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東方 白狐伝  作者: 蛸夜鬼
漆章 幻想郷の章
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第二話 幻想郷巡り・人里①

雪「⋯⋯」


橙「雪しゃまー! 朝ですよー!」


雪「ん⋯⋯むぅ⋯⋯」


 朝。橙の元気な声によって目が覚める。布団から這い出ると眩しい朝日が障子越しに部屋を照らしていた。


 あの吸血鬼異変から数日。俺は紫の家にて過ごしていた。


 と言うのも幻想郷に俺の家は無く、再会した紫に一時だけ過ごさせて貰っているんだ。因みに異変の残党である吸血鬼達は日の光によって灰と化すか、俺達によって殲滅された。


 さて、俺は寝間着から、紫がいつの間にか用意してくれていたいつもの着物に着替えると部屋を出る。異変の時に着ていた執事服は捨てた。かなり血に汚れていたしボロボロだったからな。


 部屋を出るとすぐ近くに橙が立っていた。どうやら俺が部屋を出るまで待ってくれていたらしい。


橙「おはようございます、雪しゃま!」


雪「ああ、おはよう橙」


 この数日で橙は俺にかなり懐いたらしい。少し前に猫じゃらしで遊んでやったのが効いているのだろうか。まあ、その光景を見た藍に「橙を猫扱いするな」とかなり怒られたが⋯⋯。


 橙と共に居間に来ると既に紫と藍が座っていた。机の上には朝飯が並べられている。


紫「あら、おはよう二人とも」


藍「おはよう橙、雪」


雪「ああ、おはよう」


橙「おはようございます!」


 俺と橙が座ると朝食を食べ始める。食事は基本俺か藍が作るが、今日は藍が作ってくれた様だな。


 そして朝飯を食べ終わり少しした頃。俺は紫に1つ相談を持ち掛けた。


雪「なあ紫。そろそろ自分の家を建てようと思っているんだが」


紫「急にどうしたの?」


雪「いや、紫の家にずっと居候させてもらうのもどうかと思ってな。それに前々から幻想郷に着いたら腰を落ち着けようと考えていた所だ」


藍「住居が欲しいのは分かったが、お前は幻想郷の地理に詳しく無いだろう? どうするんだ?」


 すると藍がお茶を持ってやってくる。因みに橙はどこかにあるマヨヒガとやらに出掛けているらしい。マヨヒガとは『遠野物語』で有名な迷い家の事だろうか。


雪「取り敢えず幻想郷を見て回ろうと思ってる。紫、地図か何かは無いか?」


紫「それだったら確かここに⋯⋯」


 そう言って紫がスキマから取り出したのは二枚の紙だ。一枚目は現在の幻想郷の地図が、二枚目はそれぞれの場所の簡単な説明が記されているらしい。


紫「取り敢えずそれを見て幻想郷を回ったら良いわ。折角だし人里に送ってあげる」


雪「ああ。ありがとう」


 そして草履を取ってきた俺は紫が開いたスキマを通って人里へと向かった。



─────



雪「ふむ、結構賑わっているな」


 スキマを出た先は人目の付かない人里の路地裏。そこを出た先では人間達で賑わっている大通りの様な場所に出た。


 この人里は幻想郷の中で争い⋯⋯というか妖怪が人間を襲わない唯一の場所で、少しだけだが危険度の低い妖怪も過ごす事が多いという。ただ、未だにルールを守らない妖怪がいて外よりは安全といった程度らしい。


雪「ふむ、大和の国や神子の都を思い出すな」


 大通りの様子を眺めているとそんな言葉が零れる。そう言えば諏訪子達は元気だろうか。外の世界で信仰を集めるのが困難になっていたらここの事を話してみるのも良いかもしれない。


雪「取り敢えず大通りでも歩くか」


 どうやら大通りは店が多いらしい。肉屋や八百屋などの食べ物を扱う店。小道具店や仕立屋などの雑貨類の店など⋯⋯基本的な店は全てこの通りに並んでいる様だな。もし家を建てるなら人里近くにしようか。


