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最後の恋……  作者: 澤田慶次
26/221

高松は眠い……

高松の夜勤が終わって……

土曜日の朝、高松は食堂の仕事をヘルパーとしていた。高松は背広の上着を脱いでネクタイを外し、ワイシャツの腕を巻くっていた。

夜勤の仕事も後2時間半くらいである。

食堂が終わり、高松は夜間に進めた業務を改めて確認しながら、会社携帯を確認する。橘から[今日からバイト!]というメールが入っていた為、[気を付けて]とだけ返していた。


本日の出勤予定者が出勤し、高松は朝礼と夜間の引き継ぎをし、夜勤の仕事であるゴミ捨て等をしてから最後の入居者の朝食の食事量をシステムに入力し終わると、時間は10時を回っていた。

高松は田中と新しい入居者についての話と注意点、更には昨夜の状況を細かく伝え、慣れるまで注意を怠らない様に指示を出した。


高松はネクタイを締め、背広の上着を着ると事業所を後にしとあるコミュニティに行った。

高松が市役所から任命された委員会の仕事の1つであり、その活動を見学に来たのである。

高松はその活動を1時間程確認し、担当している委員の方と改善点や良かった点等を話し合い、11時半にはそのコミュニティを出た。


12時半を回った頃、高松は城北学院に着き体育館に入って行った。ハンドボール県北大会の会場である。

高松は体育館でやっている試合を見ていた。城北学院の試合ではないが、なかなかいい試合をしていた。

高松がボーっと試合を見ていると、

「高松康介!」

後ろからいきなり呼ばれた。

「はい!」

高松は背筋を伸ばして振り返る。そこには高松が感謝してもしきれない程のお世話になった男、元国浦学院男子ハンドボール部監督、山中富士夫が立っていた。

「随分久しぶりだな!」

「はい、先生もお元気そうで何よりです」

「どうしたんだ?」

「訳あって、城北学院の男子・女子ハンドボール部を少しですけど見る機会がありまして……」

「教員になったのか?」

「いえ……今は介護事業所の管理者でして、特別授業の講師を引き受けてるんです」

「教員になればいいだろう?…教員免許なら持ってるだろう!」

「いや、それは考えてないです……」

「……ハンドボールには戻る気にはなれんか?」

「検討中です。前向きに考えています……」

「そうか、やる気になったら声を掛けろ……待ってるぞ!」

「はい……そういえば、教頭になったんですね…出世、おめでとうございます」

「はっはっは、長く教員やってただけだ!」

「あれ?…国浦学院は県南でしたよね?」

「今、県ハンドボール協会の会長をやってるんだ……余り縁の無い大会も来てみるもんだな…お前に会えるとは思わなかった……」

「すいません、迷惑ばかり掛けて……」

「迷惑なんて何にも無い、お前は俺が育てた選手の中で、間違い無く最高の選手だ!……もっと胸張れ!」

「ありがとうございます、先生にそう言って貰えるのが1番嬉しいです……」

「たまには国浦にも顔を出せ……俺は待ってるからな……」

「はい、ありがとうございます……」

高松は頭を下げた。山中先生は笑顔で去って行った。

「松ちゃん!……今の県ハンドボール協会の会長でしょ?」

「知り合いなの?」

「凄い人知ってるね!」

「いや、たまたま声を掛けられただけです……それより体調はどうですか?」

「「「悪くな〜い!」」」

「そうですか、怪我には気を付けて下さい……男子の試合を先に見に行ってきます……」

「「「は〜い!」」」

高松は3人の城北女子ハンドボール部と別れ、男子の試合に向かった。


高松は1階のフロアの端に腰を下ろした。男子の試合まで時間がある為、高松は少し壁に寄り掛かって目を閉じた。眠気は限界に近かった。

「高松ちゃん!」

高松は声を掛けられ、驚いた様にそちらを向く。

「見に来てくれたんだ!」

「俺達、しっかり試合するからね!」

「今年は打倒国浦学院だ!」

「絶対にやるから見ててくれよ!」

城北学院男子ハンドボール部の面々が高松を取り囲んで話をする。

「関東予選、インターハイ予選に繋がる試合をして下さい」

『はい!』

気合い充分の城北学院男子ハンドボール部、しかし高松は眠気に負けそうになっていた。


結局、男子ハンドボール部は高松に色々話し掛け、高松は眠る事が出来なかった。更には、加藤先生まで高松の近くにやって来て、ベンチに入って欲しいと頼む始末である。

高松はこの申し出を丁寧に断り、とりあえず男子の試合を見る事にする。

男子の試合は見事に城北学院が27-13で勝利し、明日の準決勝に駒を進めた。明日は準決勝・決勝が予定されている。


高松は余りの眠さに会場を後にしようとしたが、運の悪い事に体育館入口で高木先生に会う。高木先生から加藤先生と同じ依頼を受けるが、高松は断り帰ろうとした。

「せめて試合を見て、改善点等を見つけて下さい!」

高木先生の強い言葉に高松は断る事が出来ず、結局は試合を見る事になった。

女子の試合も城北学院が、28-12見事に勝利し、明日の準決勝に進んだ。


高松は女子の試合が終わるとすぐに車に乗り、借りている駅近くの駐車場に行き電車に乗るが、余りの眠さに電車に乗って座るとすぐに眠ってしまった。


………………

「高松頼む!」

高松は前を向く。そこにはドイツ代表のシューターが高松に目掛けてジャンプをし、シュート態勢に入っている。

高松は躊躇なく前に出て行き、そのシューターの前に壁を作る。

シューターと高松の1対1の勝負、高松は絶妙なタイミングで間合いを詰めながらジャンプする。

シューターの放ったボールは高松に当たりゆっくりとゴールの方に転がっていくが、高松はすぐにボールを追いかけ、ジャンプしてボールをゴールから掻き出した。

ボールはサイドラインを割るが審判は笛を吹き、時間を止める。審判同士で今のシュートがゴールを割ったか審議している。

話し合いが終わり、審判がこちらに歩いて来た……


高松は飛び起きた。辺りを見回すと電車の中であった。高松は座り直しホッと溜息を吐いた時に車内アナウンスが流れる。

どうやら終点らしい……

明日は日曜日、試合を見に行く予定……かな?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今日も高松さんの1日は大変ですね! さすが帰りは電車で寝ちゃいますよね(笑) 激務すぎますね。。
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