高松、大いに困る……
試合が終わりました。
さてさて……
城北学院が敗れた夜、高松は岡崎·石谷に連絡し、支援先の職員に教えて貰った所で待ち合わせをする。
高松が2人に会うと会社携帯が鳴る。
「はい、高松です」
「高松さん、高木です。今日、頑張ったみんなと夕食を摂ろうと思うんですけど……」
「いいじゃないですか、楽しんで下さい」
「あの~……実はですねぇ……」
「焦れったい、貸して……」
何やら電話の向こうでガチャガチャ音がする。
「高松さん、鈴木です。高松さんも一緒に夕飯参加して下さい!」
「……私は友人達と今会ってまして……」
「だったら、その方達も一緒に参加でお願いします!」
「そんな無茶な……」
「ちょっと聞いてみて下さい!」
「……………………」
高松は1度、電話から耳を離す。
「俺達と食事を合流したいらしい……」
「誰がだ?」
「ハンドボール部の部員と顧問の先生……」
「いいんじゃねぇか、なぁ石谷!」
「構わねぇよ……俺も知り合いを呼びたいしな!」
「……あんまり変な話するなよな……高校生達だからな……」
「任せろ!…俺は常識人だぞ。なんたって、自分の事務所持ってるからな!」
「亮よりはまともだ……安心しろ、高松!」
「……分かったよ……」
高松は再び電話にでる。
「あの~……」
「聞こえてました。大丈夫との事なので、これから向かいます……何処ですか?」
「……この間、ご飯食べた所です」
「分かりました、向かいますね」
電話は切れた。岡崎は店に入り、席が空いているか確認しているらしく、その場には居ない。石谷は携帯で誰かと話している。
岡崎が店から出て来る。
「介っち、席は大丈夫らしいぞ!」
「手際がいいな……今から向かうそうだ……」
石谷が電話を切って話に加わる。
「こっちもこれから向かうってさ……楽しくなりそうだな!」
「誰が来るんだ?」
「ボクサーが4人にトレーナーが1人だ!」
「トレーナーは誰だ?」
「篠原さんて言ってな、今は違うジムに居るんだが……」
「違うジムのトレーナーか……」
「あ!…西田拳闘会のチーフトレーナーだろ?……ホームページで紹介してたな。川上ジムから移ったんだよな?」
「まぁな……甲斐が西田の所に移って、これからお互いに頑張っていくんだが、一緒にインターハイを見に来てたんだ……今年は難しい年だな……」
「一緒のボクサーは誰だ?」
「若手の2人と現役チャンピオン……半分位がトレーナーかもしれない男だ……」
「なかなか面白そうだな!」
「もしかしなくても、池本さんに徳井さんだな……確かに面白そうだな!」
「高松·亮……お前等のそういう所、全然変わってねぇな!」
「バ~カ、必要ねぇ所は変わらねぇよ!」
「楽しそうな事はいいじゃねぇか!」
「……確かにそうだな……俺達も楽しもうぜ!」
3人が話ながら笑っていると、城北学院の面々が到着した。
「高松さん、すいません……」
「加藤先生、みんな頑張ったんですから、楽しくやりましょう」
「そちらがご友人ですか?」
「介っちとは小学校からの付き合いになります、岡崎です」
「高校からの悪友、石谷です」
「城北学院男子ハンドボール部顧問の加藤です」
「同じく、女子ハンドボール部顧問の高木です」
「私は、今回写真係で来てます鈴木といいます!」
「本人達が言ってる通り、この2人は私の友人ですが……ちょっと変な事も言います。気にしないで下さい」
「おい、お前程変な事は言わねえぞ!」
「大体、話し方が気持ち悪い……いつもの話し方しろ!」
「お前等、五月蝿いぞ……全く……」
話をしていると、石谷の知り合い達が来た。
「トレーナー、お待たせしました!」
「おう、こっち来て挨拶しろ……篠原さんもお願いします」
「はい……西田拳闘会でトレーナーやってます、篠原です……改めて、みんな若いね……元気を貰えそうだ」
「川上ジムに所属してます、徳井です」
「同じく佐伯です」
「西田拳闘会の甲斐です」
「川上ジムの池本です」
それぞれが挨拶し、軽く頭を下げる。先生方は改めて自己紹介し、頭を下げた。
「スゲェ、ボクシングの世界チャンピオンだぜ!」
「雰囲気あるな……元4団体統一チャンピオンも居るぜ!」
「あの2人、インターネットで紹介されてたよね?」
「画像より格好いいよね?」
何やら騒がしくなって来た。
「とりあえず、中に入りましょう……席は大丈夫との事ですので……」
