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最後の恋……  作者: 澤田慶次
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高松とハンドボール……高校時代その4

高松の成長に連れ、国浦学院も強くなっていきます。

高松、山中監督が見込んだだけの事はあります。

選抜大会から帰った国浦学院、銅メダルを獲得したとあって、高松以外は満足そうである。

シュートを外した矢島は、試合後こそ俯き無口であったが、夕食の時には元気を取り戻していた。

国浦学院に戻って来たみんなはそれぞれ帰路に着いたが、高松は1人、着替えをして体育館のランニングコースを走り出した。

山中監督はそんな高松を見つけ、声を掛けた。

「どうしたんだ、高松?」

「……いや、納得が出来なくて……」

「そうか、満足出来ないか…」

「はい、納得出来ません!」

「何が不満なんだ?」

「…あの時、あの最後の瞬間……確実に俺の思惑通りでした……あの瞬間、絶対に勝てると確信していたんです……」

「あのゴールを決めても同点だぞ!」

「はい、そうです……しかし、あの時……ゴールさえ決めれば相手は更に浮き足立つ………残り時間でもう1点取れたんです……例え同点でも、勝てる所でのミスでの延長の神奈商と、追い付いたうちとは勢いが違います……勝てた試合だったんです……」

「矢島のミスか?」

「いえ、違います……あの時俺は、相手は水の入った洗面器に頭を突っ込んでいる状態だと思っていたんです……」

「確かにその通りだったな!」

「はい……でも、苦しいのは神奈商だけではなかったんです……うちも苦しかったんです……あの時、矢島さんに気楽にと声を掛けられなかった……周りが見えてなかった俺の責任です……だから、同じミスは繰り返さない……その想いを忘れない為にも、今日はトレーニングをやらないといけないんです!」

「そうか……無理はするなよ、まだインターハイがある。そこでしっかりと借りを返せ!」

「はい、分かりました!」

高松は再び走り出した。そんな高松を山中監督は見つめ、少し口元を緩めた。


春休みの合宿が開け、高松は高校2年になっていた。

ここで高松の交友関係と学校生活を紹介しておく。

岡崎とは小学校からの親友であり、国浦学院でも同じクラスの腐れ縁であった。理系の割り振りで偶然にもまたも同じクラスである。岡崎も高松程ではないが身長180cmと高く運動神経も良く、ラグビー部に入部し、3年の時に全国大会に出場しベスト8に駒を進めたチームのスタメンであった。

高校卒業後は、ラグビーを辞め建築の仕事をする為に早稲田大学に進学し、現在は建築家として働いている。

もう1人の親友、石谷(いしたに)(あきら)とは高校からの付き合いである。

入学式の時、高松と岡崎が面倒くさそうに歩いている時、

「なぁ、サボっちまおうぜ!」

と声を掛けられて以来の付き合いである。

なかなかいい提案だと思い賛成した2人、コソッと屋上に行こうとした所を学年主任に見つかり、

「前代未聞だ!」

と一緒に怒られた仲である。

石谷はボクシング部に入部し、高校3年の時にインターハイと国体で優勝していた。

高松・石谷・岡崎の3人は常に連んでおり、時に全校朝礼等をサボったり、時に創立記念日の講演をサボったりと悪い事もしていた。怒られる事も多々あったが、3人は懲りずに色々とやった。

しかし、3人は意外と勉強が出来、赤点を取る事はなかった。高松はクラス1桁、全校でも20位以内であり、石谷と岡崎はクラス10位前後、全校でも20位前後であった。石谷曰く、

「ボクシングで打たれるから忘れちまう!」

らしく、もっと点数は取れる筈だとよく言っていた。

そんな楽しい3年間、それが高松の高校生活であった。


話は元に戻る。

2年になった高松は、春の選抜大会の借りを返す為に練習により一層力を入れた。その練習の中で、

[ギリギリまで競る様な試合をしない様に、俺がシュートを止める]

