10 セカンドミッション
10 セカンドミッション
祭りの後の静けさとでも言うのだろうか。一仕事を終えた脱力感を感じると同時に、さっきまでの熱気がとても懐かしく感じる。卒業式を終えた僕らは部外者なのかもしれないが、生活指導の鬼教師の「3月31日までは我が校の生徒だ。卒業後も気を引き締めて生活するように」と言う言葉を都合良く理解していた。ちなみに、僕の所属は水泳部。顧問が体育教師ではなく数学教師と言う歴史があり、体育会系の中でも立場が弱いと言うこともあり部室小屋に部屋の割り振りは無い。プールサイドに有る監視室を学校非公式の部室として使っていた。ここからはプール越しに図書室の窓が見える。たまに知った顔と目が合う偶然を楽しみに、ここで時間を潰したことも少なくない。この季節になると苔や藻が埋めつくし、日々泳いでいたとは思えないプールを見つめながら、冬の間に金魚や鯉を放すのなら、一層の事、釣り堀として貸し出せば良いのにな、等と考えていると、
「なかなかだったな。とりあえず無事に終わって良かったな」
「そうだな、第一ミッションクリア、と言う感じ?」
少し気を抜いて答えると、
「おぅ、ジンには感謝だな。で、次のミッションに進む」
「お、やる気満々だね〜」
「なに他人事みたいに言ってるんだよ、今度はデートだぞ。その前にメッセージも送らないとな」
久し振りに見るキュウタの真剣な眼差しだった。
「ジン、お前も頑張れよ。ヒロ、お前に気があるんじゃないか?久し振りに見たけど、可愛くなってたよな」
正直なところ、僕自信も少し感じていた。僕を見つめる視線、会話での相槌のいれかた、ふとした仕草。男としてはすごくうれしいけど、なんとなく恥ずかしいような感覚。
「僕を巻き込むなよ…。ヒロとは今日初めて会ったし分からないよ。人のことより自分の心配をしてくれよ」
「確かにそうだな。でも、少し気が強いけど良いやつだぞ、ヒロは。」
「わかったよ」
「でも、4人で遊びに行くのは決まりだぞ」
「ハイハイ」




