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17 いざ、江ノ島へ

17 いざ、江ノ島へ


 こう言う時に問題になるのが座席位置だ。前後で男女が別れると言うのも不自然だし、キュウタと田神を後ろに座らせるにも理由が今一つ見つからない。「1日彼女」発言もとても気になるのだが、あえてこの場では触れないようにした。と言うより触れる勇気がなかった。そう考えていると、ヒロから車に少し不安があるから助手席が良いとの申し出が合ったため、自然な流れで席順が決まった。今日も流れがキュウタのミッションを応援しているかのようだ。

 運転席に座ると、横の助手席からはヒロが微笑みかけている。斜め後ろには田神が座り、バックミラー越しにたまに視線が合う。キュウタは真後ろに座り、何かある度に顔を覗かせてくる。後部座席の二人もなかなか打ち解けているようだ。キュウタを応援する立場なのだが、何となく複雑な心境なのは何故だろか。

 車の中では、終始キュウタが話題を提供してくれた。みんなが知っている高校の教師の話しから、部活の話し、同級生の恋愛事情など次々に展開された。前回同様に、キュウタと田神が話しをしている流れに、ヒロと僕が突っ込みを入れると言うケースがほとんどだったが、ヒロと二人で話しをする時間も多くあった。

「ジン君は海と山、どっちが好き?」

「ん〜難しいね〜。でも、海かな。山には虫が多いし」

「それ、わかる。あ、そもそも水泳部の人が山って言うわけないか」

「そんな事無いよ。山好きの部員もいるよ。スキーとかあるしね。高校の水泳部って冬は休みみたいなものだからね」

「そうだったね」

「世界の仮説がもしも正しかったら、生命は海と雷から生まれたらしいよね。そう考えると、海には神秘を感じる」

「何か、ロマンチストみたい」

「実はそうなのかも」

「目が怪しい」

 そんな話しをしていると、フロントガラス越しに海が見えてきた。

「あ、海だ!」

 思わずヒロが声をあげた。まるで初めて海を見るかのようだった。

「綺麗だね〜」

「晴れてて良かったね。ヒロの日頃の行いが良いんだろうね」

「生命の神秘を感じちゃう?」

「そうだね〜。でも、生命誕生の時には雷が鳴ってた訳だから、きっと大荒れの天気だったんだろうね、今日見たいに綺麗な海じゃなくて」

「あ、そうかも。なんか、そんな海だと怖いね」

「それだけ生命は重いってことでしょう」

「なるほど、今度は哲学的になってきた」

「じゃぁ、哲学者でも目指すかな」

「多分無理だと思いますけど…」

「やっぱり?」

 話しの合間にふと見せる笑顔に引き込まれそうになる。やっぱり女の子は可愛いんだな、と心のなかで呟いていた

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