と考えが変わっていった。全ては1番最後尾でゴールを守る自分の責任と考えていた。だから高松の練習は、妥協を許さない。下手をすると、山中監督が止めるまで自主練を辞めない程である。

4月の県南大会が終わり、5月の関東大会県予選・6月上旬の関東大会が終わる頃には、高松の名前は全国に轟いていた。

因みにだが、関東大会は優勝し高松は優秀選手賞を獲得していた。

6月下旬のインターハイ県予選、国浦学院はしっかりと勝ち進み、危なげなく全国大会に駒を進めた。


夏休みに入り、国浦学院男子ハンドボール部は合宿をする。熱い中での合宿は、心身共にきついものであるが、インターハイでのリベンジを胸に国浦学院男子ハンドボール部は練習を積んでいった。


7月下旬、インターハイに出発する。

バスを山中監督が運転し、試合会場である岡山県倉敷市に向かった。

会場に着くと物凄い暑さだった。春の2試合より夏の1試合の方がきつい意味が理解出来る。増してハンドボールは体育館で行われる。サウナの様な体育館での試合、かなりの暑さが予想される。

しかし、ここでも高松は元気であった。

着いて早々にランニングに出掛け、試合が待ちきれないというくらいに力を持て余していた。

それは、試合でも存分に発揮されていた。

1回戦から高松は大爆発しており、パフォーマンスは春の選抜大会の比ではなかった。

どんなシュートでも平然と止め、1対1になると嬉しそうにシューターに向かっていく。

体を張ってシュートを止める高松、そのプレーの1つ1つがチーム全体を盛り上げ、国浦学院は快進撃を続ける。

1回戦を19-10で勝利すると、2回戦は20-10、3回戦は18-12、準々決勝を19-12、準決勝は栄浦高校に16-13と決勝まで駒を進め、決勝では春の準決勝での相手、神奈川商工との対戦となった。

決勝でも高松は絶好調であったが、後半15分、またも相手選手と接触して高松は治療の為に一旦下がる。

20分に高松は戻って来るが、神奈商に1点差を付けられていた。

しかし、終了間際の高松のパスがキャプテンの矢島に通り、今回はしっかりと同点にし延長戦になった。

スコアは16-16、延長戦突入である。

延長戦は5分ハーフであり、お互いにしっかりと守った。

前半に国浦学院が1点、後半に神奈商が1点を取り同点で終了し、トータルスコア17-17となった。

延長で同点の場合、ペナルティスローをお互いに3本ずつ投げて勝敗を決める。それで決まらなければサドンデスでペナルティスローが続けられる。サッカーのPK戦と同じである。

先行は神奈商である。

このペナルティスローは熾烈を極めた。

3人では決まらず、ベンチ入りも含めて14人が投げる事になった。ベンチ入りを含めると14人で全員である。神奈商のGKも高松も一歩も引かずにシュートを止める。また、お互いのシューターも意地を通し、神奈商が決めれば国浦学院も決める。最後は14人目、神奈商のGKと高松のシュートになった。これで決まらなければ、また最初のシューターからである。

神奈商のGKのシュートはゴールネットを揺らし、高松の出番となった。

しかし、高松はシュートの経験が無い。

高松は頭をフル活用し、矢島のシュートをイメージしてシュートを放った。

高松のシュートは神奈商のGKが動いた逆の方向に飛んでいき、ワンバウンドするとポストに当たり、高松の足下に戻って来た。

この瞬間、勝敗が決した。

トータルスコア17-17、ペナルティスロー7-6となり、神奈川商工の春夏連覇となり、国浦学院は準優勝となった。

高松高校時代、まだまだ続きます。

もう少し、お付き合い下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 因縁のライバル校との対戦、なかなか勝てないですが 日々成長した姿をみせる高松さんは覚悟が違いますね! 石谷さんもいよいよでてきましたね!
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