23 伝える気持ち
23 伝える気持ち
その時、二人同時にメッセージが届いた。ヒロからだった。
【レイ、ジン君 ヒロです。
今までいろいろとありがとうございました。レイはお見送りまで来てくれてありがとうね。まもなく飛行機が飛び立つから、日本からの最後のメッセージです。もしかして、二人一緒だったりして。そうだったらうらやましいな~。色々と遊んでくれてありがとう。江ノ島の記念に写真を送ります。この写真を見たら、二人の間には私は入り込む余裕が無いのはわかりますよね。残念だけど、ジン君はレイにお任せします。二人ともなかなか正直にならないから大変だったけど、そろそろお互いの気持ちを確認してもいいと思いますよ(笑)。レイには悪いと思うけど、しばらくはジン君にもらったぬいぐるみを彼氏代わりに頑張ります。じゃぁ、二人でお幸せにね ヒロより】
メッセージと一緒に届いた写真の中では、田神と僕が見つめあいながら笑っていた。いつ撮られたのか分からないけれど、この時のヒロの気持ちを想像すると複雑な気持ちになる。
「ヒロ、ありがとう」
田神がたくさん並んでいる飛行機を眺め、どこかにいるヒロに向ってつぶやいた。
「それにしても、ヒロには何でも見透かされているようだな」
「そうなの?私はジン君の気持ち聞いてないけど」
田神が少し心配そうな顔で僕の顔を覗き込んできた。
「そういえばそうだったな。ごめんな」
「ううん、大丈夫。私もヒロと同じ片想いだから。ヒロは卒業しちゃったみたいだけどね。片恋同盟の会長になりたいくらい」
「何言ってるんだよ」
「ううん、いいの。片想いも楽しいんだから」
「そうじゃないよ。僕もはっきり伝えないといけないなと思ってね」
そう言いながら僕も飛び立つ飛行機を見上げた。
「小学校の時、昼休みにサッカーしてて、僕が怪我したときの事、覚えてる?」
「え?あ、口の中を切った時?すごい出血だったよね」
「そうそう。その時、田神が走って来て、励ましてくれたんだよな」
「そうだっけ?」
「うん、バイ菌が入るから触るなとか、このくらいの出血は大丈夫、とか」
「あんまり覚えてないな〜」
「まあ、いつも近くに居たからね。それが日常だったしね」
「確かに」
「でも、あの時の記憶はすごくハッキリしてるんだよね、なぜか。田神がいることで、すごく安心出来た」
いざ話し始めたものの、恥ずかしさも有ってなんとなく落ち着かず、立ち上がってフェンス際まで歩いて行った。
「今まで同じ学校で、同じクラスだったから、近くに居るのが当たり前だったよな」
「確かに、ここまで同じ学校の同級生は珍しいよね。幼稚園まで同じだもんね」
同じように後を追って横に並んだ田神も、飛行機を眺めながら昔を思い出しているようだった。
「でも、最近になってキュウタが田神の事を好きだと知った瞬間に、なんだか気持ちが落ち着かなくなってたんだ」
田神は続けて飛び立つ飛行機を見つめたまま、次の言葉を待っているようだった。
「キュウタに対する田神の気持ちも気になった。ヒロと2人で話しているところを見られるのも気になった。みんなで江ノ島に行った時も、ふとした時に田神のことを探してしたし、たまに視線が合ったとき、微笑んでもらえると嬉しかった」
不思議な事に、自分でも意識していなかった感情が、自然に口からこぼれ出していた。今までも、心の中のどこかにためていたけれど、もう隠しきれなくなったようだ。そして、田神の目の前に立ち、視界を遮った。
「だから、もう片想いなんて言わないで欲しい 。僕は田神の事が好きだから」
見つめながら、僕の正直な気持ちを、田神に伝えた。
一瞬、何が起こったのかが解らないようで、しばらく固まっていた。
「ジン君、急すぎるよ、ずるいよ。ビックリしてちゃんと聞こえなかった」
照れ隠しだろうか、田神は笑顔のまま、大きな涙を流しながら答えた。
「わかった」
そう言いながら田神を引き寄せ、
「僕は田神が大好きです」
今度は耳元でささやいた。
「ちゃんと聞こえたか?」
田神は僕を見つめながら、大きく一度うなずき、
「私もジン君が大好き…」
その言葉が終わるのと同時に、2人の唇が重なった。幼稚園の時に、公園の滑り台で「将来ジン君のお嫁さんになる」と言われた時以来、2回目だった。




