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最後の恋……  作者: 澤田慶次
28/221

5月は球技大会!

5月になり、更に忙しくなりそうな高松……

大変ですね。

高松も授業に大分慣れ、それなりの生活をしていた。

講師の日と土日に休みが取れた時は、男女のハンドボールの練習も見る様になった。

本田の仕事については、本社に確認し正社員として採用が決まった。

6月1日から勤務開始となり、6月1日の午前中は、本社にて中途採用の入社式をやる事になっている。

そんな色々あった4月が終わり、5月になり第2水曜日、高松はいつも通りに講師として城北学院に出勤し、授業をやり職員室で昼休みを取っていた。

「失礼します、康介さん!」

橘もいつも通りに昼休みに高松の所に来る。

橘は高松がいくら誘っても学食に行かない為、高松が講師の日は職員室で昼を食べている。

以前、高松の昼を誰が作るかで揉めていたが、高松の会社携帯にみんなが、[明日を楽しみにして下さい]とショートメールを送って来た為、全員に[お昼を作ってきたら、講師は降ります]と半ば脅迫じみたメールを返信し、この問題はひと段落していた。

山田先生だけは、なぜか納得いかない顔をしている。どうせ、高松が食べきれないと思っており、鈴木先生のお弁当を食べようとしていたのであろう。

高木先生は購買でパンを買っており、鈴木先生は自分で作ったお弁当、橘も自分で作ったお弁当であり、高松の近くで食べている。なぜか山田先生も高松の近くで一緒に食べていた。

「康介さんは、球技大会どうするんですか?」

「球技大会ですか?」

「そうですよ、高松さん!…我々も出場するんです、クラスの一員として!…高松さんもどうですか?」

「私は運動が苦手なので、高松さんの応援をします!」

「僕も頑張ろうかな?」

「「「ご勝手に!」」」

「そんなぁ……」

「私は本業がありますから……」

「今年は第4水曜日ですよ!」

「参加出来るね、康介さん!」

「楽しみですね!」

「成る程……では、私はお休みでも大丈夫ですね……」

「「「絶対ダメ!」」」

「私の代わりに山田先生が頑張ってくれますよ……ね、山田先生…」

「それはもう、頑張りますよ!」

「「「ご勝手に!」」」

「はぅ……」

「康介さん、3組に入ってよ!」

「橘さん、たまにはいい事言いますね!」

「高松さんは5組がいいと思いますが?」

「そうですねぇ……4組にでもしますかねぇ……」

「「「!?」」」

「それはダメでしょう!」

「4組なんかじゃ面白くないよ、康介さん!」

「私も応援が半減してしまいます……」

「僕は構わないよ!」

「「「黙ってて下さい!」」」

「はい……すいません……」

「山田先生が可愛そうですよ……まぁ、当日どこに入るかは先生方に任せます……とりあえずは来ますよ」

「「「やった〜!」」」

楽しそうな職員室であるが、山田先生だけは納得がいかない顔をしていた。


午後の授業が終わり、高松は職員室に戻り着替えをして来るが、いつもなら戻る1年の担任の先生方がなかなか戻って来ない。

高松は不思議に思ったが、ハンドボール部の練習の時間もある為、加藤先生と高木先生を待つ事無く体育館に向かった。

高松は先に男子部に向かったが、3名しか居ない。話を聞くと、球技大会のチーム分けをしているとの事で女子部もまだ集まっていないのではないかとの事だった。

高松は3名の男子部を連れて女子部に向かう。女子部員は4名居た。

高松は自分も入れて8名にし、アップも兼ねて一緒に体を動かした。

ボールを使った鬼ごっこ等を行い体を温めると、軽くシュート練習をし、ペナルティスローの練習をする。GKは勿論高松である。

ペナルティスローを何本かやり、ペナルティスローの時のGKの心理や駆け引き等を教えていると、残りの部員がやって来た。

高松は男子部3名を連れ、下のフロアに向かった。


男子の練習に高松は参加した。

一緒に走り、フットワークやキャッチボール等のアップからシュート練習・速攻等も行い、GK練習まで参加した。

余りにも練習に没頭し、女子部の方へ行くのを忘れてしまっていたが、練習終了後に女子部が男子部の所に練習やプレーを聞きに来ていた為、結局高松は残る事になり、居残り練習に付き合う形となった。

