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最後の恋……  作者: 澤田慶次
33/221

6月は大忙し……

高松が忙しくなってきました。

大丈夫かな?

6月に入り、高松は忙しくなる。

まず、本田が高松の勤める会社に入社し、6月1日の午前中に東京にある本社で入社式を行い、午後より店舗に出社する。

高松はサービス付き高齢者向け住宅の中を案内し、簡単な仕事の説明、会社の仕組みや介護保険についての勉強等を高松が担当で研修を進める。

翌日より、空いた時間で高松の会社独自のシステムの使い方や仕組みを説明していく。

本田はなかなか飲み込みが早く、すぐに戦力になりそうである。

高松の会社のボーナスは7月20日に支給の為、6月中に課員の評価を高松がしなくてはならない。

これがかなり面倒であり大変なのだが、お金に関わる事である為、高松は手を抜く訳にはいかない。

因みにだが、高松の評価は支社長が行い、今の高松の支社長である福島(ふくしま)松彦(まつひこ)になってからはそんな事は無いが、以前の支社長、後藤(ごとう)(かなめ)の時は高松の評価を忘れられており、責任者でありながら、ボーナスが手取り5万円に満たないという事があった。

勿論高松は、これを労務課に抗議し、然るべく調査をし直し、後々に高松にそれなりの支給をしたが、後藤の処罰は無しになり、何とも後味が悪い物になっていた。だからこそ、高松はしっかりと評価をしないといけないと思っていた。


城北学院では、ハンドボール部の関東大会とインターハイ予選がある為、こちらも大変なのだが、6月終わりには期末テストがあり、高松は福祉のテストを作らないといけない。

更には、採点と評価もあり、こちらも厄介である。

高松は校長先生からの依頼もあり、先生方にもテストを受けさせる様である。問題を作るのも、責任重大になってきた。

だからといって、高木先生も加藤先生も部活の手伝いをしなくていいと言う訳が無い。

高松は6月の事を考えただけでぞっとしていた。


高松は仕事を20時前には上がり、スポーツジムに行ってから帰宅した。

アパートに帰ってゆっくりしている高松の会社携帯が鳴る。

「はい、高松でございます」

「もしもし、康介さん?」

「高松康介でしたら、私かと思います」

「冗談はいいから……助けて、お願い!」

「……何かありましたか?」

「勉強が分からないの!」

「それは自分の問題でしょう?」

「確かに勉強を頑張るとは言ったけど、どう頑張るかは言ってないよ〜!」

「……それで、私も橘さんの頑張りに付き合わされる訳ですか……」

「お願い康介さ〜ん、一生のお願い!」

「………大袈裟ですねぇ……一生は言い過ぎです。空いてる時間で良ければ付き合いますよ……」

「ありがとう、康介さん!」

「……とりあえず、自分1人でも頑張ってみて下さいね……」

「分かりました……水曜日に勉強する日を決めようね!」

「分かりました……で、苦手は何ですか?」

「数学と理科……1年は化学だけど……理系は苦手!」

「成る程……それなら役に立ちそうですね……新しいノートを用意しておいて下さい」

「??…よく分からないけど分かりました!」

「不安な返事ですね……」

高松は橘に勉強を教える事になった様だ。


6月第1水曜日、高松は講師の為に城北学院に出勤した。

高松はいつも通りに授業の用意をし、コンビニで買ったホットコーヒーのブラックを飲みながら、パソコンで事業所の仕事をしていた。

「高松さん!」

「何ですか、鈴木先生?」

「球技大会の約束、覚えてます?」

「約束ですか?」

「ほら…みんなで料理を……」

「ああ、あれですか……きっとクラスで盛り上がりますよ」

「いや、そうじゃなくて……」

「朝から仲がいいですね!」

「高木先生、おはようございます」

「仲がいいなんて……困ります……」

「僕も居ますけど?」

「山田先生もおはようございます」

「僕はついでですか?」

「それより高松さん、何の話をしてたんですか?」

「ああ、球技大会で優勝したから、鈴木先生と女子達で何かお祝いの料理を作ってくれるらしいんです」

「球技大会の時に約束しましたからね!」

「それで、高松さんも参加ですか?」

「私はしませんよ、やる事たくさんありますからね」

「え?……高松さんは来ないんですか?」

「はい、私は当日にちょこっとだけ居ただけですからね」

「そうですね、高松さんはやる事ありますもんね!」

「はい……ハンドボールの事にテストもありますし、自分の本職もありますからね」

「え〜!……高松さんも来ると思って、材料たくさん買ったのに〜!」

「大丈夫ですよ、私の代わりに山田先生が参加して、たくさん食べてくれますよ」

「高松さんの頼みなら、しょうがないですね〜!」

「別に嫌なら来なくていいんですよ!」

「うっ………」

「まあまあ、山田先生のクラスが負けてくれたから今がある訳だし……」

「そうですね、高松さんの言う通り、鈴木先生のクラス会には、高松さんの代理で山田先生が参加、高松さんは私と加藤先生とハンドボールの関東大会やインターハイ予選の打ち合わせ等をしましょう!」

