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最後の恋……  作者: 澤田慶次
31/221

球技大会は続いている……

さて、球技大会は?

高松は橘とグラウンドに出た。

次の試合は5組と3組の試合であるが、橘は5組の応援席に居た。

「たーちーばーなー、俺達の応援しろよ〜!」

3組の男子達から大声を出されるが、橘は素知らぬ顔をしている。

「橘さん、みんなああ言ってるんだから……」

「いやいや、高木先生のがおかしいでしょ!」

「私は、高松さんが応援されないと可哀想なので……部活も頼んでるし、仕方ないですね!」

「私が変わりに応援しますから、先生はどうぞ、3組へ!」

「橘さんこそ3組にどうぞ!」

「2人共、3組にお戻り下さい!」

「「鈴木先生!」」

「高松さんが困ってますよ!」

高木先生と橘はグラウンドの高松を見た。高松は頭を右手で掻きながら、少し呆れた顔をしている。

高松の表情を確認すると2人は少し俯きながら、3組の応援席に移動した。


試合はなかなか面白い展開になっていた。

3組の方が押しているが、高松がシュートを決めさせない。高松を中心に5組はなんとか守り、カウンターで反撃するが、これがなかなか決まらず、無得点のまま前半が終了した。

ハーフタイム中にもう一つの準決勝、4組対6組の前半が始まる。

この試合も白熱しているが、こちらは前半からシュートが入り、2-3で4組リードで後半を迎えた。


3組対5組の後半、相変わらず3組は優勢に試合を進め、どんどんシュートを打っていく。

高松はこれを止めるが、ここで高松自身が言っていた問題が露呈した。

ハンドボールはGKがゴールエリアで触って後方にボールが飛んだ場合GKボールで試合再開するが、サッカーはコーナーキックとなり攻撃しているチームのチャンスが続く。

高松はボールをゴールに決めさせないが、ピンチを摘み取るまではなかなかいかなかった。

それでもゴールを守る高松、残り3分を切ってもスコアは0-0だった。

誰もがPK戦を考えていたが、3組はここでファウルをする。カウンターを仕掛けた5組のフォワードの足を引っ掛けてしまったのだ。

残り時間を考えると、これが最後のチャンスである。

誰が打つかをフォワード陣が話していると、

「高さんがいいんじゃねぇの?」

この一言でキッカーが決まった。

「………外してもしりませんよ……」

との事で高松のフリーキックになったが、これが意外に凄い事になる。

壁の横からカーブを掛けて、綺麗にゴールに吸い込まれていく。

ハンドボールのGKは、シュートを足を使って止める事があり足でボールを使う練習をする為、当然と言えば当然である。

芸術的なゴールで5組が1-0で勝利となった。

4組対6組の後半、4組は後半もかなりの攻撃を仕掛け得点を挙げていく。

6組も反撃するが、結果5-3で4組の勝利となり、決勝は4組対5組となった。


他の球技大会もほぼ終わり、1年のサッカーと共通種目の男女バレーの決勝を残すのみとなった。

共通種目では、それぞれ決勝に残ったクラスが応援に来ていたが、1年のサッカーは残ったクラス以外からも見学が来ている。高松のGKが凄いとの噂が広まったらしい。

4組の山田先生がチームに激を飛ばしている。

「いいか、絶対に勝つぞ……高松さん諸共撃破だ!」

『はい!』

一方、5組では、

「勝ったら私達女性陣で、手料理をご馳走します!」

「本当!……鈴木先生達の手料理ゲットするぜ!」

「楽しみだな………やる気出て来た!」

「大丈夫、うちには高松ちゃんが居るから!」

「頼むぜ介さん!」

「印籠でも懐から出しますか?」

「お?…松ちゃんギャグも調子いいじゃないか?」

「この辺の返し方に余裕を感じるね!」

「頼もしいわ〜!」

「……困りましたねぇ……私は疲れましたよ………」

「そう言うなよ松ちゃん!……絶対勝とうぜ!」

「そうだよ、優勝だ!」

「やるぞ〜!」

『おう!』

(出来たらベンチに引っ込みたい……)

高松以外が盛り上がっていた。


決勝が始まる。

前半、予想通り4組はガンガン攻めて来る。

2組と4組はサッカー経験者が多く、5組も居るが5組は3人、4組は全員が経験者であった。

さっきの準決勝同様、5組は守りに重点を置き、カウンターを狙う作戦の様だ。

前半は4組の攻撃を何とか凌いでいる5組という構図であったが、前半終了間際、カウンターが上手く決まり1-0で5組のリードとなった。

ハーフタイムとなり、一旦ベンチに下がる5組、

「もう少しだ、頑張ろうぜ!」

声を掛けて来たのは、佐藤(さとう)(たける)である。元々は佐藤がGKの予定であったが、高松と変わって控えに回った。

「佐藤君……」

「何、高さん?」

「後半、お願い出来ますか?」

『何言ってんだよ!』

「皆さん、私の膝はこれ以上は無理です。佐藤君に変わった方が優勝の可能性はあります……出来ますね、佐藤君……」

「高さん……分かったよ、任せてくれ!」

高松は佐藤とGKをチェンジした。

後半が始まると、高松は1人職員室に戻って行った。

試合が白熱していた事と、結構な人数が見学していた為、高松は上手く紛れ込みながら目立たない様に移動した。


職員室に戻り、高松は着替えた。その際に右膝のサポーターとその下にガッチリと固定したテーピングを外し、着替えが終わると氷を入れた小さなアイシングを右膝にテーピングで固め、スボンを降ろす。

「この程度で………」

高松は呟き、途中で呟きを止めた。

「康介さん、どうしたの?」

高松が振り返ると橘が居た。

「怪我でもしたの?」

「いや……年のせいですかね……疲れました」

「本当にそれだけ?」

「他に何かありますか?」

「ならいいんだけど……」

「……心配症ですねぇ……私は橘さんのテスト結果の方が気になります」

「何よそれ〜……そういえば、あの時アリスって言ってくれたよね?」

「お母さんと分ける為です……しょうがないでしょう、まさか富江さんと呼ぶ訳にもいかないし……」

「いいんだよ、いつでもアリスって呼んで!」

「はいはい、検討しておきます……」

「本当?」

「ええ、検討はしますよ……答えは出しませんけど……」

「ぶー、また意地悪!」

「はいはい、意地悪意地悪…」

高松はグラウンドに向かった。

「待ってよ〜!」

橘は高松の後を追いかけて行った。


球技大会の結果は、後半から出場した佐藤の頑張りで4組の攻撃を防ぎ切り、5組が見事に優勝した。

簡単な表彰式が開かれ、校長先生からそれぞれの優勝クラスに賞状が渡される。

賞状を持ちながらクラスに帰って行く5組に引っ張られる様に、高松も5組に連れて行かれた。

「5組、サッカー優勝おめでとう!」

『イエ〜!』

5組が盛り上がる。

「それでは、助っ人高松さんから一言!」

みんなが高松を見る。

「……困りましたねぇ……頑張った結果です、おめでとうございます……来年は、私も応援でお願いします……」

『あっはっはっはっは!』

高松の何とも言えない話に5組は大笑いだった。

その笑い声を聞き、

「くそ、高松め……必ず鈴木先生を取り返してやる………」

1人呟く山田先生の姿があった。

高松、1日ご苦労様!

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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか大変な1日でしたね! 高松さんの膝、何か過去がありそうですね。 何か悪いことでなければよいですが。。
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