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最後の恋……  作者: 澤田慶次
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9月も忙しい……

高松は忙しいですが、慣れて来たかな?

9月に入り、高松の本職は忙しくなる。田中が支配人になったが、色々と引き継ぎ等があり、高松は相変わらず忙しかった。更には、工藤が高松に研修という形で付く為、高松の負担は増えたみたいである。

それでも高松は、自分の仕事をきっちりこなし、新規獲得の為の行動を怠らなかった。


そんな9月の最初の水曜日、高松は2学期最初の講師の為に城北学院に行き、いつも通りに職員室で本職の仕事をする。

「おはようございます、高松さん!」

「おはようございます……早いですね、鈴木先生」

「おはようございます!」

「うお!……早いですねぇ、高木先生……おはようございます」

「何でそんなに早く来たんですか?」

「鈴木先生には関係が無い事です。高松さん、新チームの事で相談に乗って下さい!」

「ある程度ですね……自分でも考えて下さい」

「はい、よろしくお願いします!」

「高松さん!」

「何ですか、鈴木先生」

「今度~、お出掛けしましょうよ~!」

「おはようございます!」

「山田先生、おはようございます。元気ですね」

「はい、今日からまた、しっかりと教師をしないと!」

「タイミング悪いんだから……」

「何か言いました?…鈴木先生?」

「別に……」

「山田先生、鈴木先生はお出掛けしたいみたいですよ」

「言ってくれれば、僕は付き合いますよ!」

「あら、お似合いのカップルじゃないかしら!…ねぇ、高松さん!」

「変な事言い出したな~、この年増女教師!」

「何ですって~、ぶりっこ教師!」

「何ですか~!」

「何よ~!」

2人のやり取りを山田先生は少し震えながら見ている。

「おはようございます、康介さん!」

「はい、おはようございます」

「また2人は喧嘩してんの~?……康介さん、相手にしない方がいいよ!」

「そうですね。山田先生が何とかしてくれるでしょう」

「「ちょっと!」」

「僕には無理ですよ~!」

「大体、後から来た橘さんが余計な事を言うんじゃないの!」

「橘さん、高松さんは私と大事な話があるんです。年増先生と一緒に邪魔しないで下さい!」

「ぶりっこ!…年増年増うるさい!……高松さんに年が近いんだからいいの!」

「成る程、そうか……鈴木先生にとっては40代はかなり歳上の存在……私では釣り合わないですね……」

「!!!」

「そうだよ、康介さん!…鈴木先生は自分で言ってるもんね!」

「あら!…ぶりっこ先生は墓穴を掘りましたね!」

「違う、違うんです、高松さん!」

「この流れだと、やっぱり山田先生の出番ですかね……」

「そうですか?……分かりました、任せて下さい!」

「だから違うって~!」

2学期早々、職員室は賑やかである。


担任の先生達が朝のホームルームを終える頃、高松は1組の教室に向かう。高松が教室に入ると、全員が自分の席に着く。その時にチャイムが鳴る。

「では、授業を始めましょう」

高松の言葉の後、号令が掛かり授業が始まる。

「さて、今日の授業ですが………まずみなさんに、夏休みの楽しかった事を聞きます……では、窓際の列の後ろからいきましょう」

「はい、俺は……海に友達と行ったのが楽しかったです!」

「私は、友達とコンサートに行った事!」

「婆ちゃんの家は楽しかったな~!」

「親戚と海外に行きました!」

「……好きな人と付き合い出しました……」

『お~!』

「加藤先生はどうですか?」

「自分は……ハンドボールでインターハイに出た事です。楽しかったし、勉強にもなりました!」

「みなさん、とても良い答えですね………では、次の列は夏休みの嫌だった事を教えて下さい」

「え~、私は……宿題が大変だった……」

「俺は、風邪引いて熱出したな……」

「私は……雨で野外コンサートが中止!」

「暑くて眠れなかった……」

「もうちょっと休みが欲しい!」

「加藤先生、こちらはどうですか?」

「自分は………ハンドボールの試合で負けた事です……何とも悔しい体験でした……」

「加藤先生はハンドボールばかりでしたね……みなさん、素晴らしい答えです……それでは、次の列の方は最初に発表した列の方に対して、私だったら嫌な事だと思う事があったら言って下さい……なければ、どの発言が羨ましいか答えて下さい」

この質問に、嫌な事を答えた者はいなかった。更に高松からの質問は続く。

「次の列の方、嫌な事の発表に対して反対意見もしくは物凄く同調する等の意見を答えて下さい」

この質問にも、同調こそあれ反対意見は無かった。残りの列の生徒達にも同様の質問をするが、答えは大差ない。

「みなさん、答えは余り変わらないですね……何ででしょう?」

「高っち、そんなの当たり前じゃん!」

「どうしてですか?」

「楽しい事はみんな楽しいし、嫌な事はみんな嫌に決まってるじゃん!」

「みなさん、そうなんですか?」

『当たり前だよ!』

「成る程……では、仲間外れや嫌がらせをしている人は、何故いつも嫌がっていると思わなかったと答えるんですかね?」

『………………………………』

「どうです?……矛盾してませんか?………人間は弱い生き物です。だから、多数の意見に流され、時には分かっていても重大な過ちを犯す恐れがあります。この簡単な事でさえ、言われなかったから分からなかった、嫌だと言われなかったと言って、自分達を擁護します……果たして、そんな事を言う方達は、こんな簡単な事が分からなかったんでしょうか?……誰か意見ありませんか?」

1人の生徒が手を上げる。

「はい、北島さん」

「はい……私は、最初は分かってたと思います。でも、エスカレートするうちに、段々分からなくなったんじゃないかと思います」

「それはおかしいよ……分かってた事が分からなくなるなんて!」

「自分を守る為の嘘なんじゃないの!」

「いや、分からなくなったんだって!」

「分からない振りをしてんじゃないの?」

「みなさん、なかなかいい意見を出しますね……私は、両方共有ると思いますよ。調子に乗ったり、後悔したり、人間に失敗は付き物ですからね……ここで学んで欲しいのは、基本は嫌な事は誰でも嫌なんです……例え、認知症であっても、何かしらの障害が有ったとしても、我々と同じ、嫌な事は嫌なんです。ましてや、弱い者にやる事では無いですよね……みなさんがこれからも、そういった事をしないと私は思います……今日の授業の大切な部分です。しっかりと覚えていて下さい。そして、例え少人数でも、しっかりと間違っていると声に出して下さい。それで辛い目にあったら、私が何とかします」

『はい!』

高松の話が終わるとチャイムが鳴った。

「丁度授業は終わりです。では、また来週ですね」

『はい!』

号令が掛かり、授業は終了する。

本日の高松の授業は、生徒達だけでなく先生方にも響いた様である。なかなか身の有る授業であった。

高松の授業、色んな意味で勉強になります……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 高松さんの授業は大切なことばかりですね。 生徒たちの心にもきっと響くはずです。
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