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最後の恋……  作者: 澤田慶次
62/221

高松、準々決勝を見学する……

城北学院は負けてしまいましたが、栄浦と神奈川商工の試合……

高松も気になる様です。

翌日、高松は栄浦と神奈川商工が対戦する会場に足を運んだ。本日の第2試合、優勝候補同士の激突となり、勝った方がベスト4である。そして、高松の予想ではこれに勝った方が優勝である。

高松が会場を歩いていると、

「「高松!」」

高松が振り返ると、猪狩と後藤が居た。

「2人は仲がいいのか?」

「いや、普通だな!」

「たまたま会ったんだよ!」

「今日、対戦だろ?」

「まあな……リベンジさせて貰うよ……」

「いや、今回も勝たせて貰う……」

2人は握手をする。

「で、俺に何か用なのか?」

「お前はどっちの応援なんだ?」

「どっちが勝つと思ってんだ?」

「俺は高みの見物だ……ただ単に楽しみなんだ……」

「本音で答えろよ……どっちが優勢だと思ってんだ?」

「どう考えてんだ?」

「……分からねぇよ、殆ど互角だろ?……関東大会のビデオ見たけど、インターハイに備えて手の内隠してただろ?……どっちにしたって、やらなきゃ分からねぇよ!」

「そうか……」

「高松から見てもそうか……」

「猪狩、借りは返すぜ!」

「後藤、返り討ちだ!」

「高松、楽しんでいけよ!」

「またな、高松!」

猪狩と後藤は高松から離れていった。

「高松さん、おはようございます!」

「相変わらず早いですね!」

「今日もお願いします!」

「はい、こちらこそお願いします……部員達はどうしました?」

「今日は自由行動です。こっちを2時頃出発の予定です」

「そうですか……では、ゆっくり試合見学をしましょうか?」

高松達は席に着いた。

「康介さ~ん!」

高松は声の方を向くと、橘が走って来る。

「どうしました?橘さん?」

「えへへ、バイトで貯めたお金で来ちゃった!」

「お母さんには……」

「許可は貰いました!……康介さんが一緒ならいいって!」

「……私の信頼は凄い事になってますねぇ……あれ?…そのネックレスは……」

「気付いた?……康介さんに貰った物だよ!」

「「!?」」

「高松さん、橘さんに上げたんですか?」

「私も欲しいんですけどぉ!」

「ダ~メ……康介さんは私だけにくれたの!」

「……そのうち時間があったら見に行きましょうか……」

「はい!」

「よろしくお願いします!」

「ちょっと、康介さ~ん!」

試合前から大分賑やかである。


女子の試合が始まり、栄浦も神奈川商工もアップが激しくなる。

ハーフタイムには両校共に鋭いシュートを打ち、試合準備万端の様である。

「高松さん、どちらか勝ちますかね?」

「難しいですね……何処が勝負の分かれ目になるか……ですね……」

「高松さんの予想は?」

「……出来ないですね……私的には、勝った方が優勝だと思っています」

「事実上の決勝戦ですか……凄い試合になりそうですね!」

「……昨日·今日が山場だと思ってました……残念ですが、来年以降もある……しっかり見ておきましょう」

「康介さん、ずっとコーチやるの?」

「ずっとは無理ですね……まぁ、少しの間ですね……」

話をしているうちに女子の試合が終わり、栄浦と神奈川商工がコートに入って来た。


栄浦と神奈川商工の試合……

先制したのは栄浦、神奈商のロングシートをGK一重がしっかり止め、ワンマン速攻から得点を上げる。

栄浦はこのプレーから流れを掴み、開始から3連続得点を上げる。

これに対し神奈商は、監督の後藤から[ゆっくり1点]との指示が出され、一度自分達のプレーをストップした。これが功を奏した様で、4点目は神奈商が決める。

ここからは互角の戦いが繰り広げられる。

一重がしっかりシュートストップすれば、神奈商のGKもファインセーブをする。栄浦がいいプレーをすれば、神奈商もやり返す。

見応えがある試合である。

前半は互いに譲らず、10-10であった。

「高松さん、こうなると栄浦が有利ですね!」

「一重君の居る栄浦……ここに関東No1GKが居るのは大きいですね!」

「鈴木先生に橘さんはどうですか?」

「私は……微妙だと思います。前半を同点で終わったのは、どちらにとって良かったかですね!」

