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04 ファーストミッション

 04 ファーストミッション


 1月の終わりになると、登校してくる生徒が少ない日がたまにある。入学試験やそれに関する手続き関係、または体調管理など理由は様々あると思う。今日はまさにそんな日で、クラスの半数以上が休みになっている。これはミッションを遂行するにはチャンス以外の何物でもない。そんな一大決心をしながら担任教師の代わり映えのしない挨拶を聞いていた。その後ホームルームが終わり、一人で教室から出ていく田神を追いかけるように、いや、さりげなく後を追った。

「よ、久しぶり。今帰り?」

 駐輪場でこの台詞、どこかで聞いた気がする。

「あ、ジン君。久しぶりってさっきまで教室で一緒だったじゃない、変なの」

 なんとなく普通ではないのを見透かされたかもしれない。

「最近、学校来る日も減ってきたしさ。田神は順調なの?」

 出来る限りの平静さで返事をしている僕、自分が告白するのではないかと言うほど緊張している。

「あ、言ってなかったね。進路決まったよ。無事に第一志望の大学に合格しました」

 笑顔になり、ピースサインをハサミの様にチョキチョキしている。日に焼けた肌にショートカットでボーイッシュ、普段から部活中毒の田神だか、普段と違う雰囲気を見ると女子だなぁと感じ、少しドキッとした。心の中で、キュウタ、なるほどね、と呟いた。

「お、良いニュースだね、おめでとう。さすが我が校のエースプレイヤーは、何事も予定通りだね」

「ん〜内心かなり心配してたんだ。実技テストで少しミスしたからね。でも、本当にホッとした。ジン君は早々に合格して羨ましかったよ。イヤミの1つでも言いたかったくらい」

「いやいや、こちらは本当の偶然、と言うよりまぐれ。たまたま立ち寄った進路指導室で資料をパラパラ見てたら、今年から始まった新しい推薦見つけてね。合格伝えたら教務室が大騒ぎだったよ」

「運も実力のうち。ジン君、昔から何か持ってるところあったもんね」

「いやいや、偶然が偶然続いただけ。でも、先に合格したらしたで周りの目が気になって、なんとなくやりづらくてね。受験生に囲まれてるから大袈裟に喜べないし、羽伸ばすにしてもメンバーいないし」

「確かに、わかるかも。でも、最近なんかキュウタ君と仲良くしてるって噂じゃない。色んな部の部長と悪巧みしてるとか聞いたけど?」

 田神からキュウタの名前が出た時には心臓が倍速に変わった気がした。でも、話す前から知っているのなら話が早い。

「悪巧みじゃないよ。ほら、せっかく3年間一緒に過ごした仲間なのに、これからバラバラになっちゃうわけじゃん。だから最後にみんなで集まって、絆を深めようって訳。これからいつどこで再会するか解らないしね。体育系の部活に声掛けてるところ。テニス部女子も何人か誘ってよ」

「ん〜そうだね〜。もちろんジン君も参加するんでしょ?司会とかやっちゃったりして」

 ここで初めて僕も参加するという事を考えた。確かに参加することになる、絶対に。田神に聞かれるまで何も考えてなかったけど、僕が参加することが何か影響するとも思わない。

「参加しなかったらキュウタに殺されるよ。当日の進行、どうするんだろう。何にも考えてないだろうね」

「確かに、計画性が有るとは思えないけど、最後にはうまくまちゃうんだろうね、キュウタ君なら」

「そう願うよ。全て振られたらたまったもんじゃない。一人でとは言わないからさ、誰か誘って協力して」

「うん、そうだね。でも、ちょうどよかった。今、ちょうどあてがあるから聞いてみるね」

「ちょうど良い?何だよ、何がちょうど良いんだよ」

「いや、別に、気にしないの」

 気にするなって言われても、かなり気になる、と突っ込みを入れたかったが、今はミッションを優先させる必要がある。

「じゃあ、人数決まったら教えて」

「わかった」

 そう言うと、意味深な笑顔を浮かべて、手を大きく振りながら自転車で走り出して行った。なんとなく好感触?と思いながら田神と別れ、田神が向かう駅とは反対の方向に自転車を走らせた。


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