第二話 情報収集
さて、魔理沙と別れて情報を集める事になった俺は迷いの竹林にやって来ていた。色々と知っている永琳に話をしに来たんだ。
雪「さてと⋯⋯」
迷いの竹林の入り口に着いた俺は辺りをキョロキョロと見渡す。すると近くの岩に座り込んで煙草を吸っている妹紅を見つけた。
妹紅も俺に気付いたのか、煙草を加えながら駆け寄ってきた。
妹紅「雪じゃないか。永遠亭に何か用か?」
雪「ああ。永琳に少し話があってな。案内を頼めるか?」
妹紅「分かった。んじゃあ早速行こうか」
そう言った妹紅は竹林の案内を始める。道中、一本煙草を受け取り狐火で火を点ける。
雪「ふぅー⋯⋯」
妹紅「⋯⋯雪も煙草を吸うんだ」
雪「ん、ああ。偶にだがな」
都市にいた頃は店で普通に買えたから普通に吸ってたんだが、その後は中々手に入らなかったから疎遠になってたんだ。幻想郷に来てからは人里で売っていたから、また吸い始めている。
妹紅「知り合いに煙草吸うなって言われない?」
雪「言われるな。特に永琳に」
主に「身体に悪いんだから」という理由で。他にはレミリアとか椛に良く言われる。二人は煙たいという理由だな。
そんなこんなで妹紅に案内されて永遠亭に到着する。妹紅は輝夜に会いたくないと言って帰って行った。
雪「永琳、居るか?」
永琳「あら、雪? どうしたの、こんな雪の中」
煙草の火を消し、吸い殻をしまうと永遠亭の扉をノックする。すると暖かそうな服装の永琳が出てきた。
雪「ちょっと聞きたい事があってな」
永琳「大方、この終わらない冬の原因かしら?」
雪「そんな所だな」
永琳「やっぱりね。立ち話も何だし、上がって。外も寒いでしょう」
俺は永琳の言葉に甘えて永遠亭に上がる。客間に通され暫くすると永琳はお茶を持ってきた。
永琳「はい。緑茶で良かった?」
雪「ああ、ありがとう」
永琳「⋯⋯さて、今回の異変だけど⋯⋯ごめんなさい、私にも原因はまだ分からないの」
雪「⋯⋯そうか」
永琳「ええ。でも一つ分かってる事があるわ。怪我をした冬の妖怪に聞いたのだけど、どうやら上空は妙に暖かいらしいのよ」
永琳に詳しい話を聞くと、妹紅が連れてきた冬の妖怪(大方魔理沙にやられたのだろう)が「空が暖かい」といった話をしたらしい。それも雲の上。雪が降っている地上よりよっぽど高い所だ。
永琳「おかしいのよ、空の方が暖かいって話は。普通なら地上より気温は下がる筈なんだから」
雪「ああ、それは俺も知っている」
しかし空か⋯⋯空に何かあるのだろうか?
永琳「雪。もし今回の異変を解決するつもりなら気を付けて。相手は四季の流れを歪める程の相手なんだから」
雪「ああ。死なない程度に頑張るさ」
その後永遠亭を離れた俺は、今度は香霖堂に寄る。永遠亭から近く、物知りな知り合いがいる場所がここだったんだ。
雪「霖之助。少し聞きたい事があるんだが」
霖之助「いらっしゃい雪。聞きたい事というのは今回の異変についてかな?」
雪「話が早いな」
霖之助「今の幻想郷の様子で、聞きたい事なんてそれくらいだからね」
そう言いながら霖之助は、カウンターの下から何かを取り出す。それはまるで桜の花弁の様だが、妙に朧気だ。手に取ると、その花弁は優しい暖かさがあった。
雪「これは?」
霖之助「春度、って言ってね。これが集まる事で春を形成する⋯⋯まあ簡単に言えば、春の一部だね」
雪「春の一部⋯⋯まさか」
霖之助「そのまさかだろうね。誰かが春度を集め、何かを成そうとしている。そして幻想郷に春度が集まらないから冬が終わらない⋯⋯と、言ったところかな。春度がどこに言ってるのかは流石に分からないけどね」
雪「なる程⋯⋯」
恐らく、春度は上空のどこかに集められているのだろう。たった一つでこの暖かさだ。空が異様に暖かいというのも納得出来る。
雪「ありがとう霖之助。異変の首謀者の場所がある程度分かった」
霖之助「それは良かった。出来れば早々に終わらせてくれると有難いよ。このままじゃ、ずっと桜を拝めないからね」
雪「っ⋯⋯ああ、分かってるさ」
俺は霖之助の言葉に妙な胸騒ぎを抱いたが、それが何なのか分からないまま未だに雪が降る雲へと飛んだ。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です。今回は如何だったでしょうか?
早速次回予告ですが、次回は主に魔理沙視点でのお話になります。まあ魔理沙の情報収集シーンですね。
少し早いですが今回はこの辺で。それではまた、お会いしましょう!