第二話 萃香と飲み交わし
萃香と再会し、宴会を終えた翌日。特に今日はやることも無い俺は、家で小説を読みながらゆっくりと寛いでいた。
何度も宴会が続き、それを怪しいと感じた霊夢はどうやら早速異変の調査に向かった様だ。他にも、噂話程度だが他にも何人か独自に調査を進めている様だ。
萃香「やっほー雪。何をしてるんだい?」
小説を読んでいると、どこからやって来たのか今回の異変の元凶である萃香がやって来た。
雪「読書中だ。所で良いのか、元凶がこんな真っ昼間から堂々と姿を現して」
萃香「私が原因だと分かるまで時間が掛かりそうだし大丈夫。それより雪、ちょっと付き合ってくれないかい?」
そう言って萃香が取り出したのは酒が入った瓢箪だ。こんな昼間から酒か⋯⋯相変わらず、鬼は酒が好きみたいだな。
雪「昼酒はしたくないんだが⋯⋯」
萃香「まあまあ、そんなこと言わずにさ。ほら、グイーッといってよ」
萃香は俺の言葉を聞かず、どこから出したのか杯に酒を酌んで渡してくる。俺はため息を吐くとそれを受け取って一気に呷る。
萃香「ハハハッ、良い飲みっぷりだね」
雪「相変わらず、鬼の酒は辛いな」
萃香「私達はこれが普通さ」
そんな事を話しながら、グイグイと酒を飲まされる。明らかに瓢箪の容量以上の酒を飲んでいるんだが⋯⋯萃香の持っているそれに秘密があるのだろうか。
すると瓢箪に向けている視線に気付いたのか、萃香はニヤリと笑って瓢箪をプラプラと振るう。
萃香「この瓢箪が気になる?」
雪「ああ。その瓢箪に入り切らない酒を飲んでるからな」
萃香「フッフッフ⋯⋯ならば教えて進ぜよう。この瓢箪の名は伊吹瓢! 酒虫のエキスが染み込んでいる、無限に酒が湧く代物さ!」
雪「酒虫?」
萃香の話によると酒虫というのは、簡単に言えば水を吸収して酒に変えるという鬼の一種だそうだ。その水の量も少量で済み、ほんの少しの水から大量の酒を造り出すという。
雪「ほう、そんな生物がいるのか」
萃香「ただ、酒虫で造った酒は大体味が落ちてね。酒虫にも個体差があるから、中には造りたての酒と同じくらい美味いのを造り出すのもいると思うんだけど⋯⋯」
雪「⋯⋯これで味が落ちてるのか」
そこらの酒よりも美味いんだがな。そんな事を考えていると、玄関の戸が叩かれる。誰か来たのだろうか。
萃香「おっと、それじゃあ私はお暇しようかな。じゃあね雪」
雪「ん、ああ⋯⋯」
すると萃香は杯やらを片付け、自らを霧と化してフッと姿を消す。何なんだ一体⋯⋯。
萃香の様子に違和感を覚えながら、俺は玄関を開ける。そこには色々な場所に異変の調査へと出掛けた筈の霊夢が立っていた。
雪「どうした霊夢」
霊夢「ちょっとね。ところで雪、貴方もしかしてお酒飲んでた?」
雪「ああ、久しい友人と出会って、そいつが酒好きでな。昼酒をしてた」
霊夢「ふ~ん⋯⋯」
雪「逆に聞くが、霊夢は異変の調査に行っていたんじゃないのか」
霊夢「もう怪しい奴らの所には行ったわよ。後は貴方だけなの」
雪「⋯⋯俺が怪しいと?」
霊夢「まさか。会って短いけど雪が異変を起こすなんて馬鹿な事する人じゃないのは知ってるわよ」
雪「じゃあ何故ここに?」
霊夢「ここに何かあるって何となく思ったからよ」
霊夢の勘か。もう少し早く⋯⋯いや、萃香はすぐ気付いたからな。どの道逃げられたのか。
霊夢「でも、雪の様子を見るに何も無いみたいね。勘が外れたのかしら」
雪「ふむ⋯⋯なら霊夢、一つヒントをあげよう」
霊夢「何?」
雪「人でも妖怪でも、必ず目に見えるものになってるとは思わないことだ」
霊夢「⋯⋯? どういうこと?」
雪「さてな。後はじっくり考えてみろ。お前なら答えに辿り着けるさ」
そう言うと、霊夢はコクリと頷いて与えたヒントについて考えながら神社へと帰っていく。まあ、霊夢なら次の宴会までには分かっているだろう。
雪「さて、そろそろ夕飯の買い出しでも行くか」
そう呟いた俺は、財布を取りに部屋へと戻っていった。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です。諸事情があったものの、昨日は投稿出来ずに申し訳ありません。
さて、次回の話になりますが、次回は恐らく萃夢想編が終わり、永夜抄編へと入っていきます。その後は⋯⋯多分儚月抄に入るんじゃないでしょうか。ちょっと詰めすぎですが今章は三編に分かれてるわけですね。
それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!




