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最後の恋……  作者: 澤田慶次
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ある月曜日……

何やらありそうですね。

ある月曜日、高松はいつもの様に訪問介護事業所に行く。年内は基本、訪問介護事業所に朝は居るつもりの様だ。まだ社員が誰も出勤していない中、高松はこれまたいつも通りにパソコンを始め、誰よりも早く仕事を始めている。

9時が近付くと、田中支配人を始め、本日の出勤者が出勤して来る。

「おはようございます!」

「今日もお願いします!」

「よろしくお願いします!」

みんな朝から元気である。

全員が出勤し朝礼が終わると、高松はパソコンを見ながら難しい顔をしている。

「高松さん、どうしたんですか?」

「……兵庫支社の売上が余り良くないんです……何があったんですかね……」

「高松さん、支社長の業務を超えてませんか?」

「そうかもしれませんが……兵庫支社は確か水沢さんでして……私の数少ない、この会社の友達です……何だか心配ですね……」

「連絡してみたらいいじゃないですか?」

「本田さんは簡単に言いますねぇ……友達だから、なかなか言えない事もあるんですよ……しかし、心配ですね……」

そんな話をしていると、高松の会社携帯が鳴る。

「はい、高松です」

「高藤です」

「お疲れ様です」

「高松さん、兵庫支社が苦戦してます……」

「はい、さっき確認しました」

「今から兵庫支社に行けませんか?」

「……明日には帰って来ますよ?」

「構いません……ダメですか?」

「分かりました、水沢に会って来ます!」

「よろしくお願いします!……水沢支社長には、私から連絡しておきます」

「よろしくお願いします……では、今から出ます」

高松は携帯を切り、田中達に声を掛けてから駅に向かった。駅で新幹線の切符を買い、新幹線に乗る。高松は兵庫に向かった。


高松は新幹線の中でもパソコンをやりながら、高藤から言われた駅に着いた。高松はパソコンをリュックに仕舞い、駅から出て来る。高松は荷物はいつもリュックに入れている。動き易いらしい。

「高松さん!」

駅から出た所で声を掛けられる。

「久しぶりです、水沢さん」

高松に声を掛けて来たのは、兵庫支社の支社長、水沢(みずさわ)幸伸(ゆきのぶ)である。

「悪いですね、こんな遠くまで……」

「はっはっは、我々の仲じゃないですか?……気にしないで下さい」

「ありがとうございます……本当に助かります!」

「いやいや……それより、早速仕事に取り掛かりたいので、案内をお願いします」

「はい……では、車に乗って下さい」

「ありがとうございます」

高松は助手席に乗り、水沢が運転である。

「なかなか売上が上がらなくて……」

「難しいですよね……何かネックがあるとは思いますけど……」

「……しかし、高松さんは凄いですね!……結果を出したんだから!」

「たまたまですよ……たまたま上手くいっただけです……」

「変わらないですね、そういう所……昔から手柄を全面に出さない人でしたけど……変わらない事が何だか嬉しいです……」

「……そうそう人は変わりませんよ……それより、美人の奥さんは元気ですか?」

「はい、元気が有り余ってます!」

「それは結構ですね!」

「いや……私は大変ですよ……」

「惚気に聞こえますね?」

「「はっはっはっはっは!」」

なかなか楽しい車の中である。


兵庫支社のあるビルに着くと、2人は早速パソコンを開き売上·経常損益を過去3年分確認する。売上はたいして変わってないが、訪問介護·訪問看護事業所が増えているのに売上が変わらないのは痛手であり、結果として支社全体の経常損益は下がっている。