「それが良さそうです」

「え〜、納得出来な〜い!」

鈴木先生の不満顔に対し、山田先生はかなり満足そうな顔をしている。

高木先生の顔は、[してやったり]といった感じである。


授業も滞りなく終わり、高松は昼休みを取っている。

相変わらずパソコンをしながら、コンビニで買って来たパンを食べている高松、そこに橘が入って来た。

「康介さん、いつが暇?」

「基本は土曜日の夕方ですね」

「じゃあ、そこは決定として……後は時間が合う時もお願いね!」

「分かりました」

「橘さん、高松さんと何の話をしてるんですか?」

「高木先生には関係無いでしょ!」

「私には教えてくれますよね?」

「鈴木先生はもっと関係無い!」

「大した事では無いでしょう……勉強を教えるだけです」

「そう、康介さんのアパートで2人っきりで教えて貰うの!」

「「!?」」

「それは担任として認めません!」

「橘さん、高松さんに迷惑掛けちゃダメですよ!」

「……どうもおかしな話になってますね……勉強は教えますが、私のアパートでは無いですし、特に迷惑ではありませんよ……とりあえず、何処かのファミレス辺りですかね……」

「しょうがない、それで我慢する!」

「高松さん、橘さんに甘くないですか?」

「橘さんと山田先生に甘すぎます!」

「僕は関係無いでしょう?…みんなは僕に冷た過ぎます……」

「まあまあ、本人が勉強をしようとしてますからね」

「そういう事〜!」

「「ムッ………」」

高木先生と鈴木先生の納得のいかない顔と橘の勝ち誇った表情に混じり、寂しそうな山田先生の顔があった。


高松は午後の授業が終わると、部活に向かった。

本日も男子に混じって体を動かしている。

練習が終わると、梶山が高松に話し掛ける。

「高松ちゃん、接戦の時に使える事ない?」

「接戦の時ですか……まあ、奇策ですけど、ない事もないですね…」

「教えてよ!」

「私はそこまで凄い選手では無かったので、責任は持ちませんし上手くいく保証もしないですよ……」

「それでもいいから!」

「では……点差が1点あるいは同点の時ですが、こちらが攻めていて、シュートを止められたとします……相手GKの手元にボールがありますが、梶山君ならどうしますか?」

「勿論、ワンマン速攻で1点!」

「そうですね……なので、ここで思い切って飛び出して、そのボールをインターセプトです」

「成る程!」

「出来ればですが、走り出したサイドが戻る前に攻め切れれば、1人少ない状態で攻められます。チャンスですね」

「そうか、成る程ね!」

「ただし、チャンスは1回ですよ……そうしないと、GKから直接ゴールを決められますからね」

「それもあるのか〜、分かりました!」

「後は、エースをフリーにすれば、多少無理な状況でも勝負してくるくらいですかね……」

「それは何か意味あるの?」

「そうですねぇ……必ず止める事が前提ですがね…」

「はい!」

「わざとエースに勝負させて、狙って速攻をする……まぁ、最後の手段ですね………」

「でも、エースでしょう?……必ず止めるのは難しいんじゃないの?」

「競り合った試合ですよ……かなりの確率で得意なコースにシュートが来ます。しかも、エースなら確実に勝負してきます……成功するかどうかは、梶山君次第ですがね……」

「分かったよ、高松ちゃん!…その時は何か合図出してよ!」

「それくらい自分で決めて下さい」

「え〜、インターハイでは頑張るから、予選の時はお願いしますよ〜!」

「考えておきますよ」

高松は自主練までが終わると職員室に戻り、着替えてすぐに帰ってしまった。

勿論、本日もスポーツジムにて体を鍛えてからアパートに戻っている。

大変だけど、何やら考えがあるみたいです。

何を考えているなら…。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 高松さん、ハンドボールで現役選手を目指しそうですね! どうなることか、楽しみですね!
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