橘と勉強と高木先生と鈴木先生……
土曜日、高松は学校へ……
土曜日、高松はハンドボール部の練習に来ていた。
午前中に男子部と一緒に練習し、午後は女子部のコーチである。
更に、本日は橘との勉強会初日であり、場所は城北学院になった。
職員室に入っていく高松、
「おはようございます」
「「「おはようございます!」」」
「鈴木先生、どうされたんですか?」
「やる事がありまして……ゆっくり仕事します!」
「そうですか、ご苦労様です」
「高松さん、練習見てもいいですか?」
「それは、加藤先生と高木先生に確認して下さい」
「お二人共、いいですよね?」
「別に構いませんよ、ねぇ、高木先生?」
「別にいいですけど、仕事があるんでしょう?」
「ですので、午前中だけです。大丈夫ですよね?」
「まぁ、構いませんけど……」
「では、お邪魔させて頂きます!」
高松は着替えて来ると体育館に移動した。
加藤先生と高木先生、鈴木先生も一緒に体育館に移動した。
ハンドボール部男子の練習は、高松も参加している。来週には関東大会があり、再来週にはインターハイ予選と立て続けに大きい大会があり、更には、場合によっては高校最後の大会になる為、練習も厳しくなっているが、部員の集中力も凄い。
ここで高松効果がある。
高松が練習に参加し、フットワーク等の地味で辛い練習を表情1つ変えず、淡々とこなす為に部員は手を抜く事が出来ない。
そして、高松は休憩の時にもダッシュやサーキットトレーニング等を黙々と行っている為、男子部員はそれに発奮され、休憩の時間はどんどん少なくなっていき、かなりハードな練習になっていた。
午前中の練習が終わり、高松達は職員室に戻る。
それぞれが昼食を食べているが、高松はコンビニのお握りを食べながらパソコンで何やら調べている。
「高松さん、何調べてるんですか?」
「いや、ちょっと……」
「何見てるんですか?」
高木先生と鈴木先生が覗き込む。
高松のパソコンの画面には、賃貸情報が映し出されている。
「高松さん、引っ越するんですか?」
「アパートの更新がそろそろですからね」
「この近くに来たらどうですか?」
「仕事場に遠いですね」
「高松さん、転勤とかは無いんですか?」
加藤先生が話に入って来た。高木先生と鈴木先生はその言葉にびっくりしている。
「ありますよ、私はサラリーマンですからね」
「何時頃にあるんですか?」
「私の会社は、毎月ありますよ……ついこの間、打診もありましたし……」
「え?高松さん転勤しちゃうんですか?」
「知り合ったばかりじゃないですか?」
「高木先生に鈴木先生、落ち着いて下さい。転勤するなら、今アパートを探さないでしょう?……いつかはあるでしょうが、今は断りました。それより今は、新しいアパートを探さないとです」
「私のマンションに来るのはどうですか?出来れば、その後で親に挨拶でも……」
「鈴木先生、からかうのは余りよくないですよ」
「そうですよ、鈴木先生!高松さんは、まずはうちの両親に!」
「高木先生も話が見えませんよ……私はアパートを探してるんですが?」
「それなら、自分の知り合いの不動産に聞いてみますか?……確か、いい物件があるって言ってたな……」
「本当ですか、加藤先生……是非、よろしくお願いします!」
「ははは、高松さんのテンションが上がる所を初めて見ました。確認してみます」
加藤先生は知り合いの不動産に電話し、確認している。
「空いてるみたいです。場所は駅の近くです。住所の移動とかがありますけど……」
「いやいや、丁度良かったです。駅の近くなら、尚更です」
「それでは、予約しておきますので、後で物件の確認して下さいね!」
「はい、ありがとうございます」
加藤先生は電話で予約し、高松に不動産の名刺を渡した。
午後の女子部の練習、高松はアドバイスをしながら、しっかりとコーチとしての役割を果たしていた。
鈴木先生は午後はやり残した仕事をしているらしい。
