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05 とりあえずの安心

05 とりあえずの安心


 家に向かう途中、角のコンビニの前に、日に焼けた長身の男が立っていた。僕を見つけると軽く手を挙げた様に見えた。間違いなくキュウタだ。そのまま通り過ぎてしまおうかとイタズラ心がフッと沸いたが、後々面倒になるので近づいていった。

「おぅ、偶然だな〜。帰りか?」

 照れ隠しの様な笑顔が浮かんでいる。それにしても、かなりの偶然好きらしい。

「なんだよ、どうした?」

「ちょっとそこまで用かあってな…、なんて訳ないだろう。さっき部室小屋からお前を見掛けたんだよ。だから気になってな、偶然を装うことにした」

 校内には駐輪場が3箇所ある。正門から入った体育館脇、昇降口前、裏門から入った校舎裏。3年生になると昇降口前を使って良いのだが、部活中心の学生の多くは部室小屋に近い体育館脇を使っている。

「なんだよ、だったらその時こそ偶然出てこいよ。こっちはドキドキだったんだぞ」

「ま〜ま〜、落ち着いてくれよ。俺の気持ちも解ってくれ。で、どうだった?」

「聞き耳立てて無かったのか?いちいち面倒な男だな。ん〜はっきりとは返事されなかったけど…」

「ってことは、ダメか?」

 まるで告白の結果を聞いているかの様だが、まだ祝賀会に参加するかどうかの返事なのだ。

「いや、多分そうではない」

「じゃぁ、OKか?」

「だから、はっきりとは聞けなかった。でも、最後に人数決まったら教えて、て聞いたら、わかったって答えてた。これって来るってことだよな?」

「うん、確かに。おまえ、すごいな。人数決まったら教えてって聞いたら、行かないって返事できないもんな」

 話の流れで自然に出た言葉だが、確かにそうかもしれないな、と自分に感心してしまった。

「あ、そうかもな。気にしてなかった。ま、なんとなく参加する雰囲気だったよ。僕たちが祝賀会計画している噂聞いていたみたいだし。あ、そうそう、第一志望に合格したらしいよ。進路決まって気が楽になっただろうから、何かあったら手伝ってって言っておいた」

「さすがジン。引っ張るの上手いな。たよりになるね~」

「なんか、ちゃんと会の進行考えてるのか不安がられたけどな。でも、キュウタなら最後にうまくまとめるんだろうね、って言ってたよ。印象も悪くないらしいよ、多分ね」

「えっ、そんな話までしてたのか。とりあえずの印象は悪くなさそうだな…。なんか、緊張するな。よし、残りの人集め、続けるか」

 田神の参加に喜びを感じたようで、満身の笑みに変わっていた。そんなに人集めしなくても、と本当の目的を疑いながらも、乗りかかった船なので船長のキュウタを信じようと思う。


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