第五話 竹林の騒動
妖怪「ガァアアア!」
雪「悪いな、今付き合ってる暇は無いんだ」
妖しい月光に中てられ、正気を失った妖怪を死なない程度に反撃しながら迷いの竹林へと向かう。
雪「そろそろ見えてくるか」
月が照らす草原を走り抜け、目の前に迷いの竹林が見えてくる。さて、今回は案内人がいない訳だが無事抜けられるだろうか。
雪「⋯⋯む?」
竹林に近付くにつれ、上空で大量の弾幕が飛び交っているのが見える。目を凝らすと、どうやら霊夢と紫、魔理沙と⋯⋯以前、魔理沙から話に聞いたアリスという魔法使いがタッグを組んで弾幕ごっこを繰り広げていた。
恐らく異変解決に来たタッグのどちらかが、誤解か何かで弾幕ごっこを仕掛けたんだろう。もしかしたら他にも異変解決に来てるかもしれないな。見つかったら面倒だ。
雪「隠密作戦、と言った所か」
俺は上空で戦っている四人から見つからない様に(紫は恐らく気付くだろうが)目の前の竹林へと入る。それにしても紫までもが異変解決に出てくるとは、やはり推測は間違ってはいなかったか。
そんな事を考えながら竹林を走っていると、突然として何かが飛び出し、攻撃してくる。
雪「っ!?」
咄嗟に防御し、後ろに飛び退くと氷の籠手を作り出し構える。だが攻撃してきた正体が分かると、構えを解いた。
雪「⋯⋯妹紅?」
妹紅「⋯⋯雪か?」
雪「ああ。それにしても急に攻撃してくるとは、随分な挨拶だな」
妹紅「あー、いや、ごめん⋯⋯暗くてよく見えなかったのと、この竹林に住んでる妖精があの月に中てられて暴走しててさ⋯⋯」
話を聞くとあの偽物の満月に中てられた竹林の妖怪や、迷いの竹林の原因でもある妖精が正気を失い暴れ出し、それを収めている所に俺と出会ったらしい。暗がりで姿が良く見えず、妖怪だと勘違いして攻撃したそうだ。
妹紅「それに、ちょっと面倒な事が起きててさ」
雪「面倒な事?」
妹紅「うん。上でやり合ってるのもそうなんだけど、異変解決に来た奴らが暴れまくっててさ。その中で吸血鬼の─────」
妹紅の話を聞いていると、俺達に弾幕が放たれる。咄嗟に飛び退き放たれた方向へと目を向ける。
レミリア「見つけたわよ、白髪の娘」
妹紅「⋯⋯吸血鬼の娘とそのメイドに追われててさ」
雪「成る程な」
レミリア「あら、雪じゃない。貴方も異変解決?」
雪「そんな所だ。レミリアは何をしてるんだ? 妹紅を追ってるみたいだが」
レミリア「疑わしきは罰するって言うじゃない?」
それを言うなら疑わしきは罰せず、だろう⋯⋯まあ、レミリアは怪しい者を片端から倒してるというのは分かった。
すぐそばにいる咲夜に目を向けると、彼女はフイと目を逸らす。そうか⋯⋯咲夜も大変だな。
雪「まあ言いたい事は分かった。だが二対一は少々いただけないな」
レミリア「あら、私達と戦うつもり?」
雪「いや、そういう訳じゃない。俺も急いでるんでな」
レミリア「ならどういう⋯⋯」
雪「こういう事だ。マスタースパーク!」
俺は妹紅を抱き寄せるとマスタースパークを放つ。そして二人が怯んだ所で指を鳴らして時を凍らせると、竹林へと紛れ込んだ。
雪「こんな所か」
ある程度まで離れると、時間切れで再び時が動き出す。
妹紅「⋯⋯っ!? ここは、ムグッ!」
雪「静かに。またレミリア達にバレるぞ」
妹紅が騒ぎそうになった所を、口を押さえて止める。そして落ち着いた所で、口から手を離した。
妹紅「はぁ⋯⋯雪には驚かされてばかりだ」
雪「それは悪かったな。所でだ、妹紅。永遠亭に用があるんだが、案内を頼めないか」
妹紅「分かった。でも気を付けてくれ。永遠亭も何かピリピリしてるみたいだったから、何があるか分からないから」
雪「それは重々承知している」
そして妖怪やレミリアに気付かれない様に、辺りを警戒しながら永遠亭へと向かう。途中、俺達を探してるらしいレミリア達の姿が見えたが、何とか見付からずに済んだ。
妹紅「着いたよ」
妹紅の言葉に、前に目を向けると見慣れた建物が見えた。見た目は何ら変わらないが、中からは異様な⋯⋯月光と同じ妖しい魔力を感じ取れる。
雪「ありがとう妹紅。助かった」
妹紅「構わないよ。私も助けられたし⋯⋯もう一度言うけど、気を付けて行ってくれ」
雪「ああ」
俺は妹紅の言葉に頷くと、目の前の永遠亭へと足を踏み入れた。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です。今回は少々雑目になってしまいましたが、如何だったでしょうか。
さて、来週にはテストが終わり、私も通常通りの投稿に戻ります。また週1投稿になりますので、どうぞ楽しみにしていてください。
それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!