……」

高松はそう言いながら、そそくさと職員室から出て行った。

高松は国浦学院に社用車で向かう。お茶を飲みながら運転している。

高松が国浦学院に着くと、他の者はもう来ていた。

県民体育大会に向け、山中先生の元厳しい練習をする。

人間とは不思議である。40歳を超えた面々だが、練習を続けるうちに慣れて来た様だ。全員が大分動ける様になってきていた。

練習終わりのペナルティスローが終わる。本日は、猪狩の奢りとなった。

「なぁ、みんな何処かでハンドボールやってたのか?」

「オッチンと瀧と俺は地元のクラブに居たよ。最近まで練習に参加してた」

「小川達が同じクラブだから、強かったよ……俺も地元のクラブに居たけど、毎回やられてたからな!」

「新井も地元クラブだったよな……野沢も新井も小川と一緒にやれば良かったのに……」

「俺と山口、大橋は大学2部でプレーしててさ……その後は隣の県で働いてたから、そっちでクラブに入ってたんだ!」

「塚本が強引に誘ってさ……」

「まぁ、お陰で運動不足にはならなかったかな!」

「成る程……みんなハンドボールやってたんだな……」

「高松、絶対に優勝しようぜ!」

「そうだな」

高松は着替えると崎原の家に向かった。

高松、何を考えてますかね……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 高松さん、優しいですね! 生徒の悩みを真剣に接して対応する。 ある意味、池本さんと似ている!?
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