高松は水沢に、事業所が何処にあるかを聞きパソコンで兵庫県のマップを開き、マッピングをする。

「取引先は分かりますか?」

「はい、こちらです」

水沢は取引先の一覧を高松に渡す。高松はそれを見ながら、さっきとは違う色でマッピングをする。

「病院と居宅が分かる一覧ありますか?」

「こっちになります」

「もしかして、マッピングした物もありますか?」

「アナログですけど、これで良ければ……」

「ありがとうございます……………成る程…何となく分かって来ました……現在は15時か……水沢さん、営業に行きますよ」

「はい……何が分かったんですか?」

「とりあえず営業に行ってみて、反応を待ってから説明します……さぁ、行きますよ」

高松は立ち上がると、すぐに事務所から出て行く。

「待って下さいよ、高松さん!」

水沢は高松の後を追い掛けて行く。


水沢の運転で病院に着く。

「これで営業しますよ」

高松が出したのは、兵庫県内の居宅·訪問介護·訪問看護の事業所が乗っている一覧であり、それしか用事をしていない様だ。

「高松さん、それだけですか?」

「はい、これだけです」

「これで大丈夫なんですか?」

「まぁ、騙されたと思ってやってみましょう……名刺は必須ですよ」

「はい、分かりました……」

高松と水沢は病院の中に入って行く。

高松は病院の受付で、会社名と自分達の役職を伝え、退院等の調整をしている方への面会をお願いした。少し経つと女性が走って来た。

「お待たせ致しました。相談員の中村です」

「私、高松と申します。よろしくお願い致します」

高松は名刺を渡す。

「北関東支社責任者?……関東からどうしたんですか?」

「こちらが水沢と言って、兵庫支社の責任者なんです」

「水沢と言います。よろしくお願い致します」

水沢も名刺を渡す。

「それで、どういうご用件でしょうか?」

「はい、私は今回、こちらの県に来る用事がありまして……実際に病院ではどういう事に困っているのか、せっかくなので水沢支社長と挨拶がてらに回ってるんです」

「そうなんですか……」

「こちらの病院、凄く雰囲気がいいですね……私がこっちで怪我でもしたら、是非ともお願いします」

「怪我をしないで下さい……でも、今は難しいかもしれませんね……」

「どうしてですか?」

「高齢者の退院がなかなか進まないんです。入院中に認知症状が出たり、1人では生活が難しかったり……関東の病院ではどうですか?」

「似た様なケースはたくさんありますよ」

「どうやって解決してるんですかね……」

「……そうだ、丁度良かった……実はですね、私達の会社は居宅も訪問看護もやってるんですよ。関東でも退院が困っているケースは何事例も引き受けています……確か、水沢さん一覧持ってましたよね?」

「はい、これですか?」

水沢が事業所一覧を出し、高松はそれを受け取って中村相談員に説明する。

「これが一覧なんですけど、居宅·看護·介護が近い所で建っています。こことここにはサ高住が併設されてます。退院で困っている人がいたら、まとめて面倒みれますよ?」

「サ高住に入ったとして、病院は何処になるんですか?」

「それなんですけど、実は連携して頂ける病院がなかなか見付からなくて……連携して頂けませんか?」

「!?……それじゃあ、もし体調が悪くなったりしたら、第1がうちになる訳ですか?」

「ご迷惑をお掛けするとは思いますが、私は安心です」

「……ちょっと待ってて下さい!」

中村は小走りで何処かに行ってしまった。高松と水沢は近くの椅子に座る。少しすると、中村が男性を1人連れて戻って来た。

「こちら、相談室の管理者です」

「管理者の和久井です」

「改めまして、高松です」

「水沢です」

2人は名刺を渡す。

「話は中村から伺いました。どのくらいの余裕があるんですか?」

「入居に関しては10名は硬いです。ケアマネから看護·介護でご自宅でしたら、今なら何人来ても平気です」

「成る程……早速依頼したいケースが何件もあるんですが!」

「でしたら、水沢の名刺に支社のファックス番号がありますので、そちらにファックスして下さい……後これ、事業所の一覧表なんですけど……邪魔じゃなければどうぞ……直接連絡しても大丈夫ですので……」

「ありがとうございます、今日のうちにファックスします!……水沢さん、色々相談に乗って下さい!」

「はい、いつでも大丈夫です!」

「水沢の動きが遅かったら、私に連絡して下さい。蹴っ飛ばしてでもやらせますから」

「高松さん、ありがとうございます……出来たら……この後、塚田病院に行って頂けますか?…あっちも同じ様に大変なんです……」

「分かりました、これから向かいます」

「ありがとうございます、連絡は入れておきます!」

「それでは、これで失礼致します」

「失礼致します」

高松と水沢は頭を下げ、病院から出て行った。

帰りに塚田病院に行き、同じ様な説明をした。相談員の大塚は和久井と同じ様な反応をし、高松と水沢が支社の事務所に帰って来ると、新規の依頼書が30枚以上来ていた。

「さて、これを振り分けて明日には受ける連絡を入れますよ」

「はい、頑張ります!」

2人の作業は20時近くまで掛かったが、2つの病院からの依頼の為に、思ったよりも早く終わり、引き受ける事とお礼の電話を本日のうちに掛ける事が出来た。

「これからの事は、明日、改めてやりましょう」

「はい、お願いします!……今日はお疲れ様でした!」

「はい、お疲れ様でした……」

高松と水沢は本日の業務を終了した。

かなり身のある1日になった。

兵庫で活躍の高松、明日まで支援です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 高松さん、友達のために頼りになりますね! 西田さんも見習うとよいですよね(笑)
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