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東方 白狐伝  作者: 蛸夜鬼
玖章 春雪異変の巻
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第五話 冥界

魔理沙「おっ? 雲の上は結構暖かいぜ?」


咲夜「ここに春が集まってるのは間違いない様です」


雪「そうだな⋯⋯ん?」


 マヨヒガを去り、雲を抜けると地上とは大違いな暖かさが身体を覆う。辺りを見渡すと春度と呼ばれていた桜の花弁が同じ方へと流れていく。


 春度の流れを目で追っていくと、向こうに霊夢と⋯⋯空にポッカリと空いた穴の様なものが見えた。


 霊夢はどうやら誰かと弾幕ごっこをしていたらしく、三人の妖怪らしき人影が落ちていった。あれは⋯⋯大丈夫なのか? いや、何かを叫んでいたみたいだから恐らく地上に激突する事はないだろう。


魔理沙「おっ、霊夢ー!」


 魔理沙も霊夢に気付き、彼女に近寄る。しかし霊夢の後ろにある穴は何なのだろうか。どうやらここに春度が集まっている様だが⋯⋯。


霊夢「あら、魔理沙。それに雪と⋯⋯吸血鬼の所のメイドもいるのね。どういう集まり?」


魔理沙「異変の解決に決まってるだろ?」


咲夜「お嬢様の命令で異変を解決しに来ました」


霊夢「雪は? 前回は保護者役とか言って着いてきてたけど」


雪「今回は成り行きでな。それに、このまま異変が続いたら薪も食料も無くなるだろう?」


霊夢「まあ、そうね。私も神社の薪が無くなりそうだから異変解決しに来た訳だし」


 ⋯⋯つまり神社の薪に余裕があったら異変解決に来なかった訳か? それで良いのか、博麗の巫女。


雪「それにしても、この穴は何だ? ここに春度が集まってるらしいが」


 どうやら幻想郷を包む博麗大結界に空いてる様だが⋯⋯しかし外の世界には繋がっていない様だ。だが何故だろう。その穴からは異様な程気味が悪く⋯⋯そして|覚えのある気配《・ ・ ・ ・ ・ ・ ・》が感じ取れる。


霊夢「へぇ、この花弁って春度って呼ぶの? 何となく異変に関係ありそうだから追ってきたけど、やっぱり関係あったのね」


魔理沙「また勘で動いたのか? 情報収集とかした訳じゃなくて?」


霊夢「当たり前じゃない。情報収集なんてそんな面倒な事するわけないでしょ?」


 霊夢の言葉を聞いた魔理沙は少しムッとする。まあ自分の行動が無駄と言われてる様なものだからな。


霊夢「で、この穴だっけ。この穴はどうやら冥界って所に繋がってるみたいよ。あの騒霊達が教えてくれたわ」


雪「っ⋯⋯!?」


 冥界。その言葉を聞いた瞬間とある記憶が脳をよぎる。その記憶は、あの忌まわしい西行妖の記憶だ。


 幽々子の命を奪い、俺と紫、妖忌の三人で苦戦しながらも何とか封印したあの化け物桜⋯⋯封印後、幽々子の屋敷ごと冥界に移動していた筈だ。


咲夜「雪さん、どうかされましたか?」


雪「っ! い、いや⋯⋯何でも無い⋯⋯」


 咲夜の言葉に返事をするが、頭の中では西行妖の事がグルグルと回っていた。もしや、春度を集めているのは西行妖の封印を解く為か? いや、もしそうなれば庭師の妖忌が止める筈だ。ならば何故⋯⋯。


魔理沙「なあ、この先に異変の首謀者がいるって事だろ? 早く行こうぜ!」


霊夢「それもそうね。ここで話してても時間の無駄だし」


咲夜「早く終わらせましょう。私は館に帰って夕飯の用意もしなければなりませんから」


 俺が考え事をしている中、三人は躊躇なく穴へと入っていく。本当ならここで紫に連絡なり何なりをしたい所だが、恐らくまだ冬眠中だろう。


雪「⋯⋯今回は、俺だけで何とかするしかないか」


 そう呟いた俺は、霊夢達に続いて穴の中へと入っていった。



─────



 ⋯⋯冥界。そこは罪の無い死者達が成仏するか転生するまでの間を幽霊として過ごす世界。そこは現世ではお目にかかれない美しき桜並木の階段が、その先にある白玉楼へと続いている。


雪「⋯⋯懐かしいな」


 最後にこの景色を見たのは、西行妖の事件依頼だ。相変わらず美しい景色だ。


雪「⋯⋯ん?」


 懐かしさに思いを馳せていると、階段に先に入った三人ともう一人⋯⋯白髪の少女が階段中央に立っていた。


 ⋯⋯白玉楼にあの様な少女がいたか? だが服装や腰に差している刀から妖忌の関係者だと思うが⋯⋯。


霊夢「アンタ、ここの番人でもしてるの?」


?「番人じゃなくて剣術指南役兼庭師よ。それで、生身の人間が冥界に何の用?」


霊夢「アンタが集めてる春、返してほしいのよ。春が来ないせいでこっちは寒いったらありゃしないわ」


?「それは無理な相談ね。もう少しで幽々子様の望みが叶う。邪魔はさせない」


 そう言って少女は刀を抜く。それを見た三人はそれぞれ弾幕ごっこをしようと構えた。


雪「ちょっと待て」


 俺はそれを声を掛けて止める。四人は弾幕ごっこを始めようとしたところに水を差されたので、少々困惑したようだ。


霊夢「何よ、雪」


雪「お前達は先に行ってくれ。全員で戦うより、先に行ってさっさと首謀者を倒した方が早いだろう」


霊夢「⋯⋯それもそうね。じゃあここは任せるわ。行くわよ二人とも」


 霊夢の言葉を聞いた二人は頷き、階段の先へと向かう。


?「待てっ! ここは通さな⋯⋯」


雪「お前の相手は俺だぞ?」


?「っ! 邪魔をするな!」


 少女は抜いた刀を俺へと振るう。俺は氷の篭手でそれを弾くと上へと向かう階段を氷の壁で塞いだ。


雪「さて、アイツらが戻ってくるまでここで留守番といこうじゃないか」


?「⋯⋯少女だからと舐めてると怪我するわよ」


雪「別に舐めてないさ。それに一言二言の脅し文句よりも、その剣先を向けた方が多少迫力が出るんじゃないか?」


?「っ! ふざけるな!」


 俺の挑発に掛かった少女は、刀を構え殺気を飛ばす。


?「この『魂魄(こんぱく) 妖夢(ようむ)』! 貴方を叩っ切らせてもらう!」


雪「やってみろ、魂魄の少女。そのなまくらで俺の氷が斬れるならな」


妖夢「っ! 妖怪が鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなどあんまり無い!」


 少女は少々締まらない決め台詞を言いながら俺へと斬り掛かる。さて、妖忌。お前の跡継ぎ、力試しをさせてもらうぞ。

 はいどーも、作者の蛸夜鬼です。今回の話は如何だったでしょうか?


 遂に雪が冥界に到達! 次回は妖夢戦となります。所で妖忌って本当どこに行ったんですかね? 何でも悟りを開いて白玉楼を出て行ったらしいですが⋯⋯。


 さて、それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!

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