日曜日の出来事……
日曜日、高松は何かありそうです……
高松は朝早くから洗濯をした。昨日の練習で使った服と鈴木先生が汚したシーツ等を洗っていた。
「ごめんなさい、高松さん……」
「このくらいは大丈夫ですよ」
「いえ……本当に何て事を……」
「余り気にしないで下さい」
「高松さん……この償いは、私の体で……」
「……何時の時代の人ですか……飲み過ぎなければ大丈夫です……ここだけ聞くと、私は大分酷い人になりますよ……」
「でも……迷惑掛けてばっかりだし……」
「それなら……また、今度食事に付き合って下さい……それだけで充分です」
「はい、分かりました!……絶対に行きましょうね!」
「そうですね……」
高松は鈴木先生を送り出し、洗濯物を干すと出掛けた。最寄りの駅から電車に乗る。
高松は東京に来ていた。駅から出るとすぐに電話をする。
「はい、石谷!」
「高松だ」
「番号見れば分かる…何だ?」
「今、桜新町駅に着いたんだ……式典の話しもあるし、飯でもどうだ?」
「おう、そういう事なら大丈夫だ!…何処で待ち合わせする?」
「そうだな~……いつもの蕎麦屋にするか?」
「いいな!…あそこは旨いしな!……息子が後を継いだんだ!」
「そうなのか?……何だか懐かしいな!」
「よし、今からそこに行く!」
「おう……所で、池本さんは呼ばなくていいのか?」
「あいつには、まだ内緒だ!……必ず当日に連れて行くが、今はまだ秘密だ!」
「何か企んでそうだな~」
「楽しい事だから、大丈夫だ!」
2人は蕎麦屋の前で待ち合わせる。
2人は蕎麦屋に入って行く。
「いらっしゃい!」
「2人でお願いします」
「はいよ!……あれ?…懐かしいね、2人共!」
「親父さん、引退したんじゃないの?」
「どうして居るの?」
「たまには店に出ないと心配でさ……奥の席にどうぞ!」
「「ありがとうございま~す」」
2人が席に着くと、すぐにお冷が出て来る。
「決まったら呼んでよ!」
「俺はカツ丼セットだな!」
「俺はカレー丼セット!」
「昔と変わらないね~……石谷君はカツ丼セットで高松君はカレー丼セット……2人でそれで言い争ってた事もあったね!」
「「確かに~!」」
「蕎麦屋のカレーが旨いんだって高松が言って……」
「石谷が出汁が分かるからカツ丼だって言ってたな……」
「懐かしいね~!」
親父さんはにこにこしながら、店の奥に歩いて行った。
「高松、池本に内緒な!」
「何で?」
「あいつは当日にびっくりさせる……そうしないと、あいつらしい話が出ないからな!」
「お前も来るのか?」
「当たり前だ!…会長には許可を貰ってる!」
「会長か~……懐かしいな~…元気か?」
「ああ元気だ!…たまには顔出せってさ……亮にも言っといてくれ!」
「おう、わかった……お前のが会うんじゃねぇか?」
「……そうかもな!」
2人で話していると、注文したメニューが出て来た。
「そういえば、2人にちゃんと祝福してなかったね!」
「「何をですか?」」
「まず……石谷君、世界チャンピオン誕生おめでとう!」
「ありがとうございます」
「高松君、オリンピックのメダル獲得、おめでとう!」
「……ありがとうございます……もう、みんな忘れてますよ……」
「いいんだよ、俺が言いたかったんだから!」
「そうですか……」
「高松、忘れて無い人は居るぞ……しっかりな!」
「そうだな……やれるだけやるさ……」
「高松君、何かやるの?」
「はい、改めてハンドボールをやります……やり残しがありますからね……」
「楽しみだね~……これは老け込む訳にはいかないな!……よし、高松君の復帰が正式に決まったら、俺が蕎麦を打ってご馳走するよ!」
「ありがとうございます」
「……親父さん、引退して鈍ってんじゃないの?」
「石谷君は厳しいね~……よし、今日から練習だ!」
親父さんは張り切って店の奥に小走りで行った。
相変わらず、ここのセットメニューは美味しかった。2人は満足そうな表情で店から出て来る。
「高松、これからどうすんだ?」
「帰るよ、用事はこれだけだからな」
「帰ってやる事あるのか?」
「おう、高校の時のチームメイトがさ……県民体育大会に向けて集まってくれたんだ……水·土·日と練習だ……忙しいんだ」
「お?…復帰に向けて着実だな……見に行くよ!」
「ジムがあるだろう?」
「日曜日は基本休みだ……お前の試合、見させて貰うよ……」
「そうか……恥ずかしい試合にだけはしない様にしないとな!」
「そうだな!……変な試合したら、承知しねぇからな!」
「分かってるよ……任せろ!」
「……お前の[任せろ]……久しぶりだな………何とかなる、任せろ……お前の口癖だったな……」
「そうか?……記憶にねぇぞ?」
「……お前は何とかしちゃうからな……お前の口癖は、頼もしかったんだぞ……」
「気のせいだよ……昔から無理はしてねぇよ……」
「だから頼もしいんだ!……無理をせずに何とかしちまう……俺達からしたら、大分無理してる様に見えたけどな!」
「お互い様だろ?…俺から見たら、お前はスゲェよ!……大体、あの練習を毎日やるんだからな!」
「勝つ為さ……やらなければやられるだけだ、簡単な事だ……」
「同じだよ……やらなければ、自分の居場所が無い……この道で生きて行くには、無理だなんて言ってられない……」
「そうだな……そうして、誰もが夢に向かって生きて行く……」
「ああ……そして、挫折する奴も居る……だから、プレーしてる奴は責任持ってやらないとな……」
「……やっぱり高松は高松だな!…変わらねぇな!」
「変わってたまるか!……お前と同じ、大切な所は変えるつもりはねぇよ!」
「頑張れよ、高松!」
「お前もな、石谷!」
2人はハイタッチして別れた。高松には気合いが入る出来事だった。
高松は改めて、必ず挑戦を成功させる事を誓った。
式典が近付いていますね。




