第六話 魂魄の少女
妖夢「はぁあああ!!」
妖夢は刀を構えると鋭い斬撃を繰り出してくる。だがその攻撃の軌道は正直で、避けるのは容易い。
雪「攻撃が正直すぎる。そんな事では仕留められる相手も仕留められないぞ」
妖夢「知ったような口を!」
俺の言葉に苛立ちを覚えたのか、少しだけ攻撃が単調になる。どうやら挑発に慣れていない様だな。
さて、目の前の少女⋯⋯魂魄 妖夢は、恐らくだが妖忌の孫娘だろう。というか確実にそうだろうな。名字と言い、服装と言い、共通点が多い。
しかし、それなら妖忌はどこに行ったのだろうか。言っては悪いがこんな未熟な少女に後を継がせて⋯⋯。
妖夢「人符『現世斬』!」
そんな事を考えていると妖夢がスペルカードを発動して、大きく突進しながら斬り込んでくる。中々に速い⋯⋯が、やはり攻撃が正直だな。
雪「フッ!」
妖夢「ぐぅっ!」
突進斬りを避けると大きく蹴り上げ妖夢を宙に飛ばす。そして懐から一枚のスペルカードを取り出した。
雪「社符『千本鳥居の路』」
スペルカードを宣言すると、妖夢を囲い込む様に無数の鳥居が現れ、その鳥居一つ一つから弾幕や光線が放たれる。
妖夢「っ! あぁっ!」
妖夢は腰に差していたもう一本の刀を抜くと、それを振るって弾幕を打ち消し、光線を逸らしていたが流石に数が多かったのだろう。捌ききれなかった弾幕が当たり、それに注意を向けた隙に大量の弾幕が直撃する。
そのまま地面に落下し倒れるが、妖夢はすぐに立ち上がって刀を構えた⋯⋯が。
妖夢「⋯⋯っ!」
雪「これで終わり、だな」
眼前に能力で創り出した氷柱を突き付けられ、妖夢は悔しそうな顔をすると刀を納める。
妖夢「参り、ました⋯⋯」
雪「⋯⋯さて、お前に少し聞きたい事がある」
妖夢「⋯⋯何を」
雪「お前達が今回の異変を起こした理由、それは何だ?」
妖夢「⋯⋯この先、白玉楼にある桜の西行妖を満開にするためよ」
雪「⋯⋯やはりか」
妖夢の言葉を聞いた瞬間、ギリッと強く拳を握る。冥界という言葉を聞いてから何となく気付いていた事だったが⋯⋯やはり信じたくなかった。
雪「妖夢、西行妖は今どれくらいまで咲いているんだ」
妖夢「⋯⋯? 何故そんな事を⋯⋯」
雪「教えてくれ」
妖夢「花は、咲いていない。だけどあと数時間もあれば満開になるわ」
雪「⋯⋯そうか」
それだけ聞くと俺は手足に氷を纏わせ、宙に浮く。西行妖が咲くまで時間が無い。ちんたらと階段を登っている暇など無いだろう。
雪「妖夢。悪いがお前にも手伝ってもらうぞ」
妖夢「えっ、わぁっ!」
西行妖を止める時に人手は多い方が良いからな。俺は妖夢を抱き上げると、そのまま階段の上にある白玉楼へと向かった。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です! 大変長らくお待たせしました! テストが終わりましたので、今回からいつも通り毎週投稿に戻ります!
今回はテスト期間中に息抜き程度に書いていたものなので、かなり短いですが次回から元に戻っていきますのでご了承ください。
それでは今回からこの辺で。また今度、お会いしましょう!