8月の終わり……
夏休みも最終日……
高松には関係無いですがね。
お盆が終わると8月は残り僅かとなる。高松は本業も忙しく、お盆も関係なく仕事をしていた。お盆も高松が居るとの事で新規の話が引き続きあり、お盆明けや9月に入ってからも新規が途切れる事がなさそうである。
そして、9月になると人事ローテーションでの話があった様に、田中主任が支配人となり、本田が主事となる。新しい体制での仕事が始まり、更に忙しくなりそうである。
また、工藤理事の高松との仕事については、高松が高藤と話し合い、各支社での戦略等が決まらない等の不具合もあり、9月1日から2週間で行われる事になった。
また、高松は社長から直々に昇進の話があり、改めて取締役もしくは執行役員の話があったが、改めて丁重に断り、結局は社長と高藤が折れる形になった。
ハンドボールは国体関東予選があり、男子も女子もかなり善戦したが最後に負けてしまい、どちらも国体本戦に進む事は出来なかった。
8月31日、高松は公休を取っている。色々と考えがあり、前日から何やら用意している様である。朝起きると、高松は会社携帯から電話を掛けた。
「橘ですけど、どうしたの康介さん?」
「お母さん居ますか?…朝早くて申し訳ないんですが……」
「変わるから待ってて!」
橘の足音が聞こえる。
「はい、変わりました富江です」
「おはようございます、高松です。本日、お子様3人とネズミの国に行きたいんですけど、大丈夫ですか?」
「!?……そんなご迷惑を……」
「いえいえ、私は行った事が無いんですが、流石に1人では………だからと言って、2人というのも………という事ですので、許可が頂けるのでしたら、3人と行きたいのですが……」
「……高松さんがそう仰るのなら……」
「ありがとうございます。では、アリスさんに変わって下さい」
「はい、お待ち下さい」
「変わりました、アリスです!」
「今日はネズミの国に行きますよ。弟と妹の用意をして下さい。迎えに行きますから」
「!?…本当に?」
「今、お母さんからも許可を貰いました」
「分かった、すぐに用意する!」
バタバタと急いでいる足音が聞こえたと思ったら、電話は切れた。時間は朝の6時である。高松は着替えをし、すぐに車で橘の家に向かった。車は前日に兄の一信から借りており、その車で本日はネズミの国に行く。
高松が橘家に着いたのは、7時頃である。高速道路に乗り、なるべく早く着く様にした。
「おはようございます」
「康介さん、おはようございます!」
「すいません。よろしくお願い致します」
橘の母親は頭を下げる。
「お願いします!」
「ありがとう、おじさん!」
「いえいえ、付き合って頂き、こちらこそありがとうございます」
「康介さん、朝ごはんがまだなの……」
「私もまだですよ……途中で食べて行きましょう」
「え?…いいの?」
「特に構いませんよ?」
「本当にすいません……」
「いやいや、こちらこそ無理言って申し訳ありません」
「ねぇ、早く行こうよ!」
「おじさん早く!」
「そうですね、行きましょう」
「コラ~、康介さんをおじさんと呼ぶな!」
「私は構いませんよ、おじさんですからね……おっさんでもいいくらいです」
「ダメ~!…高松さんて呼びなさい!」
「姉ちゃんはうるさいな~、分かったよ……」
「高松さん、あんな姉ですが、よろしくお願いします!」
「あっはっは、妹さんのがしっかりしてるんじゃないの?」
「ちょっと~、康介さん笑い過ぎ!」
朝から賑やかである。みんなが高松の車に乗り、出発となった。
高速道路に乗り、一路千葉へ向かう。途中のパーキングで軽く朝食を取り、上手く休憩を挟みながら高松は運転した。
「私は橘有紀!」
「俺は要!」
「私は高松康介です」
「有紀は中学2年、要は小学6年です!」
「そう、これから楽しみがいっぱいだね」
「「はい!」」
「所でさ、何で姉ちゃんが前の席なんだよ?」
「いいでしょ!」
「帰りは私が乗りたい!」
「ダメ!」
「え~、何で~?」
「いいじゃないですか、帰りは帰りで考えましょう……高速道路なので止まれませんから、今はこのままですよ」
「「はい!」」
「康介さんにはいい顔して!」
「アリスさんも怒らないの」
「!?……今、アリスって言ったよね?」
「しょうがないでしょう?…3人共橘さんですからね。本日は下の名前で呼びますよ、いいですね」
「はい!」
橘の顔は満面の笑みである。
4人はネズミの国に着いた。平日との事もあり、余り混まずに着く事が出来た。
「康介!」
背の高い男が右手を軽く上げ、声を掛けてきた。
「悪いね、修兄ちゃん」
声を掛けてきたのは、高松の次男の兄、高松修司である。
「入場券とフリーパス……たまには楽しめよ!」
「ありがとう……お金払うよ」
「大丈夫だよ。俺は社長だぞ……気を使うな。康介のお供、よろしくお願いします!」
修司は橘達3人に頭を下げた。
「いえいえ、こちらこそありがとうございます!」
「高松さんのお兄さん、ありがとうございます!」
「ありがとう……おじさんは、こっちのおじさんのお兄さんなのか?」
「そうだよ……康介は俺の弟だ!」
「コラ!…おじさんじゃないでしょ!」
「いいんだよ、実際におじさんだ」
「だよな、修兄ちゃん」
「まぁ、楽しんで来いよ!」
『はい!』
「悪いね……」
修司は右手を上げ、帰って行った。
夏休み最後の日、橘家の3人はどんな日を過ごすのだろうか。
これから何がありますかね?
高松、やっぱりアリスに甘い……かな?