高松からの的確な指摘と、やはり3年生の最後になるかもしれない大会が近い事もあり、部員の集中力が凄い。
かなり充実した練習を行う女子部、雰囲気もかなりいい感じである。
練習終了後、高松は呼び止められた。
「松ちゃん、ありがとうね!」
「急にどうしました?本田さん?」
「お母さんの就職の事!……毎日楽しそうなの!」
「そうですか……まぁ、それなら良かったですね」
「うん、それでね……改めてお礼がしたいって!」
「それは遠慮します。私は特に何もしてないですので……無理せず頑張る様に話して下さい」
高松は本田にそう話すと職員室に戻った。
高松は着替えて3組に向かう。教室には橘が居た。
「さて、始めますか」
「はい、お願いします!」
「まずは数学ですが、何処が分からないですか?」
「この数列とか、順列とか……」
「テストのメインですねぇ……」
高松は少し悩んだ後、ポイントを説明し出した。
どういった仕組みなのか、どう理解するか等を詳しく説明し、問題をやらせてみた。
橘はその問題を難なく解いてしまった。
「出来てるじゃないですか」
「いや、康介さんの説明が分かり易かったから!」
「後は、単純な計算問題を落とさない事ですね」
「コツは無いの?」
「無いですね……家でたくさん解いて下さい」
「え〜!」
「返事は?」
「は〜い!」
「少し休憩しましょう」
「やった〜!」
高松は一旦教室から出て、職員室の冷蔵庫からジュースを取ってきた。マスカットティーである。
「もしよろしければどうぞ」
「ありがとう、康介さん!……私、マスカットティー大好き!」
「奇遇ですね、私も好きですよ」
「食べ物も合うかも!……康介さんは何が好き?私は明太子パスタ!」
「パスタですか……私はあまり得意ではありませんね……私はご飯第1主義ですからね」
「あら、ご飯は私も大好きですよ!」
「私もご飯が好きです。気が合いますね、高松さん!」
何故か高木先生と鈴木先生が教室に入って来た。
「高松さんがどんな教え方するか、見せて下さいね!」
「私も拝見します!」
「2人共邪魔〜!」
「まあまあ、いいじゃありませんか……では、化学にいきますか」
2人の先生が居る中、高松は橘に化学を教えていくが、どうやら橘は言葉の理解が出来ていないらしい。
「橘さん、ノートは持って来ましたか?」
「はい!」
「では、そのノートに縦に線を2本引き、教科書の太線を書き写して、隣に意味、その隣に使い方の例を書いて下さい」
「分かりました!」
橘は素直にやり始めた。
大分進んだ所で高松は橘に問題を出すが、意外に橘はその問題を解いていた。
「自分なりに整理すれば大丈夫ですね」
「ありがとう、康介さん!」
「後は、家でもコツコツです」
「はい!」
「私の授業より分かり易い……」
「これなら、誰にでも出来るかも……」
2人の先生は衝撃を受けている。
「康介さん、私を送って行ってよ!」
「駅までならいいですよ」
「やった〜!」
「高松さん、私もお願い出来ますか?」
「鈴木先生は車通勤では?」
「調子が悪くて、修理に出してるんです……」
「いいですよ、マンションは近いんですか?」
「はい、駅からは離れてますけど、そんなに遠くないです!」
「どっち方面ですか?」
「ここからだと、北の方ですかね……」
「橘さんの後になりますが、それでも大丈夫ですか?」
「はい、構いません!」
「ちょっと康介さん、康介さんも電車でしょう?」
「本日は実家に行く予定なんです。ですので、先に駅に行かないと合理的では無いんですよ」
「高松さん、もしかして、夕食はあの定食屋さんですか?」
「その予定ですが?」
「私も行きたいです!」
「私もご一緒したいです!」
「私も行きた〜い!」
「別にいいですけど……橘さんはお母さんに許可を取って下さいね、それから……マスターの話には、悪のりしないで下さい」
「「「分かりました!」」」
全員で高松行き付けの定食屋に行く事になった。
何やら楽しげな事が起こりそうである。
何やら楽しそうな事が起こりそう……




