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22 本当に気持ち

22 本当に気持ち


 数日後、田神からメッセージが届いた。落ち着いたら話すね、との言葉を残して別れたあの日以来、初めての連絡だった。

【ヒロの見送りに行きたいんだけど。一緒に行ってもらえないかな。1人で行く自信無くて】

【良いよ。でも、僕が行っても良いのかな】

【そっか…。じゃあ空港まで迎えに来て。1人で帰ってくるなんて寂しすぎる】

【了解しました】


 田神がヒロとの別れの前の最後の時間を過ごしている間、空港の展望デッキで空を見上げていた。数分毎に飛び立つ飛行機を見ながら、自然の力に逆らってまで空を飛びたいと考えた人間の想いと、それを実現させた技術の素晴らしさについて考えていた。やっぱり、自分の想いを実現させるための努力をしなければ、と思った。

 ヒロとは何度かメッセージの交換をしていた。アザラシのぬいぐるみの写真も添付されていたが、特にそれ以上の事はなく、さっぱりとした友達としての内容だった。最後には恋愛としてのお別れではなく、出発することに対するお別れを伝え、これからの活躍を誓いあった。

 見送りを終えた田神が展望デッキにやって来た。無理に笑いながら隣に座った。しばらくは何も言わす、何も聞かずに様子を伺っていた。

「ヒロ、行っちゃったよ」

「うん」

「なんか、色々と考えちゃった」

「それで、気持ちの整理は着いたの?」

「まだかな。あともう少しだと思う。ジン君、手伝って」

「手伝ってって、僕か何が出来るかな」

「ジン君じゃなきゃできないの」

 田神の言葉に、自分の中での様々な迷いが迷い始めた。


「正直に言うとね、祝賀会に参加しようと思ったのは、ヒロをジン君に紹介しようと思ったからなんだ」

「えっ…。そうだったんだ」

 ヒロの予感は的中していた。

「うん。だって、ヒロはジン君の事を好きだって思ってたから。ジン君は記憶に無いかもしれないけど、ヒロと一緒の時に何回かすれ違ったりしてたんだよ」

「そうだった?全く気が付いてなかったな」

「そう言う時にね、ヒロはジン君の事、格好いいよねとか、彼女いるのかな、とか色々と詮索してくるんだよね。私、同じクラスだから余計に聞いてくるの」

「え、本当に?」

「本当に。だからヒロはジン君の事が好きなんだなって思ってたんだ。この勘は当たってたでしょ?」

「そう直接言われると照れるけど、そうだったみたいだね」

「だから、ヒロの事を応援したかったんだ。ジン君の事はヒロより知っている私としては、ヒロの彼氏にはちょうど良いかな、とも思ったしね」

「なんか、評価高いね、僕」

「確かに、高いね。」

 そう言いながら、やっと笑顔になった。

「この前の江ノ島の件も、キュウタ君の提案にヒロが直ぐに賛成した時、びっくりしたんだ。ヒロってここまで積極的な子だったかなって思っちゃった」

「いつもはそうじゃなかったの?」

「私の知ってる限りではね。それに比べて私は全然ダメだった。自分の気持ちに全然素直になれなかった」

「この前もそんな事言ってたよな」

「うん。だから、私も変わらなきゃって思った」

「それで、変われそうなの?」

「今日から、と言うか、今から変わろうと思う。だから、自分に素直な気持ち、ジン君にも伝えるね」

「僕に?」

「そう。実はね、私はジン君にずーと片思いだったんだ」

「え?田神、お前…」

「でも、今までは、この気持ちを閉じ込めてた。だって、ヒロの気持ちを知っちゃったから、ジン君のことを好きでいてはいけない、好きな気持ちを抑えなければいけないって思っちゃって」

 突然の告白に返す言葉が見つからない。

「でもね、どうしてもジン君の事を諦められなかったの。ジン君を好きという気持ちを捨てられなかったの。最初のうちは、ヒロがいくら頑張ってもジン君がヒロを受け入れるわけなんてないって勝手に思ってたんだ。自信過剰だね、私。だから、ヒロがジン君に振られた時には慰めてあげようって考えてた。でも、ヒロがどんどんジン君に近づいていくのを見ていて、何とも言えない気持ちになっちゃって…。応援しているはずなのに、成功して欲しくないと思っている私がいたの」

「そうしたら、ヒロが突然海外に行っちゃった…」

「そうなの。ヒロはめ、私の気持ちに気が付いていたのだと思う。江ノ島に行った後メッセージが届いたんだ。ヒロの本当の気持ちはどこにあるのって」


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