第八話 雪の影、西行妖
雪「フッ!」
俺は⋯⋯そうだな、“影”とでも呼ぼうか。殴り掛かってきた影の攻撃を避け、殴り返す。だが影はそれを避けてバックステップで距離を取った。
雪「悪いが、今回は様子見とも言ってられないな」
そう呟くと先程創り出した氷柱を飛ばす。影は黒い靄の手甲で弾き、靄の槍を持って投げてくる。
俺はそれを見切って槍を掴み取る。そして投げ返そうとしたが槍はフッと消えてしまった。影から離れたから⋯⋯ではないな。恐らく自由に創り、消す事ができるのだろう。
そう推測していると影は周囲に大量の靄の弾幕を創り出し、マシンガンの様に飛ばしてくる。俺は氷の壁を創り出してそれを防ぎながら、影に気付かれない様に俺の足下から奴の足下へ凍らせた一本道を創り出す。そして弾幕を防ぎ切ると氷壁を蹴り砕き、それを弾幕として飛ばした。
影が避ける前に凍らせた地面を経由して足を氷で固定。奴の気が足へと向いた瞬間、大量の氷塊が奴へと迫り、ぶつかった衝撃で砂煙を上げる。
雪「⋯⋯チッ」
俺は暫くして舌打ちをする。砂煙が晴れた目の前には、凍った足を切り落として氷塊を回避していた影がいた。
影の足は靄と化して消えていったが、西行妖が何かしたのだろう。奴の足は再生し、また殴り掛かってくる。
雪「一筋縄ではいかないか」
俺は攻撃を捌くと影の腹へと一撃を入れる。だが影は生き物じゃなく妙な靄の集合体だ。痛覚などあるわけがない。だから足を凍らせた時にバレなかったのだからな。
だが、影は俺の姿を真似ている割に攻撃方法は力任せに殴り掛かるか靄の槍を創り出して投げるだけだ。どうやら姿は真似をしているが戦い方までは真似できないらしい。ならやり方はある。
雪「まずは無力化しなければな」
俺は影の足を払い転ばすと、氷柱を創り出して手足へと突き刺す。氷柱は深々と突き刺さり、影の手足を飛ばした。
だが影はすぐに再生させて起き上がってくる。もう一度手足を落として断面を凍らせたが、無駄だと言わんばかりに氷を巻き込みながら再生する。やはり大本である西行妖を叩かなくてはならないだろう。
それを察したのだろうか。西行妖が枝を動かし、また二体の影を生み出す。今度は⋯⋯紫と妖忌の影の様だ。
雪「⋯⋯知り合いの姿を見せれば動揺するとでも思ってるのか?」
そんな真っ黒な姿で動揺するわけないだろう。だが三大同時に相手をするのは少々骨が折れるな。
雪「⋯⋯任せたぞ、お前ら」
そう呟くと、俺は襲い掛かってくる目の前の影達へと構えた。
─────
雪が影と戦闘に入っている一方⋯⋯霊夢は封印の修復。魔理沙、咲夜、幽々子は霊夢へと迫る西行妖の攻撃を防いでいた。
魔理沙「クソッ! キリが無いぜ!」
咲夜「幾ら破壊しても再生するなんて⋯⋯」
幽々子「少し骨が折れそうね~⋯⋯」
三人は霊夢を囲むように前に立ち、伸びてくる巨大な枝を魔法や弾幕で破壊していく。しかし、以前の様に西行妖は辺りの魂を吸収して枝を再生させている。唯一の救いは魂の量が少ない為、再生速度が遅い事だろうか。
魔理沙「霊夢! まだなのか!?」
霊夢「急かさないで! こんなに複雑な封印⋯⋯どれだけ化け物なのよ⋯⋯!」
咲夜「っ! 霊夢、危ない!」
三人の攻撃を掻い潜り、一本の枝が霊夢へと迫った。三人は別の枝に妨害され、助けに行くのが遅れる。
妖夢「人符『現世斬』!」
そして枝が霊夢の眼前に迫った瞬間、妖夢がその枝へと突進斬りを放った。枝はスパンと切断され、また迫っていた別の枝を妖夢は切り飛ばす。
幽々子「妖夢、気付いたのね」
妖夢「幽々子様! 何が起きているのですか!? 何で西行妖が⋯⋯!?」
幽々子「説明してる暇は無いわ。今は博麗の巫女を西行妖から守って」
妖夢「分かりました!」
そして妖夢を加え、また西行妖の攻撃を防ぐ。最初は何度も再生していた西行妖だが、辺りに漂う魂が少なくなってきたのか何本かの枝は遂に再生すらしなくなってきている。
霊夢「アンタ達! 封印の修復が終わるわよ!」
それと同時に、霊夢が四人へと封印の修復が終わる事を伝える。
魔理沙「よっし! 最後にかっ飛ばすぜ~⋯⋯恋符『マスタースパーク』!」
まずは魔理沙がマスタースパークを発射し、辺りの枝をほぼ一層する。それと同時に霊夢は西行妖へと走り出す。
自分の身に迫る危機を感じ取ったのだろうか。西行妖は残った枝を霊夢へと向け、今まで以上の速度で彼女へと伸ばす。だが、その枝は突如としてゆっくりとなった。
咲夜「この大きさは疲れるのだけど⋯⋯!」
それは咲夜が能力を使って西行妖の時間を遅くさせたからだ。
妖夢「はぁあああ!!」
その遅くなった枝を、妖夢は刀で切り落とす。そして出来た道を走り、霊夢は西行妖の根元に辿り着くと
霊夢「これで⋯⋯終わりよっ!」
封印の修復を担う札を貼り付けた。すると西行妖は悲鳴を上げるかの様に暴れ回り、最後の足掻きだと言わんばかりに折れた枝を霊夢へと叩き付けようと振るう。
だが、それは突然として現れた氷の壁で防がれた。どうやら雪が影達との戦闘中、一瞬出来た隙を使って創り出した様だ。
雪「最後まで醜く足掻くな、西行妖。お前は負けたんだ」
そう雪が言うと同時に、西行妖は撒き散らしていた妖気を霧散させ、遂には動かなくなる。
霊夢「⋯⋯終わった?」
雪「⋯⋯ああ。そうみたいだな」
そう呟く二人の目には、以前と同じ⋯⋯ただ静かに佇む西行妖と、現世へと戻っていく大量の春度が写っていた。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です! 約二週間もの休載、大変申し訳ありませんでした!
なんとか編集は終わりましたので、今日から少しずつ反映されていくと思います。
さて次回ですが、宴会をして最終回⋯⋯にはならないです。番外編としてもう少しだけ続くんじゃ。
それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!




