新チームの練習……
何かありそうな感じです。
高松の2学期最初の授業は、かなり上手くいった。誰もが考えさせられ、誰もが痛感させられる物だった。
高松の昼休みは、いつもと変わらず騒がしい物になっていた。
高木先生と鈴木先生が言い争い、それを橘が横から割り込む。そんな3人に対し、高松は山田先生に無茶振りをする。1学期と変わらない楽しげな昼休みである。
午後の授業も終わり、高松は男子ハンドボール部の練習に参加する。
高松は着替えると、体育館に向かう。その途中で個人携帯が鳴った。
「高松です」
「山中だ。高松、土曜日に時間作れるか?」
「はい、大丈夫ですけど……何かあるんですか?」
「お前、県民体育大会に出る気でいるだろう?」
「はい、何処かのチームに入れて貰えればと思ってます」
「だと思ってな、出たい奴等を集めておいた。18時から国浦の体育館で練習だ!」
「本当ですか?……ありがたいです。色々と確認したい事もありましたので!」
「そうか……しっかりと優勝しろよ!」
「先生、プレッシャーですよ……」
「お前にプレッシャーなんてあるのか?……俺は知らんぞ!」
「……監督は勿論、先生ですよね?」
「当たり前だ!…お前を見届けるからな!」
「ありがとうございます……先生、俺の話を盛り過ぎですよ」
「何言ってんだ!…足りないくらいだ!……お前の挑戦が終わったら、もっとしっかり伝えるからな!……高校卒業後も含めてな!」
「先生には敵いませんね……とりあえず、先生が自慢出来る様に頑張ります」
「ああ、楽しみにしてるぞ!」
「はい!…ありがとうございます」
高松は電話を切り、練習に向かった。
新チームの練習とはいえ、大学に進学してもハンドボールを続ける3年生は練習に参加している。梶山と大橋の姿もある。新チームのキャプテンは、レギュラーであった福田である。ポジションは右45度。
高松は一緒にプレーしながら、色々な事を新チームに伝えていく。加藤先生は高松の話や指摘をノートに取りながら、誰よりも真剣に聞いている。
練習も終わり、自主練をそれぞれが始めた時、高松は加藤先生と高木先生から声を掛けられる。
「高松さん、新チームの相談をしたいんですが……」
「土曜日、時間作れませんか?」
「土曜日は用事がありまして………新チーム、まずはどういうチームにするか、2人のビジョンを明確にして下さい」
「ビジョンと言われましても……」
「なかなか難しいです……」
「そうですねぇ……まず、最終目標を決め、それを達成した姿を思い浮かべて下さい……そこから少しずつ、時間を巻き戻していくと、どんなチームになっているかが見えます。それがビジョンです」
「成る程……やってみます!」
「私もやります!」
「では、来週までの宿題として、来週の水曜日に話をしましょう……分からない事は、ショートメールでも送って下さい」
「「はい、ありがとうございます!」」
「高松さん、用事は何ですか?」
「私にとって、楽しい事です」
「教えて下さい!」
「……今は秘密です……」
『松ちゃ~ん!』
『高松ちゃ~ん!』
自主練をしている生徒達に呼ばれ、高松はそちらに走って行く。
この日も高松は、アパート近くのスポーツジムに行き、トレーニングを欠かさなかった。
土曜日、高松は朝からスポーツジムでトレーニングをし、午後はゆっくり過ごす。本日は城北学院の練習はお休みの為、高松は久しぶりにのんびりしている。
高松の会社携帯が鳴る。
「はい、高松です」
「工藤です!」
「私は公休です」
「分かってますけど、お話があって……」
「月曜日に聞きます。大体、自分で何とかして下さい」
高松は電話を切り、アパートを出て街中を少しぶらついた。
16時30分、高松は国浦学院に向かった。一信から車を借りたままの為、その車で向かった。
17時を少し回った所で国浦学院に着き、体育館に向かうと山中先生が居た。
「高松、そこの会議室で着替えて来い。3階フロアで練習だ!」
「はい、分かりました」
高松は会議室に入り、着替えて出て来る。
国浦学院の体育館は城北学院と同じ作りであり、1階フロアなら2階から見渡せる為にチームメイトはすぐに見えるが、3階フロアの為にどんな面子が集まっているのか、高松には分からない。
「よし、行くか……みんな待ってるぞ!」
山中先生と3階フロアに行く。高松はどんな面々が居るのか、不安と期待が入り交じっていた。
山中先生がフロアへのドアを開ける。
『待ってたぞ、高松!』
「!!!!」
高松は自分の目を疑った。ドアの向こうには、キャプテン栗原を始め、サイドの押山·右45度の野沢·左45度の猪狩·センターの新井·ポストの小川·サイドの控えの瀧田に山口·センターの控え大橋·ポストの控え塚本、高松の高校時代のチームメイトが集まっていた。
「何でみんなが……」
「康夫から連絡貰ったんだ!」
「高松が復帰するなら、始まりは俺達だろう?」
「お前はここから始まった!」
「俺達にも協力させろよ!」
「もう一度、高松とプレーしたかったんだ!」
「あんまり、心配掛けんなよ!」
「1人じゃねぇぞ!」
「たまには頼れよ!」
「俺達は仲間だろ?」
「声掛けたら、みんな2つ返事でOKしてさ……みんなお前ともう一度、ハンドボールがやりたいんだってさ!」
「…………………………」
「高松、やるしかないだろう?」
「先生…………はい、やるしかないですね!…このメンバーで負けたら、全て俺の責任です!」
「お?…高松らしいセリフが出たな!」
「やる気になったか?」
「笑顔でいられるのは、今のうちだからな!…大会までにきっちり鍛えてやる……お前等ロートルを鍛えてやるぞ!」
「うわ!…鬼高松が出た!」
「昔の鬼が出て来た!」
「おいおい、高松が大人しくなったって言ったのは誰だよ!」
「康夫!…話が違うぞ!」
「あっはっは、高松はそうじゃないとな!…らしくていいじゃないか!」
「らしいけど、こうなると妥協がない!…筋肉痛は覚悟か……」
「おい、俺は優しいぞ!…変な事言うなら、きつくするぞ!」
『うわ~!』
「はっはっは、高松らしくて結構結構!…練習は、土日のこの時間と水曜日のこの時間だ!……さぁ、ランニングから始めろ!」
『はい!』
山中先生の言葉に従い、ある意味新チームである、国浦学院OBチームは始動した。高松の挑戦のスタートには、この上ないメンバーである。
この後、練習はかなりハードな物となり、全員がしっかりと汗をかいた。
そして翌日、高松以外の物は筋肉痛となり、自分の体の鈍りを痛感し、その日から各自がトレーニングをしていく。
なかなか面白そうな感じです。
どんなチームになりますかね。




