08 ファーストコンタクト
08 ファーストコンタクト
田神は見たことない女子と二人で参加していて、ちょうどさっきのバスケ部一堂と話が終ったタイミングのようで、手を振っていたところだった。
「よ、田神、お疲れ様。色々ありがとうな」
田神には当日の受付をお願いしていた。
「まさか、本当に手伝わされるとは思わなかったわ。でも、今日来て久し振りにみんなに逢えてよかった。卒業して離ればなれになるなんて実感わかないよね」
「だね。それぞれの道を歩む、か」
「ジン、大人モード突入」
さりげなく、そしてややぎこちなくキュウタが会話に加わってきた。
「うるせぇな。それよりお前、田神に受付のお礼言ったのか?初対面じゃないだろ?」
「おう、何度かはな。田神さん、今日はありがとう」
「いえ、どういたしまして」
「なんだよ、やけにあらたまって」
「田神さんとちゃんと話しをするの初めてだからさ」
「本当だね、何度も会ってるけど、キュウタ君とこうやって話すの始めてかもしれないね」
田神は笑顔を見せながら、隣にいる女子の肩に腕を回して、仲良しアピールをするかのように紹介した。
「あ、同じテニス部の ヒロ。お初でしょ?」
「ヒロです。キュウタ君とは1年の時同じクラスだったから、何度か話した事あるけど、忘れちゃったよね」
「忘れてないよ、久し振りだよな。掃除の時間に良く怒られた」
懐かしそうに振り返るキュウタ。自分の友達同士が他人で、いつも一緒にいる友達と全く知らない他人が友達、と言うのは、とても不思議な感じがする、と思いながら聞いていると、
「ジン君とは初めましてです」
突然名前を呼ばれ、視線が合い、ビクッとしたかもしれない。ペコリとお辞儀した時に揺れた長い髪の毛と、優しい目に、なぜかドキッとした。動揺を隠しながらやっとの思いで答えた。
「どうも、ヨロシク。なんか、手伝わせちゃって悪かったね」
「最後の部長の言い付けですから」
笑顔のまま、優しい目に見つめ続けられていると、横から田神が割り込んできた。
「ジン君、今日はヒロを無理やり手伝わせさせたんだから、ちゃんと後でお礼を伝えてね」
「えっ?」
「えっ、じゃないよ。優しさが足りない男子は嫌われるよ。さ、メッセージ交換しよ」
「わかったわかった。キュウタ、お前も田神にメッセージでお礼な」
「ジン君、約束だよ。お礼のメッセージだからね。私にはついでで良いけど送ってね」
「わかったよ、な、キュウタ」
「お、おぅ」
そんな流れでお互いのメッセージを交換した。この時にキュウタとヒロの頬がほんのり赤くなっていたのは気のせいだろうか。




