高松の休日……
高松は何処かに行く様です。
高松は朝から電車に乗り、東京に向かった。本日は高松1人での行動になっている。
目的の駅に着いた高松は、高藤に連絡する。
「高藤です」
「おはようございます、高松です」
「高松さん、出張ありがとうございます!」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました……1日早く帰って来たので、キャンセルした分が近々振り込まれます。確認して下さい」
「……高松さんは律儀ですね!」
「いえいえ……支援ですが、どうにかなりそうです……また困ったら、相談して下さい」
「ありがとうございます。報告は川野さんから受けています……高松さんが来てくれて、本当に良かったそうです」
「そう言って貰えると嬉しいです……とりあえず、役目が果たせて一安心です」
「高松さん、明日まで休みなんだから、ゆっくり休んで下さい!」
「はい、ありがとうございます……では、失礼致します」
高松は電話を切り、駅から出て歩き始めた。
ある程度歩くとお寺がある。高松はお寺の近くの自動販売機で冷たいココアを買い、お寺の中に入って行った。
高松は、とある墓の前で足を止めた。買って来たココアを開け、墓の前に置いた。墓には岸田の文字があった。
「………………あれから13年経った………答えはまだ見付からない………見付からないけど、俺は進もうと思う………岸田、お前は賛成してくれるか?………」
少しの沈黙が続く。
「岸田、お前は早過ぎるよ………早過ぎだよ………あの時、俺がしっかりしてれば、お前は死ななかった…………きっと今も、ハンドボールをやってたんだよな………………本当に悪かった、謝っても済まないけど、今はそれしか言えない………岸田、悪かったな…………」
「何で高松さんが謝ってるんですか?」
高松が振り返る。そこには、岸田浩一の奥さん、岸田恵が居た。
「何で高松さんが謝る必要があるんですか?」
「……俺が招いた事で犠牲になった……俺はそう思ってるよ……」
「違いますよ!……浩一さんはそんな事思って無いです……浩一さんは、高松さんに会えて、高松さんとハンドボールが出来て幸せだったんです!」
「……何で分かるんだよ……」
「分かりますよ、妻ですもん!…………浩一さんが怒ってるとしたら、ハンドボールから離れた高松さんの事ですよ!」
「………………あの時は、これが最善だと思ったんだ……俺がハンドボールをやる事で、大切な人が居なくなっていく…………俺には耐えられなかった…………」
「高松さん……高松さんのせいじゃないですよ……色々な不運が重なっただけ…………不幸な事が重なったんです…………」
「しかしな…………自分なら、いくら辛い目にあった所で、何とも思わないだが…………俺の為に誰かが………………嫌になるよ…………」
「……浩一さんは幸せだったんですよ……高松さんの苦しみまで味わう事が出来たんだから…………高松さん、止まったままでどうするんですか?」
「………………………………」
「高松さん、少し時間取って貰えますか?」
「……今日は休みだから、時間はあるんだ……」
「なら、近くのファミレスにでも行きましょう!」
高松は恵に連れて行かれる様に、ファミレスに行った。
ファミレスの席に案内される。恵はアイスミルクティー、高松はアイスコーヒーを頼んだ。
「高松さん、コーヒーは嫌いじゃないんですか?」
「嫌いですよ……」
「だったら何で?」
「……嫌いな物を改めて確認する事も必要なんですよ……」
「……これが高松さんなんだね………浩一さんが憧れて、いつも自慢してた男……少し変わってて、凄くいい人……」
「……いい人ねぇ…………間違いじゃないかな?…………」
「……話を聞いてた通りの人……予想通りの返事!」
「……何ともやりづらいな~……」
「……高松さん、私と初めて会った時……覚えてます?」
「覚えてますよ、2人の結婚式………25歳の時でしたね?……俺は27歳だった……」
「私、初めて会ったのに、初めて会った気がしなかった………」
「……確かに……初めて会った時、妙に馴れ馴れしかったですね……」
「そうですよねぇ……あの後、失礼な事したと思ってたんですよ……」
「……別に気にして無いですよ」
「……浩一さんがね、事ある事に高松さんの話してたから……初めて会った時、この人が高松さんか~って思ったら、何だか前から知ってた様に思えてきて………」
「………そんなに岸田は、俺の事を話してましたか?……」
「話してましたよ!……彼女の前で彼女の事を話す様に、嬉しそうに話してましたよ!」
「……全くあいつは…………」
「知ってますか?…浩一さん、高松さんと自主練するからって、何度もデートをドタキャンしたんですよ?」
「……それは………申し訳ない………」
「私、浮気かと思って問い詰めたんです…………おかしいだろ~って!」
「……あいつは何て?」
「何言ってんだ!…練習は大切なんだ!…大体、高松さんからのご指名なんだぞ!……なんて言って、高松さんの事をたくさん聞かされました……ああ、この人は高松さんて人が大切なんだなって分かりました……」
「……大した男じゃないのにな……」
「何言ってんですか!…浩一さんが認めた人が大した男じゃない訳無いでしょう?……浩一さんの自慢は、自慢の先輩に誰よりも良くして貰って……そんな先輩と大学卒業して、一緒にプレーした事なんだから!」
「しかし……一緒にプレーしたから………」
「浩一さんは後悔してません!……浩一さんは幸せだったんです!」
恵は真っ直ぐに高松を見詰めた。
「………………岸田には、こんなにも分かってくれる理解者が居た……確かに幸せだったかもな………」
「幸せかもじゃなくて、幸せだったんです!…高松さんはどうするんですか?」
高松はアイスコーヒーを一気に飲んだ。
「…………俺は……俺はハンドボールをやる……やり残した事もあるし、俺はハンドボールをやらなきゃいけない義務がある……」
「!?…やるんですね!」
「やるさ……挑戦しないといけない………俺も進まなくちゃな」
「そうですよ!…高松さんはそうでなくちゃ!……浩一さんも喜びます!」
「……しかし、俺も年だからな~………失敗したら、思いっきり笑ってくれ!」
「笑わないですよ!」
「沢松も言ってたなぁ………みんなして、期待がでか過ぎだよ…………」
「違いますよ、高松さんにはそれだけ何かがあるんです!」
「何かって何?」
「分かりません……分かってるのは、浩一さんだけです!」
「………岸田共々厳しいな……あいつに報告しといてくれ、伝えるのを忘れちまった……」
「はい、引き受けました!」
「さて……今日も帰ってトレーニングだな……」
「高松さん……私、しっかり見てますよ!」
「おう、俺の情けない所や醜い所……しっかり岸田に伝えてくれ!」
「……やっぱり浩一さんが認めた人だ、普通はそんな事言わないからね!」
「そんな事ねぇ……普通だ普通……とりあえず、ありがとな……やれるだけやるとするか……」
高松は右手を軽く上げ、会計を済ませてファミレスを出た。
高松のこれからの挑戦、どんな結果が待っているのか…………
どんな結果になっても、高松なら大丈夫そうである。
過去が気になりますね。
高松、何があったのか?




