表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後の恋……  作者: 澤田慶次
50/221

世界を知る者達……

高松と橘のお出掛けはまだ続いています。

高松と橘は大学を出て、近くの定食屋に入って昼食を摂った。高松が大学時代によく通った店である。

定食屋のご主人は息子に代替わりしていたが、味は変わらず美味しかった。

高松と橘は話ながら歩いていた。

高松は不意に人にぶつかった。

「おっと、申し訳ない」

「痛い、痛い痛い痛い痛い!」

「これは骨が折れてんじゃないか?」

「慰謝料貰わないとな!」

見るからにチンピラである。チンピラ3人に絡まれた。

「兄ちゃん、慰謝料よこせや!」

「10で許してやる!」

「10でいいんですか?……では、これで」

高松は財布から10円玉を出して渡そうとした。

「舐めてんのか!」

「あれ?……肩が折れてるんですよね?」

「うるせぇ、10万で許してやるって言ってんだよ!」

「それとも何か?……そっちのお嬢さんで許してやろうか?」

「……どっちもお断りですねぇ……無かった事にしましょうか?」

「訳分かんねぇ事言ってんじゃねぇよ!」

「痛い目見せてやろうか?」

「ほう……痛い目ってのは、どんな感じなんだ?」

チンピラ2人の肩を組んで、1人の男が間から顔を出した。

「俺も知りたいなぁ……教えてよ!」

もう1人の肩を後ろから押さえて、もう1つ顔が出て来た。

「これはこれは、池本さんに徳井さん」

「ご無沙汰してます、高松さん!」

「俺達も参加していいですよね!」

「別に構いませんけど……彼等は痛い目に合う気は無いと思いますよ」

「そんな事無いでしょう、痛い目に合わせるという事は痛い目に合う可能性がある……常識でしょう?」

「そうですよ、こんな当たり前は誰でも分かりますよ!」

「そうだよな、徳井……ギブアンドテイクだよな!」

「ちょっと違うかもしれないですけど、そうですよね、池本さん!」

「……その悪乗りは石谷そっくりですねぇ……さて、3人共、どうしますか?……私1人でも痛い目を見る可能性が高いのに、100%痛い目に合いますねぇ……世の中に絶対という言葉は無いと思ってましたが、これは絶対ですね……」

「「「……………………」」」

3人の顔が青ざめている。

「謝るなら今のうちですよ……今なら間に合います」

「ちょっと高松さん、もう遅いんじゃないですか?」

「手遅れですよ!」

「いいえ、まだ大丈夫ですよ……力での解決は最後の手段です……さて、どうしますか?」

「きょ、今日の所は……」

「悪いのはそっちだよな?」

「答え方次第で、高松さんに関係なく対応するけど?」

「!?……俺達が悪かった!」

「もうしません!」

「ごめんなさい!」

3人は走って逃げて行った。

「ありがとうございます、池本さんに徳井さん」

「いえいえ、それよりそっちのお嬢さんは大丈夫ですか?」

「はい……大丈夫です、ありがとうございます……」

橘はお礼を言いながら高松の右腕を掴んで、少し後ろに隠れた。

「大丈夫ですよ、橘さん……この2人は私の知り合いで、私の親友の教え子の様な物です」

「しょうがないですよ高松さん、徳井は無法者に見えますからね!」

「いやいやいや、池本さんの方が絶対に怖く見えますよ!」

「そんな事はない!……俺は優しさが滲み出てるだろ!」

「絶対怖いですって!」

「……2人共怖いですよ……普通はあんな絡み方しないですからね」

「大丈夫です、康介さんが居れば怖くないです!」

「何だかんだで高松さんだよね!」

「まぁ、そうでしょうね!」

「……何か勘違いしてませんか?」

「多分、勘違いはしてないよな!」

「そうですね、そこは池本さんの言う通りだと思います!」

「さて、我々はこれで失礼します」

「たまには石谷チーフに連絡して下さいね!」

「それは約束します。ありがとうございました」

「ありがとうございました……」

橘は高松の後ろから顔を出し、お礼を言った。

池本と徳井は軽く手を上げて去って行った。


高松と橘は近くのデパートに歩いて行く。

「康介さん、あの2人を知ってるみたいだったけど……」

「さっきも言ったけど、私の親友の教え子ですよ」

「どんな2人なの?」

「ああ、そうですよね……あの2人はボクシングの世界チャンピオンですよ……世界ミドル級4団体チャンピオンの池本純也さんに、WBC世界ライト級チャンピオンの徳井清隆さん……凄い2人です」

「凄い……そんな2人と知り合いなんですか?」

「はっはっは、親友が優秀なんですよ……私の手柄では無いですよ」

2人はデパートに入って行く。

橘はネックレスを見ながら高松に話し掛けている。

「なんか、さっきの人達と康介さん……同じ様な匂いがする」

「??……臭いますか?」

「そうじゃなくて……上手く言えないんだけど……何だか他の人とは違う様な……」

「確かにあの2人は違いますね、世界一ですからね……でも、私は普通ですよ」

「そうかなぁ……康介さんは他の人とは違うよ!」

「……どう違いますか?」

「う~ん……見てる位置というか、見方というか……」

「……多分、気のせいですよ」

「違うと思う……例えばなんだけど、ナスカの地上絵があるでしょう?」

「はい、ありますね」

「昔は空を飛べなかったから、何か分からなかったんだけど……飛行機とか出来たら分かったでしょう?」

「確かにそうですね」

「私達や周りの大人は、目の前の事にどんどん近付くけど、康介さんは距離を取ってしっかりと把握してる感じ……みんなより先に行ってる感じかな……」

「なかなか難しいですね……まぁ、いつかは分かる時が来ますかね」

「その時は、ハンドボールの事も踏まえて教えてね!」

「……そうですね、その時が来ましたら教えますよ」

「えへへ、ありがとう!」

「それより、そのネックレス気に入ったんですか?」

「そうなんだけど……5000円は高いかな……」

「そうですか、それでは」

高松は橘が見ていたイルカのネックレスを購入し、橘に渡した。

「え?……こんなに高いの悪いよ……」

「はっはっは、テストの成績が良かった事とお礼です」

「??……お礼って何?」

「それも、追々分かりますよ」

「教えてよ、康介さん!」

「後でね……」

「意地悪!」

「はい、確かに私は意地悪ですよ」

高松は橘にネックレスを渡し、2人で帰って行った。

高松はもう一度挑戦しようと思わせてくれた橘に、本当に感謝しているのだった。

この時の橘の発言だが、あながち間違いではない。

高松康介は、ハンドボールなら確かに世界レベルを知っている。

しかし、それはもっと後の話である。


その日の夜……

高松の個人携帯が鳴る。

「おい、高松!」

「何だよ石谷~!」

「何だじゃねぇよ、こっち来たなら顔出せ!」

「連れが居たんだよ!」

「連れと来ればいいだろう!」

「いや、池本さんと徳井さんを怖がっちゃって……」

「確かに怖いかもな……しかし、それとこれは別だ、今度飯奢れ!」

「分かったよ、相変わらず強引だなぁ」

結局、高松はご飯を奢らされる事になった。

こちらの関係も、何やらありそうである。

高松、何となくですが、変わって来た感じがします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 池本さんと徳井さんが助けに! 高松さん、運が良いですね! さすが世界を知る者達ですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