16 それぞれの印象
16 それぞれの印象
キュウタの家の前についた時、まだ出て来ていなかったので、何となく車から降りて待つことにした。田神も同じように降りてきた。キュウタが田神を見たときの反応は想像の通りだった。一瞬動きが止まったかの様に見えたが、直ぐにいつもの社交的な笑顔に戻って歩いてきた。
「おはよう。レイ、なんか今日は雰囲気違うな、ビックリしたよ」
「ほらな、キュウタも同じ感想だろ」
「変?」
「変じゃないよ、すごく似合ってるよ」
「ありがとう」
キュウタの答えに嬉しそうに微笑んだ。
それにしても、会って早々にレイと呼び捨て出来るキュウタも凄いと思う。予定を決めてから二人で何かメッセージのやり取りは有ったのだろうか。それぞれの時間を過ごしている訳だから、僕の知らない所で何か新しいことが起きても、僕には関係ないのだけど。
ヒロには更に驚ろかされた。待ち合わせのコンビニに駐車場に入ると、その裏が大きな林の様になっている。
「ここ、ヒロの家だよ」
「へ〜広いな〜。家はこの林の先な訳?」
「反対側にちゃんとした入り口があるからね」
と言われ、一瞬キュウタと目を見合わせた。ほどなくして隣にある門が空いてヒロが出て来た。一般的な住宅ではグレードの良いと思われる造りなのだが、さっきの田神の情報によると、裏口か勝手口なのだろう。住む世界が違うのかもしれない。
ヒロも、すっかり女の子の雰囲気だった。田神と同じ様にうっすらと化粧をしているせいか、この前会った時と比べて大人に見えた。
少し大きめの袋を抱えながらも、僕達を見つけると手を振りながら、微笑んだ。
「ジン君、手伝ってあげてよ。男は優しさだよ」
「そうだよな」
田神に促され車を降りて、ヒロを迎えにいった。
「おはよう」
「ジン君、おはよう」
「荷物、大丈夫?持とうか?」
「ありがとう。お弁当だから大切に扱ってね」
「沢山あるね、すごいね〜」
「私が全部作った訳じゃないけどね。少し手伝ってもらいました」
「素直だね〜。え、お母さん?」
「まぁ、そんな感じです。玉子焼きは自分でも作りましたからね」
玉子焼きは、メッセージでリクエストしたお弁当のおかずだった。
「そうだ、今日はヒロがジン君の1日彼女になるからね」
「えっ、どう言うこと?」
意味深い眼差しで見つめられ、少し微笑むと他の二人に視線を移し歩きだした。やはりヒロの瞳にはドキッとしてしまう。メッセージを繰り返しているせいか、会うのは2度目なのに、なぜかすごく親しい感じがしてしまうから不思議だ。実際には、お互いのほんの表明しか知らないというのに。
車に戻るとキュウタも田神も車から降りて来た。
「レイ、おはよう。キュウタ君、おはよう」
「ヒロ、相変わらずすごいね〜。期待しちゃうな」
「本日は私の自信作ですよ」