 そんな事を考えながら歩いていると先の方が騒がしい。何事かと様子を見に行くと一人の少女に三人の妖怪が絡んでいた。


妖怪A「おい嬢ちゃん。人の肩にぶつかっておいて詫びも無しかよ」


?「だからすまないと謝っているじゃないか」


妖怪B「すまないで済んだら町奉行は要らねえんだよ」


妖怪C「詫びって言うのはさ、相手が満足しなきゃ意味がねえだろ? だからほら、ちゃんとした詫びってのを教えてやるからこっち来いよ」


 すると妖怪の内の一人が少女の腕を掴む。周りの人間達は妖怪を恐れて見て見ぬ振りをしている様だ。


 ⋯⋯しょうがない、助けてやるか。


雪「おい」


妖怪A「あぁ?」


雪「その娘の腕を放してやれ。肩がぶつかった程度で大人げないだろう?」


妖怪B「うるせえっ! てめえは関係ねえだろ!」


 すると一人が俺に殴りかかってくる。だが碌に鍛錬も積まず、ただ力に任せて振るってきてるだけの攻撃だ。体を逸らすだけで安易に避ける事が出来る。


 そして俺は隙を見せた妖怪の腹に膝蹴りを加え地面に倒し、氷の手錠で腕と足を拘束する。


妖怪C「テ、テメェ!」


妖怪A「やりやがったなゴラァ!」


 仲間がやられた事に激昂した妖怪共は、片方はそのまま殴り掛かり、もう一人は刀で斬りかかってくる。


雪「おっと」


 俺はそれを避けるとまず手前の殴り掛かってきた妖怪の頭に氷塊をぶつけ吹き飛ばし、もう片方は氷の篭手で刀を防ぎ足を払い地面に押し倒す。そして例の如く手錠で手足を拘束した。


妖怪A「このっ! テメェ、外しやがれ!」


雪「外したら暴れるだろう? 妖怪でも郷に入れば郷に従え、という言葉は知ってる筈だ。一度頭を冷やしてこい」


 俺は氷人形を三体創り出すとコイツらを人里の外に運ばせる。運ばれながら妖怪達が騒いでいたが、良く聞こえなかったな。


雪「さてと⋯⋯」


?「あ、あの⋯⋯!」


 少々目立ってしまったから退散しようとすると、先程まで絡まれていた少女が駆け寄ってくる。ん? どこか見知った顔の様な⋯⋯。


雪「何だ?」


?「えっと、お名前を聞きたいのですが、狐塚 雪さんですか?」


雪「ああ、そうだが⋯⋯何故俺の名前を? どこかで会ったか?」


?「はい。覚えてませんか? 慧音です。上白沢 慧音」


 慧音⋯⋯? ああ、昔妖怪に襲われていた所を助けた半獣の子か。そうか、幻想郷で元気に過ごしていたか。髪色が記憶と違うから分からなかった。


雪「ああ、覚えている。久しぶりだな慧音。見違えたぞ」


慧音「あれから年月が経ちましたから。そう言う雪さんは全く変わりませんね」


雪「俺は不老だからな。慧音はこの人里で何をしてるんだ?」


慧音「私は寺子屋の教師をしてます。今日は寺子屋は休みですけどね」


雪「ほう。教師とは大したものだな凄いじゃないか」


慧音「まだまだ新米ですけどね。そうだ、立ち話もなんですし家に来ませんか。お茶くらいは出しますよ」


雪「ふむ⋯⋯ではそうさせてもらおう」


 そうして俺は慧音の家に上がらせて貰う事になった。

 どーも、作者の蛸夜鬼です。先週は投稿出来ずに申し訳ありませんでした。


 さて、早速来週の話になりますが来週は前回のお詫びも兼ねて二話投稿しようと思います。


 それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!

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