第六話 人妖対戦・始
今回は少し短めです。それではどーぞ。
計画当日⋯⋯俺はロケット発射までの時間を稼ぐ為、壁上にあるレーザー砲の整備を行っていた。
雪「⋯⋯」
依姫「おはようございます、隊長」
すると依姫が声を掛けてくる。こんな状況でも朝早く来るとは⋯⋯真面目なのは変わらないな。
雪「依姫か。相変わらず早いな」
依姫「そんな私よりも早く来てる隊長に褒められて光栄ですね」
依姫はそう言って笑っていたがすぐに顔を伏せて座り込む。俺は整備の手を止めると隣に座った。
雪「怖いのか?」
依姫「⋯⋯はい」
雪「そうか⋯⋯俺も怖い」
依姫「えっ?」
雪「何だ、俺が恐怖を感じてないと思ってたか?」
依姫「いや、えっと⋯⋯はい」
最初ははぐらかそうとしていた依姫だったが、諦めたのかすぐに頷く。うむ、素直でよろしい。
雪「俺だって怖いものは怖いさ。だけど死ぬ恐怖よりも大切な人を失う方が怖いからな」
依姫「隊長⋯⋯」
雪「なに、お前らが恐怖で体が動かなくなってもすぐに助けてやるさ。大船に乗ったつもりでいろ」
依姫「フフッ⋯⋯はいっ!」
俺の言葉に依姫は大きな声で返事をする。
⋯⋯何か凄く小っ恥ずかしい事を言った様な気がするな。まあ良いか。
依姫「隊長、絶対に死なないでくださいね?」
雪「フッ、当たり前だろう」
その後、レーザー砲の整備を依姫にも手伝ってもらい早々と終えると暫くの間談笑する。大きな戦いの前だが緊張もほぐれるし丁度良いだろう。
依姫「で、勇也さんはどうなったんですか?」
雪「ああ。それで勇也は⋯⋯」
勇也「うぃーっスお二人さん! 何の話してるんスか?」
明理「おはようございます隊長、依姫さん」
勇也と明理がやって来た。その後ろには他の部隊がいる。一、二⋯⋯月読の予想通り半分程度か。人数にすると三百が良いところだろう。
雪「来たかお前ら。縁起は悪いが別れの言葉や遺書は渡してあるか?」
勇也「開口一番がそれっスか⋯⋯まあ、俺は昨日の内に言っといたっス」
明理「私は遺書を渡してあります」
依姫「私も大丈夫です。隊長は?」
雪「永琳に遺書を渡してある」
そう言った直後、懐に入れていたスマホが振動する。電話⋯⋯相手は永琳か。
永琳『もしもし雪? あと二時間くらいでロケットが発射されるわよ』
雪「二時間後だな? 上空から見て妖怪は今どの辺りにいる?」
妖怪が来る方角には数機の偵察ドローンが飛ばされている。これによって妖怪の侵攻時間を予測しているんだ。
永琳『⋯⋯あと、三十分程で皆の視界に入るわ。予想通り、一万以上の妖怪がね』
雪「⋯⋯そうか。分かった」
永琳『雪、死なないでね。絶対に一緒に月に行くのよ。それじゃ』
永琳はそう言って通話を切る。絶対に一緒に月に行く、か⋯⋯。
雪「⋯⋯悪いな永琳、それは守れそうにない」
俺はそう呟くとスマホをしまって軍全体に通信を送る。
雪「こちら、第一班隊長の狐塚 雪だ。先程、八意 永琳研究長から連絡が来た。計画通り二時間後にロケットが発射される。しかし三十分程で妖怪が見えるそうだ。全員、戦闘の覚悟はしておいてくれ。以上だ」
俺は通信を切ると三人の方を見る。三人とも覚悟は既に出来ている様だ。
雪「お前ら、やるぞ」
三人「「「了解!」」」
そして三十分後、永琳からの連絡通り妖怪の大群を全員が視界に映した⋯⋯目の前の地平線全てを塗り潰す程の大群を⋯⋯。
入学おめでとうございまぁぁぁぁす!
はいどーも作者の蛸夜鬼です!
えー、実はですね! 今月は入学シーズンという事で中学だとか高校だとかに入学する季節じゃないですか! 実を言うと私も高校生になりましたから!
で、とても嬉しいので調子に乗って今日と明日で序章の完結を目指そうかと思います! つまり連日投稿ですね。
まあ、一応下書きもありますし無理はしない範囲で書こうと思います。それでは皆さん、明日もお楽しみに!