今日の練習は、加藤先生・高木先生は参加していなかったが、高松は余り気に留めずに練習していた。

「高松ちゃん、GKのコツ教えてよ!」

話を聞きに来たのは、男子部のGK・梶山(かじやま)靖幸(やすゆき)であった。

「コツですか……」

「うん、どうにかもっとシュートを止めたいんだ!」

「シュートを止めたい……うーん……」

「何か無いかな?……大きい大会であればある程、俺のプレーは重要になると思って!」

「……簡単ではないですが、試合中にシュートを止めながら癖を考えておくといいですね」

「癖?」

「癖というより、何処にシュートを多く打つかと言った方がいいですかねぇ……そうすると、ペナルティスローの時に読みやすいですね……うちのキャプテン、大橋君がペナルティスローは8割がた、私から見て右下(右利きの引っ掛け下、左利きは流し下)にシュートを打つというのが分かる様にね」

「何で分かるんですか?」

「大橋君は右利きですから、引っ掛け下ですね……練習中のシュートや試合でも打つ機会が多いですよ……特に競った試合の時なら尚更ですかね」

「成る程……そんな事まで考えながらプレーするのか……」

「慣れてくれば、勝手にやっています。必要なのは、いかに偶然でなく必然にするかです」

「偶然でなく必然?」

「そうですねぇ………シューターを交えて話しましょうか?」

高松はそう言うと、居残り練習をしているメンバーを集めた。

「大橋君、速攻の時に私がGKだったら何処にシュートを打ちますか?」

「え〜、高さんにシュートが決まるイメージ無いんだよな〜!」

「……とりあえず引っ掛け下ですよね?」

「うっ………多分、そうかと思います……」

「はい、それでは私がそれを止めたとしたら、次は流し下ですか?」

「はい………そうなると思います……」

「ここでもし、最初のシュートが決まっていたら、改めて引っ掛け下を打つと思います。更に言えば、1本目から浮かし(ループシュート)は初めから考えていない為、位置取りとタイミングを合わせると比較的に止めやすい……そんな所ですかね」

「松ちゃん、何でわかるの?」

「高松ちゃん、手品のタネを教えてよ!」

「簡単な事です。人間は余裕が無いと、得意なコースにシュートを打つんです……これは、ペナルティスローも一緒です。更に言えば、上には枠から外す事が怖くて打てないから、止めた次は7割がた逆の下に動けば止まります。それが人間心理です」

「スゲェ、そう考えるとペナルティスローも止まる気がする!」

「気がするだけだよ!」

「松ちゃんだからじゃないの?」

「うーん、みなさんはまだまだですねぇ……止まる気がするのは大切ですよ…その自信がシューターへのプレッシャーになりますし、逆にシューターの自信はGKのプレッシャーになります……そういった意味では、大橋君は勝手に私を有利にしてくれていますね」

『成る程!』

全員が納得の様である。


高松が職員室に戻ると、1年の担任が残っていた。

「高松さん、部活終わったんですか?」

「自主練も含めまして終わりました」

「ありがとうございます、球技大会の事で話が長くなりまして……」

「球技大会?…加藤先生、どういう事ですか?」

「それはですね…」

「僕から言います!」

勢いよく立ち上がったのは山田先生である。

「高松さんの球技大会の参加するクラスですが……」

「え?……そんなどうでもいい事で話してたんですか?」

「いや、高松さんも講師なんですから……」

「いやいや、加藤先生……私が何処に入っても大して変わらないじゃないですか?」

「高松さんならそう言うと思いましたけど、やはり参加して欲しいんですよ!」

「そうですよ、私も頑張って応援しますから!」

「私のクラスなら、私も一緒に参加します!」

「高松さんなら、うちのクラスも大歓迎だよ!」

「私のクラスもです!」

「という訳でして……」

「だーかーら、僕が今言おうとしてるじゃないですか!」

「山田先生、少し静かにして下さい」

「は、はい」

「すいません、私の為に残って頂いて……私はどこでも楽しく過ごしますから、そんなに悩まないで下さい」

「そう言って頂くと有り難いんですけど、さっき決まったんです!」

「そう、高松さんのクラスは!」

「山田先生、五月蝿いですよ!……高松さんは私のクラス、1年5組です!」

「という訳でして、5組として参加して下さい!」

「分かりました、鈴木先生、よろしくお願いします」

「こちらこそ!」

鈴木先生の満面の笑みに対して高木先生の顔は渋く、山田先生の顔は納得のいかない表情であった。

とはいえ、高松は自分を仲間の一員として認めてくれている事が嬉しく、先生方には感謝していた。

高松も教師の一員として認められています。

良かったですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 高松さん、相変わらず大人気です! もはや教師としても、欠かせないひとになりましたね!
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