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東方 白狐伝  作者: 蛸夜鬼
捌章 紅魔異変の巻
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第一話 紅い霧と宵闇の妖怪

雪「⋯⋯こんなものか。及第点、と言った所だな」


 弾幕ごっこを広めてから早一年と数ヵ月。文月(7月)に入り、幻想郷は夏の真っ只中だ。今日までこれと言った異変も起きず、幻想郷は平穏な日々を送っていた。


 スペルカードルール⋯⋯もとい弾幕ごっこはたった数ヵ月で幻想郷中に広がり、今ではごく普通の遊びとして認知されている。妖怪達も、今では無気力化がすっかり治っているな。


 俺もこの一年間はこれといった事も無く、偶に友人の所に顔を出したり遊びに付き合ったりして過ごしていた。そうそう、この間初めて知ったんだが、霊夢と魔理沙は幼馴染みだった様だ。


 そして今は新しいスペルカードの試用をしていた所だ。今ではカードの数は六枚。そこそこ増えたんじゃないだろうか。


雪「さて⋯⋯」


 俺はスペルカードを懐にしまうと時計を取り出して時間を見る。十一時か。やることも無いし人里で早めの昼食でも⋯⋯。


 そう思ったところで、急に辺りが薄暗くなる。何事かと辺りを見渡すと⋯⋯


雪「なんだこれは⋯⋯」


 辺りは妖気を帯びた“紅い霧”が、幻想郷中を覆っている。薄暗くなったのは上空の霧が特に濃く、日光が遮られたからだろうか。


雪「⋯⋯アイツらの仕業だな」


 一瞬誰の仕業か迷ったが、“紅”と“日光”という単語ですぐ誰の異変か分かった。最近忙しそうにしていたのはこれの準備だったからだろうな。


 さて、紫に頼まれていた通り霊夢の保護者として同行したいんだが⋯⋯。


紫「はぁい雪」


 そんな事を考えているとスキマが開き、そこから紫が顔を出す。


雪「何だ紫」


紫「前に言ったこと、覚えてるかしら?」


雪「ああ。今から霊夢の所に行こうかと思ったんだが⋯⋯」


紫「霊夢なら早々と神社を出て霧の湖方面に向かってるわよ?」


雪「随分と早いな、異変が発生したばかりと言うのに。例の勘か?」


 霊夢はどうやら勘が非常に鋭いらしい。一度遊びも兼ねてサイコロの目を当てさせたんだが、なんと全て当ててみせた。霊夢曰く「私が賽の目を予想したということをサイコロが覚えている」との事だが⋯⋯あれには驚いたな。


紫「ええ。魔理沙も既に動いてるわ。私は一応幻想郷を見回るから、保護者役お願いね」


 そう言って紫はスキマの奥へと消えていく。


雪「さて、早速俺も動くとしよう」


 そう呟いた俺は家の中にある雑嚢に小物を入れ、紅魔館へと向かった。



~白狐移動中~



 家を出てから十数分。俺は霧の湖近くの森を、空を飛ぶのではなく歩いて先に進んでいた。空を飛んでいないのは、上空は特に霧が濃く先が良く見えないからだな。


 暫く森の中を歩いていると、突然自分の手が見えない程に辺りが暗くなる。一体何だと足を止めると⋯⋯


?「いただくのだ~」


雪「っ!?」


 突如右腕が何者かに噛まれる。あまり痛くはないが、突然の事で驚き右腕を振り回す。


?「あうっ!」


 振り回した時の勢いで俺の腕を噛んでいた者が落ちたのか、少しの衝撃と共に闇も晴れていく。するとそこには⋯⋯


?「う~⋯⋯痛いのだ~⋯⋯」


雪「⋯⋯子供?」


 どこか見覚えがある、随分とボロボロな金髪黒服の少女が座り込んでいた。頭には随分と古い札の様なものがリボンの様に結んである。


雪「⋯⋯まさか、ルーミアか?」


ルーミア「う? 何で私の名前を知ってるのだ~?」


 ルーミアらしき少女は首を傾げながら俺を見つめてくる。これは⋯⋯俺の事は覚えてないのか? 見た目も幼くなっているし、もしや記憶を失っているのだろうか?


 そう考えた所で、ルーミアの腹が盛大に鳴る。どうやら腹が減っている様だな。最初の頃に出会ったルーミアもかなりの人間を食っていた様だし、大食漢なのだろうか。


ルーミア「お腹減ったのだ~⋯⋯」


雪「⋯⋯しょうがない、昼飯で食べようと思っていたんだが」


 俺は、雑嚢から竹の葉で包んだ握り飯を取り出す。それを差し出すと、ルーミアは目を輝かせ涎を垂らしながら俺と握り飯を交互に見る。


雪「食べていいぞ」


ルーミア「わーい! いただきま~す!」


 ルーミアは握り飯を受け取るとその小さな口いっぱいに頬張る。相当腹が減っていたんだろう。三個程入っていた握り飯はすぐに無くなってしまった。


雪「良く食うな」


ルーミア「⋯⋯足りないのだ~」


雪「だろうな」


 しょうがない⋯⋯紅魔館で飯を作らせてもらおう。咲夜に事情を話せばキッチンや食材を使わせてもらえるだろうしな。


雪「ルーミア、少し我慢してついてこられるか? この先にある場所で飯を作ってやろう」


ルーミア「そ~なのか~? じゃあ我慢するのだ~」


 そう言ってルーミアは俺の背中にしがみ付く。


雪「じゃあ、行くか」


ルーミア「は~い」


 そうして俺はルーミアを背負い、この先にある紅魔館へと歩いていった。

 はいどーも、作者の蛸夜鬼です。遂に紅霧異変に突入! 最初の紅魔郷キャラはルーミアでしたね。


 次回は⑨とか大ちゃんとか出そうかなって思ってます。まだまだ内容は決まってませんけど笑


 それでは今回はこの辺で。また今度お会いしましょう!

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