第五話 幻想郷巡り 永遠亭②
永遠亭の客間に通され暫くすると永琳と、寝ぼけ眼で手を引っ張られている輝夜がやって来た。
輝夜「もう永琳⋯⋯何よ、会わせたい人って⋯⋯折角寝てたのに⋯⋯」
雪「輝夜、久しいな。元気にしてたか?」
輝夜「えっ⋯⋯」
輝夜は眠そうな顔で永琳に手を引かれて客間にやって来る。俺が話し掛けるとポカンとした顔で俺を見た。
輝夜「ゆ、雪!? いつこっちに来てたの!?」
雪「つい最近だな。随分と眠そうだが、ちゃんと寝ているのか?」
輝夜「ちょっと夜更かししちゃって⋯⋯でもいつもはちゃんと寝てるのよ?」
雪「夜更かし?」
輝夜「ゲームやってたの」
⋯⋯何故この時代にゲームがあるんだ。一から作ったのか⋯⋯いや、それ以前に電気はどうしているんだ?
雪「まあ、良いか⋯⋯」
輝夜「ね、そんな事より雪は何をしていたの?」
永琳「それは私も聞きたいわね。ここ数百年顔も出さないで⋯⋯また何かあったのかと心配してたんだから」
雪「ふむ⋯⋯では何から話そうか」
コイツらにはあんまり話したくないんだがな⋯⋯そんな事を思いながら俺は二人に今までの旅の事を話す。そして西行妖や異国の話をすると予想通り無茶な事はするなと怒られた。
雪「そんな風に怒られてもしょうがないだろう。旅は何があるのか分からないんだからな」
永琳「それはそうだけど、そんな怪我するまで無茶はするなって言ってるのよ」
輝夜「雪は私達と違って不死じゃないんだから、もっと体大事にしないと」
雪「⋯⋯善処する」
そう言うと二人はため息を吐く。恐らく何を言ってもあまり変わらないと思ったのだろう。
雪「ところで輝夜。お前はゲームをやっていたと言ったが運動はしているのか?」
輝夜「話しを逸らしたわね⋯⋯まあ良いわ。ちゃんと運動してるわよ? 週に何回かだけど」
雪「何をしているんだ?」
輝夜「殺し合い」
⋯⋯ん?
雪「すまない輝夜。俺の聞き間違いじゃなかったら殺し合いと聞こえたんだが?」
輝夜「そうよ。殺し合いと言ったの」
雪「輝夜、それは運動とは言わないぞ?」
輝夜「不老不死の私にとって殺し合いも運動と同じよ」
そういうものだろうか。不老不死の感性は分からん。
雪「分かった。百本譲ってそれを運動としよう。だがお前の相手にとっては運動じゃすまないぞ? 不老不死じゃあるまいし」
輝夜「あら、相手も不老不死よ?」
雪「何?」
輝夜「『お前のせいで私の人生は滅茶苦茶だ』とか言って襲ってくるのよ。何か私に恨みでもあるのかしらね」
ふむ⋯⋯輝夜に恨みのある不老不死か。誰だろうかと考えると、一人だけ心当たりのある者が思い浮かんだ。
雪「その不老不死とは、もしかして妹紅じゃないか?」
輝夜「良く分かったわね。知り合い?」
雪「やはりか。昔、ちょっとあってな」
輝夜「そう。さーて、私はそろそろお暇するわね。今やってるゲームが丁度良いところなのよ」
雪「程々にしろよ」
そうして輝夜は客間を出て行く。一体何のゲームをやってるのだろうか。そしてやはり電気はどこから来たのか気になる所だが⋯⋯。
永琳「雪、折角だし夕飯食べていかない? 私も色々と話したい事あるし」
雪「ああ。じゃあ甘えるとしよう」
俺がそう言うと永琳は嬉しそうに笑う。そして俺は永琳と数百年⋯⋯いや、最後に会った時はあまり話も出来なかったから実際には数億年ぶりに、互いに今まであった事を話し合った。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です。今回は久々に永遠亭メンツのご登場になりました。
そうそう、この小説ですが総合評価101pt、評価ポイント平均4.2、PV三万、ユニーク五千行きました! 皆様、本当にありがとうございます!
これを機に、何か特別編的なものをやろうかと思っています。まだネタが浮かばないので何とも言えませんがね⋯⋯。
それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!