高松達はお店に入って行く。
高松達は案内され、席に着く。店の半分位が埋まった。
加藤先生が立ち上がる。
「みんな、よく頑張った……今日は楽しくやろう!」
『はい!』
加藤先生はすぐに高木先生に促す。
「え~、本当によく頑張りました……私の力不足が今回の敗因です……みなさん、ご免なさい」
高木先生は頭を下げた。部員達は押し黙ってしまった。
「……そうですね、後で2人には説教しますか……それでは注文しましょう、何頼んでも大丈夫ですよ……岡崎社長が居ますから!」
「おい、介っち!……いきなり俺に振るなよな!」
「冗談だよ……とりあえず、好きな物なんでも頼みなさい。ご褒美です」
『はい!』
みんなが注文した。勿論、殆どの者が大盛りである。
高松のテーブルには、先生3人と岡崎·石谷·篠原が居る。
池本と徳井は男子部員達に連れて行かれ、佐伯と甲斐は女子部員達に連れて行かれた。
「石谷さん、篠原さん、質問いいですか?」
『どうぞ』
「世界チャンピオンをどうやって作ったんですか?」
「私も知りたいです!」
「……なりたい奴が、徹底的に練習した結果ですね……」
「石谷さん、言葉が少ないですよ……我々は勝つ為の練習を考え、選手はそれを妥協なく行った……池本君と徳井君、特に池本君はいい例じゃないかな……口で言わなくても、選手はトレーナーを信じ、トレーナーは分かると信じる……石谷さんと池本君は理想の関係ですよ」
「石谷、やるな~……しっかりトレーナーやってるな!」
「篠原さん、褒めすぎですよ……亮、話し半分にしとけよ!」
「成る程……だからあの2人は、悪乗りがお前に似てるんだな」
「それは関係ねぇよ、特に池本は下らない事言うのは、元々得意だぞ!」
「成る程……信頼関係か……」
「加藤先生、頑張りましょう!」
「そうですね!」
「私は、岡崎さんと石谷さんに聞きたいです!……高松さんの経歴教えて下さい!」
「自分も知りたいですね!」
「私も、高校出てからを知りたいです!」
「それは介っちに聞いてよ!」
「こいつ、勝手に話すと後が恐いんだ……なぁ、亮!」
「本当に……そういう所、変わってなさそうだもんな!」
「悪いかよ……自分の事は、時期が来たら自分で話すさ……」
「……僕からも高松さんに質問……世界を知ると何か変わるの?」
「「「世界!?」」」
「ちょっと篠原さん!」
「いいじゃない、詳しくは後で教える予定なんでしょ?」
「……あんまり変わらないですね……ただ、自分の甘さや未熟さが痛烈に染み込んで来ます……あの時なんて思う時間もありませんでした……」
「あっちの2人に教えたい所だね!」
「篠原さん、高松を知ってるんですか?」
「知ってるよ……僕は石谷さん達の少し上の世代だからね、高松さんは刺激的だったよ……違うジャンルだったけど、素直に凄いと思いましたね」
「高松さんはそんなに凄いんですか?」
「凄いよ!」
「辞めて下さい……普通です、普通……」
「俺から先生、特に女性2人に質問ですけど……率直に介っちを引き取る気はありませんか?」
「おい、亮!……何言ってんだよ!」
「何だったら、石谷でもいいですよ!」
「馬鹿かお前は!……俺まで巻き込むな!」
「この2人の家を建てたいんだけど、結婚でもしねぇと家を建てそうも無い……どうですか?」
「あっはっはっはっは!……石谷さん、なかなかユニークな親友をお持ちですね!」
「亮、困ってるだろ……全くお前は……」
「空気読めよな!……高松はともかく、俺は今が気に入ってんだ!」
「ああ、そうだ……鈴木先生、帰り少し遅くなってもいいですか?」
「いいですけど、どうしましたか?」
「明日、栄浦と神奈商の試合を見ようと思って……」
「いいですよ、付き合います!」
「加藤先生、みんなで見ていきましょう!」
「そうですね!」
「え~、別に高松さんと2人でいいのに~!」
「お?……介っちの事で揉め事か?」
「高松、やるな~!」
「辞めてくれ、からかわれてるだけだ……」
「「分かってるよ!」」
「高松さんも大変だね……」
こんな感じで夜は過ぎて行った。なかなか楽しい夜であった。
お開きとなり、高松は会計を済ませる。
「お会計、59860円になります!」
高松から冷や汗が出たのは言うまでもない。
高松の講師は続きます。
まだまだ色々とこれからですね。




