第四話 幻想郷巡り 永遠亭①
雪「ふむ⋯⋯」
人里から南東に位置する広大な竹林。そこは成長速度が異様に早い竹林と深い霧によって景色が変わる為に目印になる物もない。
故に人々はここを迷いの竹林と呼んだ。一度入れば抜けられず、永遠にそこを彷徨うと噂される。
雪「⋯⋯む。ここは先程通ったか」
そして俺は絶賛迷子中だ。流石迷いの竹林と呼ばれるだけある。自分がどこから入って、どこから出たのか一切分からない。
雪「さて、どうするか」
最悪空を飛んで抜けるという手もあるが、ここに来たのはとある友人と再会しに来たからだ。もう何年も会っていない。折角会えると言うのだから顔を見せに行きたいものだが⋯⋯。
そんな事を考えながら竹林を進んでいると突如踏み込んだ足が地面に埋まる。そこは落とし穴だった様で、俺はその穴に落ちていった。
?「フフフフッ⋯⋯どうやら間抜けな人間が引っ掛かった様だね」
すると近くの茂みから兎耳の生えた幼い少女が邪な笑みを浮かべながら近付いてくる。これはこの兎少女が仕掛けたものか。
?「これで人間が怪我をして永遠亭で治療。人間から金を取って私の手取りも⋯⋯クフフフ」
雪「ほう。つまりお前は永遠亭への道を知っている訳か」
そう話し掛けると兎少女は体を硬直させ、ギギッと擬音が付きそうな動きで後ろを向く。そして俺の姿を見ると文字通り飛び上がった。
?「ひゃああああ!? ア、アンタ落ちた筈じゃ⋯⋯」
雪「さてな。気のせいじゃないか」
先程の落とし穴には確かに落ちた。だがすぐに跳んで落とし穴から出ると、この兎少女の真後ろに着地した訳だ。どうやら砂埃で出てきた俺の姿が見えていなかった様だな。
雪「さて、もう一度聞くがお前は永遠亭への道を知っている訳か?」
?「んあ? 勿論。ここは私の庭の様なものだからね」
雪「そうか。では案内を頼めないか? 永遠亭で会いたい者がいるんだ」
?「ふ~ん⋯⋯じゃあ、はい!」
兎少女はジロジロと俺を見ると両手を出してくる。この手は一体何だ?
雪「⋯⋯?」
?「案内料だよ、案内料! 無料で案内するなんてわたしゃ甘くないよ!」
雪「ふむ⋯⋯これでいいか?」
俺は懐から一つの小袋を出し、それを兎少女に渡す。それを受け取った兎少女は最初不機嫌そうな顔になったが中身を見ると驚いたような表情になる。
この袋の中には小判が何枚か入っている。円単位で換算すると数十万の金額か。少し高すぎるかと思ったが、まだ金はある。まあ必要経費と割り切ろう。
?「う、うへへ⋯⋯」
雪「足りるか?」
?「も、勿論! あ、私は『因幡 てゐ』だよ。よろしく」
雪「狐塚 雪だ。案内を頼む」
そしててゐは上機嫌に歩き、案内を始める。途中、六十年に一度しか咲かない筈の竹の花が大量に咲いていた場所を見つけて少し感動したな。
暫く歩くいていくと開けた場所に着き、そこには一軒の屋敷が見える。
てゐ「ほい。到着だよ」
雪「ああ、ありがとう」
てゐ「それじゃ私の案内はここまで。それじゃあね」
そう言ったてゐはそそくさと屋敷の中に入っていく。俺も後に続くと、屋敷の玄関の戸をノックする。
永琳「⋯⋯誰?」
すると戸が開き、俺が会いたかった友人である永琳が出てくる。永琳は俺の姿を見ると目を見開いた。
永琳「ゆ、雪!?」
雪「久しいな、永琳」
永琳「ええ、本当に⋯⋯じゃなくて、いつこっちに来ていたの!?」
雪「吸血鬼異変の時だな。大丈夫だったか?」
永琳「ええ。私が張った結界によって簡単にはここに来れないから。雪はてゐに案内されたのかしら?」
雪「ああ、そうだな。そうだ、輝夜は元気か?」
永琳「少し手が掛かるくらいにね。そうだ、立ち話もなんだし上がって。姫様も呼んでくるわ」
雪「分かった」
そして永琳は輝夜を呼びに屋敷の奥に行き、俺はその途中で通された客間で待つことになった。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です。またお会いしましたね。
これで今週分の投稿は終わり。また来週から普通に投稿していこうと思います。
さて次回は、永遠亭組との会話パートです。戦闘描写が少なくて助かるぜ、ヘッヘッヘッ⋯⋯。
あ、そうそう。この幻想郷はスペルカードルールが出来る少し前のお話です。だから脇巫女や白黒魔法使いはいます。まだ幼いですがね。
それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!