「私は……よく分かんない…………でも、すんなりとはいかない気がする!」

「どうやら、何かありそうですね……後半、鍵になるプレーがあります。見逃さない様にお願いします」

後半が始まる。

後半も両校は互角の展開を繰り広げる。神奈商のGKも、今までで1番のプレーを見せている。

試合は同点のまま、後半15分を迎えた。

ここで1つのプレーが試合を大きく動かす。高松が言っていた、鍵になるプレーである。

神奈商は、速いボール回しからエースがいつもの試合通りのシュートを放つ。神奈商のエースのシュートであるので、かなり強烈ではあるが、このシュートを一重は止める事が出来ず、ゴールを許した。

この後の展開は、神奈川商工が常に先に点を取り、栄浦が追い付く形になる。

後半29分、栄浦はエースがシュートを放つがポストに当たる。そのボールを神奈川商工のフィールドプレーヤーが取り、すぐに速攻となり、この得点で勝負は付いた。

栄浦も1点返すが、トータルスコア21-20で神奈川商工の勝利となった。

「後半15分……あのプレーが鍵でしたね」

「確かに、あのプレーの後、神奈川商工は何処かチームに余裕が出来ましたね!」

「何でですか?」

「ここが高校生なんです……一重にいつも通りのシュートが通じた……気持ちが楽になった筈です。余計な力が抜けましたからね……あそこを止めるかどうか、勝負の分かれ目でしたね……」

「高松さんなら、あの後どうしました?」

「私ですか……そうですねぇ…………もう一度、エースにシュートを打たせます……そして、何がなんでも止めます……なるべく平気な顔をしてね……さっきのは、自分のミスだとアピールしますね……」

「そうする事の利点は?」

「相手へのプレッシャーですね……改めて力が入る……後半半分過ぎた所で、かなりの精神的ダメージですね」

「成る程……ピンチを逆手に取るんですね!」

「……上手くいかなければ、もっと調子づかせますけどね……」

「高松さん、何で一重君が居るのに、栄浦の有利だと思わなかったんですか?」

「そこが難しい所です。No1と言われている者が居るチームは、確かに脅威ですが、そのNo1に自分達のプレーが通用するというのは、とても大きな自信になります……これが何より恐い……高校生なんて、ちょっとしたきっかけで化けますからね……難しいんですよ……」

「……そう考えると、難しいですね……」

「逆を言えば、勝利のチャンスはあったんです……これからの課題ですね」

「「はい!」」

「さて、帰りますか……鈴木先生、橘さん……先に車に行ってて下さい」

「「分かりました!」」

高松は車の鍵を鈴木先生に渡した。加藤先生と高木先生は、鈴木先生達と外に歩いて行く。高松は猪狩の元に行く。

「猪狩、ちょっといいか?」

「おう!」

高松は猪狩を連れ、後藤の所に行った。

「後藤、少し時間くれ」

「おう!」

高松·猪狩·後藤が顔を揃える。

「やったな、後藤」

「おう、リベンジ成功だ!」

「やられたよ……くそ!」

「猪狩、何であの時、もう一回一重に勝負させなかったんだ?」

「一重はいっぱいいっぱいだったよ……あそこは、全力で逆転を狙うしかなかった……」

「いや、あの時もう一度勝負してたら……やばかったのはうちかもしれないな……」

「……どっちにしたって、結果は出たんだ……せめて、優勝したチームに負けた事にしたいな……どうだ、猪狩」

「城北も神奈川商工に負けたんだっけな……そうだな、優勝しろよ、後藤!」

「当たり前だ!……城北·栄浦と破って、優勝しなかったらおかしいだろ?……絶対優勝してみせるさ!」

「「頼むぞ!」」

「おう、任せとけ!」

3人はハイタッチをして別れた。

本日の試合は、希に見る好ゲームだった。

「猪狩、一重に砂糖みたいに甘甘だなって伝えておいてくれ!」

「おう、分かった!」

高松は猪狩に頼み事をし、橘と鈴木先生が待つ車に向かった。

色々な事があった新潟県出張であった。

なかなか見応えのある準々決勝でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか名勝負でしたね! 神奈川商工には優勝してもらわないとですね!
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