高松、帰路に着く……
高松の出張もおわりです。
高松は2人が待つ車に走って行った。
「お待たせしました」
「大丈夫です!」
「康介さん、お腹空いた!」
「何処かで昼でも食べましょうか?」
「賛成~!」
「高松さん、昨日大分払ったじゃないですか……お金は大丈夫ですか?」
「ボーナス出ましたからね……大丈夫ですよ、私は支社長に昇給してますしね」
「「!?」」
「凄い、康介さん!」
「仕事辞めて、永久就職しても大丈夫そうですね!」
「……話が見えなくなりましたよ……まずはご飯に行きましょう」
「「はい!」」
高松の運転で、回るお寿司屋に行った。橘のリクエストであった。
会計は3人で5000円程、昨日よりも遥かに安かった。
「美味しかった、康介さんありがとう!」
「高松さん、奢って貰うばかりですいません……」
「気にしないで下さい。美味しかったなら良かったですからね……私は余りお金の使い道が無いですから……楽しい食事に使うなら、大いに結構なんです」
「ありがとうございます……いつかお礼しますね!」
「私もお礼する!」
「…………何か怪しい感じがしますけど……」
「そんな事無いよ、康介さんのご飯を作りに行ってあげるだけだから!」
「私は……す~っと、ご飯を作ってあげます!」
「…………お気持ちだけ貰っておきます……」
「高松さん、恥ずかしがらないで下さいよ~!」
「そうだよ、鈴木先生が居るからって遠慮しなくていいよ!」
「あら、高松さんが遠慮してるのは、橘さんにでしょ?」
「そんな事無い!……鈴木先生は分かって無いな~!」
「……その辺で辞めましょうか……違う話をお願いします……」
「……だったら高松さん……ハンドボールの事、詳しく教えて下さい!」
「私も知りたい!」
「……高木先生が知ってる事までを話しましょうか……その後は、改めて話す時が来ます……その時まで待って下さい」
「「はい!」」
「私がハンドボールを始めたのは、高校に入学してからでした…………
高松は高校に入学し、顧問の山中先生にハンドボール部に入部させられた事、1年生大会での出来事や当時の田中キャプテンとのやり取り、そこから選抜大会で自分のせいで3位であった事、インターハイでリベンジを試みたが、ペナルティスロー合戦になり、最後は自分が外して負けた事、国体では、神奈川県に勝ちながら決勝は怪我で出られなく、結局準優勝であった事、3年になり、選抜·インターハイ·国体と制覇した事を話した。
…………こんな感じでした……大学以降は、改めて話す時期が来たら話しますね……」
「……康介さん凄い……」
「高松さん、物凄い経歴ですね……大学以降も凄かったんでしょうね?」
「ははは……そんなに凄くは無いですよ…………ただ、やっと話せる様にはなったかな?」
「高松さん、大学以降の話……話せる様になったら、必ず聞かせて下さい!」
「待った!……私が先に聞きたい!」
「……はいはい、必ず2人には話しますよ……」
高松の運転する車の中は、なかなか盛り上がっていた。
高速道路をある程度乗った所で、
「少し用事がありますので、寄り道しますよ」
高松は高速道路を降りた。
「康介さん、高木先生の先輩でしょう?……高木先生とは付き合わなかったの?」
「私も疑問に思ってました……どうだったんですか?」
「……彼女は人気がありましたからね……私は蚊帳の外でしたかね……」
「え~、それは無いんじゃない?」
「高松さん、勘違いとかではないんですか?」
「……2人共、やけに突っ込みますね……本人に聞いたらどうですか?……私は相手にされてなかったですよ」
「……まぁ、康介さんがそう言うならいっか!」
「そうですね、今には関係無いですもんね!」
話をしているうちに、車はとある場所に着いた。埼玉県体育館と書いてある。
「中に入りますよ……」
「はい……何かあるんですか?」
「康介さん、何があるの?」
2人の問いに、高松は笑顔を返し歩いて行く。
「「待ってよ~!」」
受付で名前を書き、3人は体育館の中に入って行く。
高松はフロアに続く扉を開け、コートの中に入って行く。2人は高松の後を付いて行く。
「……変わってねぇな……何もかも……」
高松の呟きに2人が反応する。
「ここで何かあったの?」
「高松さん、ここは高松さんにとって、何なんですか?」
「……私のハンドボール人生は、ここから大きく動いたんです……ある意味ここは、私にとってターニングポイントです……」
「「……………………」」
「ここから夢や希望が膨らんでいき、ここで挫折と絶望を味わった……私にとってここは、そんな場所なんです……」
「康介さん……」
「高松さん……」
高松は少し辺りを見回すと、2人に視線を向ける。
「さて、帰りますか……私の用事は終わりました……今度はこの場所は、私に希望を与えるのか、はたまた絶望か……楽しみですね……」
「きっと希望だよ!」
「高松さんに絶望は似合いません!」
「……2人共、ありがとうございます……では、帰りましょう」
「「はい!」」
高松は実家に車を走らせた。
19時を少し過ぎた頃、高松は実家に着いた。高松の母親と愛美が家から出て来る。
「お帰りなさい!」
「お帰り」
「ただいま……愛美、Tシャツ」
「ありがとう、康介ちゃん!」
「みんな大変だっただろう……こちらのお嬢さんは?」
「橘アリスって言います!」
「愛美の先輩……になる予定……」
「高松明子です。康介の母親だと思います……」
「間違い無く母親だよ……何言ってんだよ」
「まさかお前が、愛美と変わらない娘を連れて来るとは思わないだろ?」
「……先生も一緒だろ……変な事言うなよな……」
「お婆ちゃん、中に入って貰おうよ!」
「そうだね……中に入ってご飯でも食べていきな!」
「「はい!」」
「……変な事は言うなよ、お婆ちゃん……」
「康介!……お前にお婆ちゃん呼ばわりされる筋合いは無い!」
「…………これだよ……」
結局、みんなで夕飯を高松邸で食べる事になった。高松の母親の料理はかなり好評であった。
鈴木先生は自分の車で帰り、橘は高松が送って行く事になった。
「康介、帰って来るのかい?」
「仕事もあるから、このままアパートに戻るよ」
「康介ちゃん、また相手してね!……橘さん、気を付けてね!」
「ありがとう、愛美ちゃん!」
「……時間が合えばな……それより、しっかり勉強して城北学院に落ちるなよ……そっちのが心配だ……」
「大丈夫だよ~だ!」
高松は母親達に軽く手を上げ、車に乗り込んだ。なかなか忙しかったが、しっかりとリフレッシュ出来た休日となった。
色々やらないといけないですね。




